79歳のハリウッドの名匠が、AIで作られた主人公が興収のドル箱になる時代がやってくると大胆に予言したと、米デッドラインが報じている。
発言の主は、マーティン・スコセッシ監督と組んだ「タクシードライバー」「キリスト最後の誘惑」などの脚本で知られるポール・シュレイダーだ。AI脅威論がはびこる業界において、積極利用を呼びかける論客として知られる。最近は自身のフェイスブックに「AIガールフレンドとの破局」をつづった投稿が話題を呼んだ一方、今回のカンファレンス登壇が発表された段階で500件規模のネガティブな反応が寄せられるなど、業界内でも異色の立ち位置にある79歳だ。
米国で開かれた業界向けAIカンファレンスの基調講演において、シュレイダーはハリウッドの現在のAI活用は本筋ではないと切って捨てた。
「AIが商業的に本領を発揮するのは、ど派手な映像とかモンスターとか、そういうところじゃない。あんなものは派手にした特殊効果に過ぎない」
そのうえで、本当の意味での突破口は「人間との合成ではなく、完全にAIだけで生み出された主人公が登場し、その映画が興収を上げた瞬間に訪れる」と続けた。
象徴的な例として持ち出したのが、ハリウッドの大スター、クリント・イーストウッドの名前だ。これは、俳優のデジタル肖像権をめぐる業界論争の核心に踏み込む発言でもある。
「新しいクリント・イーストウッドを作るとき、AIに『クリント・イーストウッド』とは入力しない。ただ彼の特徴を描写するだけだ。それなのに、画面に現れるのはクリント・イーストウッドそのものなんだ」
肖像を盗んでいるという批判が当然出てくるが、シュレイダーは「自分は『これくらいの背丈で、これくらいの体格の誰か』を描写しただけだ、あなたに似た人なんて世の中にいくらでもいるじゃないか、と言い返してやるさ」と挑発的だ。
エキストラや脚本作業についても踏み込んだ。1日180ドル払って衣装も食事も用意してまで使う必要のあるエキストラを、AIで生成してしまえばいいと述べ、脚本については「AIは創造などしない。ただ組み合わせているだけだ」と言い切る。シュレイダー自身、長年にわたって完全AI製作の長編映画を準備してきたとされており、今回の予言は、論客としての発言であると同時に、自らの実行宣言でもあるのかもしれない。
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タクシードライバー
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