『THE SECOND』4代目王者・トット。(左から)多田智佑(ただ・ともひろ)、桑原雅人(くわはら・まさと)
『THE SECOND 2026』で王者に輝いたばかりのトットを直撃!金属バットらとの熾烈な戦いからネタ3本で勝ち切る戦略、芸人同士の熱い絆まで、頂点までの舞台裏を語り尽くす!
【〝東京の兄さん〟囲碁将棋との一戦】
――『THE SECOND』優勝おめでとうございます!王者の実感は湧きましたか?
桑原
ありがとうございます!最初は「ホンマか、これ?」って感じだったんですけど、ちょうど大会翌日に『THE SECOND』の歴代王者(ギャロップ、ガクテンソク、ツートライブ、トット)がたまたま集まるライブがあって、皆に祝われたときに「......優勝したんや」と思いましたね。
多田
劇場のお客さんも拍手で迎え入れてくれてな。あと、優勝後にいろんなテレビ番組を回らせてもらう中で、マネジャーから「朝〇時にタクシーを手配してます」って連絡をもらったときに「めっちゃ芸能人の動きしてるな!」って思いましたね(笑)。いつもと待遇が違いすぎて。
――大会全体を振り返ると、予選の「ノックアウトステージ」で囲碁将棋を撃破。この勝利は自信になりましたか?
桑原
なりましたねえ......。囲碁将棋さんは〝東京の兄さん〟であり、金属バットと並ぶ優勝候補ですから。当たりたくなかったけど、相手に決まったら腹がくくれたというか、チャレンジャーとして臨めました。
周りから見ても囲碁将棋さんが勝つと思われていたんでしょうね。僕らが勝ったとき、お客さんの雰囲気が「オーッ......」って変わった感じがしたんですよ。
多田
したなあ。ただ、やっぱり〝兄さん〟ですね。対戦の翌日に囲碁将棋さんとのツーマンライブがあって、悔しい思いも絶対あったはずなのに、そんなそぶりは一切見せず、経験者ならではのアドバイスをいただいたんですよ。
桑原
ありがたかったですね。「最初の花道、ストロークけっこう長いよ」とかな。
多田
あと「ステージから見ると、このくらいの距離にお客さんがいる」とか。すぐに切り替えられていて「カッケ~!」と思ったし、囲碁将棋さんの分まで結果を残せるように頑張ろうってなりました。
トット。2009年結成、芸歴18年目。吉本興業所属。ボケの桑原雅人とツッコミの多田智佑によるコンビ。大阪NSC27期生で、同期にDr.ハインリッヒらがいる
――「グランプリファイナル」1回戦はザ・パンチ、準決勝はリニアと対戦。それぞれどんな心境で臨みましたか?
桑原
普段のパンチさんはほんまに頼りになる兄さんで、劇場がどんなに硬い空気でも、必ず盛り上げて戻ってくるんです。そんな人らが敵に回るのは恐ろしかったですね。
多田
事前VTRから浜さん(パンチ浜崎)の顔がおもろすぎて(笑)。
桑原
あそこからおもろかったよな(笑)。隙あらばウケる雰囲気をつくるので、本当にドキドキしましたね。
で、なんとか勝てたと思ったら、次のリニアもホンマに強くて。1回戦のネタ終わりの平場で、会場がしょうへいさんのおバカキャラにハマっていく感じがありましたよね。あれを見て「これ、ヤバいかも」ってちょっと焦りました。
多田
舞台裏のモニターでリニアのネタを見ながら「これ以上、話を展開させないでくれ!」と思って(笑)。「早よ『もうええわ』って言うてくれ!」と。
桑原
ずっとそんな感じだったので「相手が強いから、負けてもしゃあないな。もう自分らの漫才をやるしかないわ」と開き直って出られたのが良かったのかもしれません。
悩んだネタ選び。「3球目は外角低め」
――結果はリニア289点、トット292点の僅差で勝利し決勝へ。相手は、準決勝の第1試合でグランプリファイナル史上最高得点となる296点を叩き出した金属バットでした。
桑原
僕らが先攻だったんですけど、決勝の直前で、いつもネタを決めている多田が「(ネタ)選んでええよ」と言ってきて、めっちゃびっくりしました。
多田
1本目の「電子マネー」と2本目の「タバコ」は決まっていたけど、最後は候補が2本あって、どっちのネタでいくか決めあぐねてたんです。普段のライブとか寄席なら「このネタがウケやすい」ってわかるんですけど、あの日に関してはまったくわからなくて。
ただ、3本やれることがまずありがたいし、ウケてもスベっても悔いはないだろうと思って桑原に任せました。
桑原
