2018年に亡くなった「マーベル」の創始者スタン・リーが、AIで「復活」することが明らかになった。AI音声企業ElevenLabsが遺族と契約したと、米デッドラインが報じた。
スタン・リーは、米マーベル・コミックスを世界的な物語の帝国に育てた立役者として知られる。スパイダーマン、X-メン、アイアンマンら数々のヒーローを生み出し、後年はマーベル映画のカメオ出演で世界中のファンに親しまれてきた。2018年11月、95歳で他界している。
今回の契約は、スタン・リーの遺族が運営する「スタン・リー・ユニバース」とElevenLabsの間で結ばれた。ElevenLabsは本人の過去の録音から声をAIで再現し、まず朗読アプリ「Eleven Reader」内の「スタン・リー今月の本」コーナーで、推薦書を本人の声で朗読する。第1弾はロバート・ルイス・スティーブンソンの「宝島」で、今後1年で計11冊が音声化される予定だ。
声はさらに、ElevenLabsの「Iconic Voice Marketplace」を通じて、編集者や商用利用にも提供される。本人の肖像も「Image & Video Marketplace」で利用可能となり、マーベル映画のカメオ出演で有名になったあの姿をAI生成のカメオ動画として作れるようになる。彼の美学とエネルギーを反映した音楽も生成されているという。
ElevenLabsは2022年創業の英ロンドンに本拠を置くAI音声企業で、テキストの自動朗読や、本人の録音から声を再現する技術(ボイス・クローニング)を主力としている。俳優のマシュー・マコノヒーが出資しており、今年2月には110億ドル(約1兆7500億円)の評価額で5億ドルを調達し、株式公開(IPO)も視野に入っている。マイケル・ケインやジョン・ウェインの遺族など、ハリウッドの俳優・遺族と同様の声・肖像復活契約を相次いで結んでいる。
スタン・リー・ユニバースのチャズ・レイニーは「スタンはいつも、漫画のなかでも、即売会の会場でも、映画のカメオでも、ファンと会える場所に自ら足を運んできた人だった。今回のパートナーシップは、その姿勢を引き継ぐものだ」とコメントしている。ElevenLabs創業者のマティ・スタニシェフスキCEOも「この技術が何を切り拓けるか、業界の期待は大きい。それを実現するには、本人や遺族と組む方法を見つけることが鍵だ」と語る。
一方、米デッドラインのコメント欄では「墓荒らしのようだ」「遺産が搾取されすぎている」といった反発の声も寄せられている。
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