2028年放送予定の大河ドラマ 『ジョン万』(NHK)で、主人公・中濱万次郎役を山﨑賢人さんが務めることが発表されました。山﨑さんの地上波ドラマ出演は、2022年に主演を務めた日曜劇場『アトムの童』以来、約6年振り。同作の全話平均世帯視聴率は9%台と、当時の日曜劇場としては不振に終わりました。
当時、“国宝級イケメン”として若い女性人気は高かった山﨑さんですが、男性や中高年層にはその良さが伝わらず苦戦したのかもしれません。ですが、今の山﨑さんならば、『ジョン万』で日曜劇場での屈辱を晴らすことが出来るのではないでしょうか。
主演ながら選ばれなかった過去
大河制作発表では、山﨑さんの起用理由について、制作統括から「横にいる共演者の方たちを邪魔せず、でもその方たちの“一座”としての味をすごく生かすところに一番の魅力を感じました」と明かされています。その姿勢は映画『キングダム』の際も顕著に表れていました。
数々の賞を受賞している映画『キングダム』はシリーズ1作目で第43回日本アカデミー賞で優秀作品賞のほか、共演の吉沢亮さんが最優秀助演男優賞を、長澤まさみさんが最優秀助演女優賞を獲得。一方、山﨑さんは主演であるにも関わらずノミネートされていませんでした。
ただ、授賞式で吉沢さんは「(山﨑さんが)主演でみんなを引っ張ってくれたおかげで、すごく素敵な作品になった」と感謝を伝えたのです。
周囲の役者を引き立てる座長力
『キングダム』は、何者でもない少年・信が主人公。吉沢さん演じる若き国王や長澤さん演じる山界の王ら続々と現れる「自分以上の存在」との出会いを通じた成長物語です。
それゆえ、信が最初から圧倒的存在感を放つことはありません。山﨑さんががむしゃらで熱くもがくからこそ、凛と佇む吉沢さんや長澤さんが引き立っていたのです。
山﨑さんはこの頃から、物語の中心でありながら目立ち過ぎず、周囲との共闘に重きを置き、共演者の良さを引き出す座長力があったのだと思います。この献身性の原点はサッカーで、俳優業との共通点として「個人プレーでもありチームプレーでもある」と本人が明かしています。
『今際の国のアリス』では世界的評価に
そんな山﨑さんの魅力の一つとして、共演者の芝居を受けて変化をつける受信力の高さが挙げられます。相手の呼吸、目線の揺れなどを瞬時に受け取り、その場で演技を柔軟に変える。共演者の表情が映える間を作り、彼らの感情が“生きたまま”画面に残るのです。
また、監督や共演者がよく語るのは「普段は力が抜けているのに、本番で一気にスイッチが入る」というギャップ。この“柔らかさ”が現場の緊張をほぐし、共演者が自然体で演じられる環境を作っているのでしょう。
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そんな山﨑さんは『キングダム』シリーズと並行し、数々の主演作で大ヒットを連発。配信ドラマ『今際の国のアリス』シリーズ(Netflix)で、山﨑さん演じる主人公・アリスは、W主演の土屋太鳳さん演じる女性プレイヤーと共に、息つく間もなく繰り広げられるデスゲームに参戦します。
アリスは派手なヒーローではなく、迷いや弱さもある普通の青年でしたが、頭脳を活かし、仲間を導く存在へと変わっていきます。 味方、敵、ゲームの鍵となる人物が移り変わるなかでも、山﨑さんが屋台骨となることでそれぞれのキャラが立ち、世界的評価に繋がりました。
深い理解で「実写化成功請負人」の地位を確立
また、映画『ゴールデンカムイ』シリーズで、元陸軍軍人の杉元佐一を演じるにあたっては、「不死身の杉元」の肉体・精神・人間性のすべてを掴み取り、作品世界に溶け込ませました。
同じアクションものでも、『キングダム』の信と違い屈強な肉体を誇る杉元を自分のものにするため、筋肉で10㎏増量。山田杏奈さん演じるアイヌの少女らと共に刺客に打ち勝ちながら旅を続ける過程で、その強靭さと内に秘めた優しさを両立させていました。
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原作への深い理解と徹底した役作りにより、現在では“実写化成功請負人”としての地位を確立。2025年には、シリーズ4作目となる映画『キングダム 大将軍の帰還』にて、ついに自らも第48回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞します。
「キラキライケメン」から演技派俳優へ
最優秀助演男優賞を獲得した共演の大沢たかおさんは、シリーズ初期の山﨑さんについて「みんなの前でもあんまり喋れなかった」と回想。続けて「7年の時を経て、本当にびっくりするぐらい信と同じように成長して、最終的にはチームや他のキャストを引っ張るような存在になって」とその進化を称えました。
それは同作だけでなく、山﨑賢人という俳優そのものを表しているかのようです。
ブレイク初期に少女漫画のキラキライケメンを多く演じていた頃と比べ、昨今は仲間と次々に現れる敵や試練に打ち勝つ少年漫画の主人公を演じることが増えた山﨑さん。
爆発的ヒットシリーズを並行して長く続けることで、かつての弱点であった認知度やファン層の偏りを克服。主演としての迫力・存在感が増し、「個人プレー」も「チームプレー」も飛躍的に向上させてきました。
「低視聴率」の雪辱を果たせるはず
そんな山﨑さんが、満を持して大河初主演。『ジョン万』の中濱万次郎は、漂流、アメリカ渡航を経験し、幕末帰国から国際交流の架け橋となった人物です。
「逆境からのサクセス」と「歴史ロマン」は、彼の真骨頂が発揮しやすい上に、日本人に刺さりやすい。約6年ぶりの地上波ドラマ出演となる同作は、成熟した彼の演技を世間に知らしめ、雪辱を果たす絶好の機会となるでしょう。
<文/こじらぶ>
【こじらぶ】
ライター・コラムニスト。上智大学大学院外国語学研究科修了・言語学修士。ドラマ、男性&女性アイドル、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419
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