こんなこと言ってるけど、ビビってただけですよ。「連絡来てない?」って慌ててスマホを探してましたから(笑)。
多田
真っ先にスマホを見ました(笑)。芸人仲間が「このネタをやれ」ってアドバイスくれてへんかなと思って。
桑原
一緒にライブをやってるゆにばーすの川瀬(名人)とかドンデコルテのナベ(渡辺銀次)とかから連絡来てたら、別のネタをやってた可能性あるな(笑)。
多田
うん(笑)。でも、連絡は来てなくて。最終的に桑原があの「架空家族」のネタを選んでくれて、結果的に良かったと思います。
――一方、後攻で出てきた金属バットは、約4分をフリに使う、思い切ったネタでした。
桑原
正直、僕らの漫才が終わった後の会場は「さあ金属だ......」って、優勝者を待つような雰囲気でしたね。
多田
そうしたら「......こいつら、何してんの?」って(笑)。
桑原
なんかボケへんし、何してんねんっていう(笑)。
多田
小林(圭輔)がずっとしゃべってて、友保(隼平)が「うんうん」って延々とうなずいてるっていう。ツッコミとしては「友保、どんな心臓してんの?」とか思いながら見ちゃいましたね。
桑原
ただ、僕らの点数が281点で、それまでの金属の2本は290点台だったので「これ微妙やな」って。
多田
そう。思わず、「安心でけへんやないか~!」って叫んでました(苦笑)。
――しかし、結果、金属バットを281対264で破って王者に。改めて振り返ると、3本のネタ選びが秀逸でした。
桑原
それは狙ってました。1本目は僕らがどんなコンビかわからない状態なので、とにかくわかりやすいネタ。2本目は、それが後半でちょっと変わる。この流れがハマったから、3本目は同じパターンでいくか変えるかで悩んで、最終的に「変えよう」と。
僕ら野球が好きやから、「2球はインハイ(内角高め)を攻めて、3球目にアウトコース低めなら打ち取れるやろ」って話してました(笑)。
多田
してた(笑)。「インハイで打者の上体を起こしてから、外角の球でバットに届かんようにさせる」ってな。
桑原
あと、長丁場だったので、あそこにいた全員が疲れてたんです。お客さんも14本6分ネタを見るって大変じゃないですか。だから、緻密な会話ってよりはノリ的にも笑いやすいネタがいいかなと思って選んだのもあります。
トットは「ノックアウトステージ」で囲碁将棋を撃破。「グランプリファイナル」ではザ・パンチ、リニア、金属バットを破り、『THE SECOND 2026』王者に輝いた
――大会の打ち上げにはオズワルドの伊藤俊介さんもいたそうですね。
多田
まず「なんで伊藤がおんねん」って話なんですけど(笑)、打ち上げの途中で、伊藤に「たばこに行きましょう」と誘われて喫煙所に行ったら、「俺マジうれしいっすよ」って泣き出したんです。出演者は誰ひとり泣いてないのに(笑)。けど、かわいいですよね。いろんな先輩に好かれるのもわかるわ。
桑原
あいつ好きなんですよ、おじさん芸人の哀愁が(笑)。打ち上げにはタモンズとかもいて、悔しいはずなのに声をかけてくれてな。
多田
ホンマにな。シャンプーハットの恋さんも「やっと大きい賞レース獲れたな」って言ってくださって「カッケ~!」と思いましたね。
桑原雅人
――最後に、賞金1000万円の使い道は?
多田
それでいうと、昨日聞いたんですけど、両親が実家で犬を飼い始めたんですよ。
桑原
え、飼ったの!?もともと飼ってた犬が20年前ぐらいに亡くなって、もう飼わへんって感じだったのに。
多田
なあ?まだ何も言われてないんですけど、「このコのお金も出してくれへん?」って話は出るんじゃないかなと(笑)。まあ、そうきたら応じようかなと思ってます。
多田智佑
桑原
僕はワインが好きなので、高級ワインを買おうかなと。おもろいかな?
多田
え、500万円の液体買うってこと?意味わからんよ、500万円の液体を買うって。
桑原
500万円の液体って言うな(笑)。じゃあロレックスの腕時計を買って、着けながら漫才しようか。
多田
いいかもな。目に見えて調子に乗ってそうやし。
桑原
「なんでやねん!」って腕時計を見せびらかして。
多田
もうロレックスが見せたすぎて、ボケのくせにツッコんできてるやん!(笑)
取材・文/鈴木 旭撮影/佐々木里菜大会写真/©フジテレビ
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