背番号10として、リーダーとして――。前回大会でも躍動した「有言実行の男」堂安 律選手が決意表明!
森保ジャパン8年間の集大成へ――。「W杯優勝」を公言する"有言実行の男"堂安 律選手が、運命の決戦を前に並々ならぬ覚悟を独占激白!!
【森保さんは「この人のために」と思える監督】
――5月15日のW杯メンバー発表は、ドイツの自宅で朝7時からリアルタイムで見守ったそうですね。
堂安
たとえ朝3時だろうが朝4時だろうが、間違いなく起きて見たと思います。森保(一)さんに名前を呼ばれた瞬間は、やっぱりうれしいという気持ちが強かったです。
――前回カタール大会と比べて、心境に変化はありましたか?
堂安
自分の中で前回より大きな目標を掲げているので、今回のほうが間違いなく緊張感はありました。「前回ぐらいの活躍では満足できない」と自分自身で気づいていますし、ハードルが高い分、良い緊張感で身が引き締まる思いです。
この3年半、今回のW杯のためにすべてをかけて準備してきました。前回は24歳でイケイケだったし、「絶対に点を取ってやる」という気持ちだったので、ただただ楽しみでした。
でも、今回は「自分が先頭に立ってこのチームを引っ張りたい」と言い続けてきましたし、日本代表を一歩でも次のステージへ進めることだけを考えています。
少しずつですけど、自分のなりたい「堂安律」という理想像に近づけている感覚はありますね。大きな一歩を踏み出すためには、このW杯で結果を出さないといけない。最大限の準備をして臨みます。
――森保ジャパンが発足して約8年。堂安選手はその初陣となった2018年9月11日のコスタリカ戦で先発に抜擢され、A代表デビューを果たしました。森保監督とは東京五輪も含めて、8年近く共に戦い続けていますが、どのような存在ですか?
堂安
日がたつごとに、森保さんのすごさを感じます。それがまず最初にパッと頭に浮かんできた言葉ですね。森保さんは「この人のためなら、どんな役割を与えられてもやり遂げたい」という思いにさせてくれる人。
サッカー選手は自分のキャリアのためにプレーする選手が多いし、もちろん俺も自分の人生を充実させるためにサッカーをしていますけど、「この人のために」と思える監督は初めてですね。
――24年6月11日のシリア戦で代表では初めて右WB(ウイングバック)として起用されましたが、森保監督はその前日の記者会見で、「『こんなうまい選手がこんなにハードワークするんだ』というところを、将来プロや日本代表を目指す子供たちに見てもらえたらうれしい」と発言。厚い信頼関係がうかがえました。
堂安
もちろん、そういう献身的なプレーができる選手はほかにもたくさんいるので、俺だけに声をかけているわけではないと思いますが、森保さんは本当に選手のことをよく見てくれているし、丁寧に声かけをしてくれる人。そういう監督の下でプレーできる俺は幸せ者です。
俺が代表で何年もゴールを決められなかった時期もスタメンで使ってくれたのは、そういった献身性を評価してくれたからだと思います。
今の日本代表は守備の意識がものすごく高まっていますけど、それは森保さんが守備を評価してくれるから。強豪国にもビビらずに勝ち切れているのも、それが大きな理由だと思います。
【フランクフルトでの中盤の経験が代表でも生きる】
――今季は所属するフランクフルトでシーズン途中に監督交代を経験。アルベルト・リエラ監督の下では、インサイドハーフなど中盤で起用されることもありました。
堂安
シーズン途中で監督が代わると、チームのアイデアも何もかも変わるので大変ですけど、何かしら成長できることはあると思って取り組んできました。
どんなときでも頭の切り替えができるのは自分の強みですし、「WBも取り組んだらできた」という経験があったからこそ、「中盤もやったらできるんじゃないか」という思いはありましたね。
――実は、PSV時代にも中盤でプレーしたことがありましたよね。ケガ人が続出した22年5月11日のNEC戦に、スクランブルで2ボランチの一角として先発しました。
堂安
ロガー(・シュミット監督)にオフィスまで呼ばれて、「もしかしたら、8番がおまえのベストポジションになるかもしれないぞ」って言われたことをいまだに覚えています。
その試合でミドルシュートをゴール左隅に決めたんですけど、その成功体験もあったので、「中盤もできる」という自信はありましたね。
今までたくさんの監督の下でプレーしてきましたけど、俺は毎回スタート時点よりも最終的に必ず評価を上げているんですよ。監督の求めていることをちゃんと理解して、ピッチでやれることを見せながら、徐々に自分の良さを出していくというか。使われない限りは自分のパフォーマンスも発揮できないですからね。
――中盤といえば、3月28日のスコットランド戦では、3-1-4-2の右シャドーとして後半途中出場しましたが、少し下がりめの立ち位置からポジションチェンジを繰り返し、攻守に貢献。フランクフルトでの中盤の経験が日本代表でも生きたカタチとなりました。
堂安
これまでシャドーをやるときはもっと前線に近い所でプレーしていましたけど、あの試合は少し下がりめの立ち位置でボランチに近い感じでしたよね。
