ほかが空いているのに隣に止める“トナラー”。なにも考えずになんとなく止めているのか?
5月25日(月) 11:00
最近よく耳にするのが“トナラー”という言葉。電車や飲食店の席で隣に座って来たり、駐車場でほかが空いているのにわざわざ隣に止めてくる行為のこと。ゴルフ場の駐車場でもよく見かける、アレである。
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筆者がトナラーの存在に気が付いたのは20年ほど前のこと。買い物から帰ってきたら広い駐車場にポツンと2台並んでいたり、取材で機材を下ろすためにドアを開けっ放しにしているのに、わざわざ寄ってくる猛者に遭遇するなど、なにかしらの変化を感じたのがきっかけだ。
当時流行っていた2ちゃんねるで「隣のトナラー」というスレッドを見つけ、同じこと思っている人がいるんだなと思い、それから研究を始めている。
駐車場の場合、横に来られるという心理的な抵抗だけでなく、いわゆるドアパンチの可能性が高まるだけに、できるだけ横に他車は来て欲しくないというのが正直なところだ。
昭和や平成初期であれば、できるだけ隣に他車がいない枠に止めようというのが基本だったと思うが、一体なぜトナラーは生まれたのか。研究を進めるにつれ、意外な事実がわかってきた。
そもそも隣にクルマがいると乗り降りがしにくいし、前述のとおり、ドアパンチの可能性も高まる。それなのになぜわざわざ隣に止めるのか? 休日のゴルフ場のように混んでいれば仕方がないとはいえ、それでもまず隣と離して止めることを優先し、スペースがなかったら仕方なく、他車の横に止めるのが基本というか王道だ。
それに反してトナラーが空いていてもやってくるのは、運転が下手だから。つまり枠の中にクルマを収める自信がなく、何かしらの目標物がないとダメで、それが隣のクルマというのがトナラーの理屈だ。
地面には白い枠があるし、今どきはバックモニターも付いていると思うのだが、トナラーに話を聞くと、「ちゃんと合っているのかよくわからない」「どこにいるのかわからなくなる」という返事が返ってきて唖然とした。
ゴルフ場やショッピングセンターの駐車場でのベストポジションは、やはりエントランスや店舗出入口に近いところ。そこに自分、そしてトナラーも含めてみんな止めようとするから寄ってくるのではないかと思い、面倒だが離れた場所に止めてみたことがある。これで問題解決と思いきや、それでも寄ってくるのがトナラーというもの。実際に目の当たりにしたときは心底ガッカリしたものである。
実はここにも理由がある。すでにトナラーは運転が下手と紹介したが、それゆえ、クルマの出入りが多いベストポジションは避けたいというのが彼らの心理。枠に入れるのにあたふたしているところに他車が来て流れを止めてしまうなんて、緊張以外のなにものでもないのは確か。であれば、離れたところでゆっくり止めようということになって、隅っこでもトナラーが発生するのだ。
トナラーに対するヒヤリングを行った結果が、ここまで紹介した事象なのだが、根本的なところにあるのは「隣に止めても別にいいじゃないか」という、それを言っちゃあオシマイよ的な意識。
確かに違法ではないけれど、気持ちがどうにもモヤモヤするし、ドアが当たっても「あら、当たっちゃった」程度でドアパンチに対する罪悪感もなかったりするのもなんだかな、である。
対応策として、斜めに止めると合わせにくくなって寄ってこないという説もあるが、自分が下手に思われるのも嫌だし、おそらく、同じ角度で斜めに止められるのがオチだろう。ということで、完全に解決する方法はないのが現状で、どうにも歯がゆい限りである。(文・近藤暁史)
近藤暁史
学習院大学文学部国文学科卒。ファッション誌から一気に転身して、自動車専門誌の編集部へ。独立後は国内外の各媒体で編集・執筆、動画製作なども行う。新車、雑ネタを中心に、タイヤが付いているものならなんでも守備範囲。所有するのはクルマ3台、バイク4台で、計20輪生活を送る。自身のYouTubeチャンネル「こんどう自動車部」では、洗車・自動車のメンテナンスなどを中心に、クルマに関わる裏技を紹介している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