フランクフルトで中盤をやっていたからこそ、森保さんもそういう使い方をしてくれたと思いますし、試合展開も踏まえて全体のバランスを考えてプレーしていました。
流れによってはもっと前線まで出ていけるし、(伊東)純也君とはポジションを入れ替えながらプレーできるので、相手もつかまえにくいはず。日本の新たな武器になると思いますし、先制した後のゲーム運びや時間の使い方も含めて、W杯に生きてくると思います。
【チームに火をつけて流れを変える】
――3月の英国遠征ではチームキャプテンを任されました。今大会はリーダーとしても大きな期待が寄せられています。
堂安
W杯優勝のためなら立場は関係なく、できることはなんでもやります。たとえ10番じゃなくとも、キャプテンじゃなくとも、やることはまったく変わらないです。
――書籍『俺しかいない』では、「プレーで安心感を与える選手こそ、エースであり、リーダーだと思う」と記されていました。東京五輪で10番を背負った頃から、「安心感のある選手が理想像」とおっしゃっていましたが、まさにそういう存在になりました。
堂安
チームを引っ張る姿勢みたいなものは確実に強くなっていると思います。結果的に「あいつがおったら......」とチームメイトに思ってもらえる存在が理想ですし、プレーがうまいとかへたとか関係なく、「うわ、この人がいると安心感すごいな」という感覚はやっぱりありますからね。
例えば(遠藤)航君はリバプールでどれだけ修羅場をくぐり抜けてきたか。W杯初戦でオランダと当たりますけど、「うちのキャプテンは相手のキャプテンと同じレベルだ」と思える強さは彼にしか出せないです。
そのときの試合の調子の良しあしじゃないんですよ。それまでに積み上げてきた実績がすべて。いかに修羅場をくぐり抜けてきたか。やっぱり、結果を出した人間にしか出せないオーラがあるんですよね。
英国遠征ではチームキャプテンを任された堂安。練習でも先頭に立ってチームメイトを引っ張っていた
――YouTubeでの三笘薫選手との対談で語られた「火をつける」というキーワードも、まさに堂安選手の生きざまを感じる言葉でした。「0-1、0-2で負けているとき、下を向いたチームに火をつけるのがゲームチェンジャー。先発か途中出場かは関係ない」という思いはカタール大会で芽生えたのですか?
堂安
カタール大会の後に言語化してみたら、そういう言葉になったんですよね。火のつけ方はいくらでもあると思います。ゴールやアシストだけじゃなく、球際の守備ひとつでスタジアムの空気を一変させることもできますから。
オン・ザ・ボールでもオフ・ザ・ボールでも、オン・ザ・ピッチでもオフ・ザ・ピッチでも、どんな状況であれ、チームの流れを変える選手になりたい。そうやってなんとかしてチームを変えようとする選手がひとりでも多ければ多いほど、強いチームになると思います。
【全員がW杯優勝を信じ切る必要がある】
――W杯優勝を公言し続けてきた堂安選手。〝有言実行の男〟として、改めて今大会の意気込みを伺いたいです。
堂安
今回のW杯は森保ジャパン8年間の集大成になる大会。最高の景色を見られるように努力するだけです。
「W杯優勝は簡単なことじゃない」ということは誰もがわかっています。でも、日本代表の選手、スタッフの誰かひとりでも疑いを持ってしまったら、チームがその目標に向かっていけなくなる。やっぱり、全員がW杯優勝を信じ切る必要があるんですよ。
そして、国民の皆さんもW杯優勝を信じ切ってくれれば、それが大きな後押しになります。前回も、遠く離れたカタールまで日本からの声援はしっかり届きました。今回も熱い応援をたくさん送ってほしいです。俺たちはピッチ上で死ぬ覚悟ができているので。最高の景色を見るために、全力で頑張ります。
森保ジャパンの初陣となった2018年9月のコスタリカ戦に先発し、A代表デビュー。堂安こそ、森保ジャパンの8年間を体現する選手だ
――最後に、個人としての目標もお聞きしたいです。
堂安
やっぱり、ゴール、アシストでチームを助けたいですね。守備で貢献するというのは、チームのコンセプトのひとつに過ぎないので。守備をしっかりやるのは大前提ですけど、プラスアルファ、クオリティを出さないと意味がない。
特にW杯という大舞台で結果を残せるのは俺しかいない、と思っているので。必死で守備をしながら点も取りたい。とにかくチームを助けて、日本をW杯で優勝させます。
■堂安律(どうあん・りつ)
1998年6月16日生まれ、兵庫県尼崎市出身。ガンバ大阪、FCフローニンゲン、PSVアイントホーフェン、アルミニア・ビーレフェルト、SCフライブルクを経て、2025年8月からアイントラハト・フランクフルトでプレー。18年9月にサッカー日本代表に初招集され、2度のアジア杯、東京五輪、カタールW杯で活躍。23年6月から背番号10を背負う
★重版決定! 『俺しかいない』
著:堂安 律定価:1760円(税込) 集英社
日本サッカーを背負う"背番号10"の覚悟と生きざまを克明に記した自身初書籍。今、夢を追いかけているすべての人たちへ。逆境を楽しみ、自分を信じ抜く──。夢に向かって突き進む、唯一無二の"堂安語録"
写真/時事通信社アフロ
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