大谷翔平とドジャースが挑む二刀流の「次なるステージ」対話を重ねながら「休養」を組み込む思想とは

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大谷翔平とドジャースが挑む二刀流の「次なるステージ」対話を重ねながら「休養」を組み込む思想とは

5月25日(月) 6:50

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先発としてハイレベルなピッチングを続ける大谷翔平 photo by Kyodo News

先発としてハイレベルなピッチングを続ける大谷翔平 photo by Kyodo News





前編:「休ませながら勝つ」大谷翔平の二刀流管理最前線

大谷翔平がメジャー史上初となる「投手によるプレーボール本塁打」を放ったのは、登板4試合ぶりの二刀流での出場となった試合だった。マウンドでも粘投を見せたが、その陰では、ドジャースが細心の注意を払いながら負荷管理を続け、大谷とともに最高の状態を模索した産物でもあったと言える。ドジャースのブランドン・ゴームズGMが語る「前例なき二刀流管理」の実態に迫る。

【大谷が成し遂げた史上初の本塁打】5月20日(日本時間21日)、サンディエゴ・パドレスのクレイグ・スタメン監督はドジャース戦を前に、こんな質問を受けた。

「かつてリリーフ投手として打率.237、6打点、二塁打3本を記録したあなたは、大谷翔平の二刀流を語る資格があるのでは?」。監督は笑いながら首を振った、「いや、ないです」。スタメン監督は現役時代、562試合に登板し、43試合で先発も経験した。

「先発投手の大変さを知っているからこそ、なおさらすごいと感じます。出塁したあと、次のイニングにマウンドへ戻る時、どれだけ疲れていたかを覚えています。彼はそれをシーズンを通してやっている。驚くべきことです」

その数時間後、大谷翔平はスタメン監督をもっと驚かせた。「1番・投手兼DH」で先発すると、初回、メジャー史上初となる"投手プレーボール弾"を放った。午後5時41分、まだ明るさの残るペトコ・パーク、パドレス先発ランディ・バスケスの初球、高めのフォーシームを捉えた打球は、右中間席へ吸い込まれた。

「見送ろうかなと思ったんですけど、来た時に反応で打てた。今後につながる一本かなと思います」。さらに大谷は、投手としてこう続けた。「先制点を与えない気持ちで試合に入っていたので、その前に点が入った。"1番"がいい仕事をしてくれた感じかなと思います」。"リードオフマン・大谷"が、"投手・大谷"を助けた。

負荷管理のため、過去3登板では大谷を打者として起用していなかったデーブ・ロバーツ監督も、この一発を絶賛した。

「相手はエース格を立ててきた。その相手に先頭打者本塁打を打った。すべては翔平から始まりました」

バットでは完璧なスタートを切ったが、マウンドでは簡単ではなかった。最初の3回を無失点で終えたものの52球も投げなければならなかった。そして4回に1死一、二塁、5回には無死一、三塁のピンチを背負った。試合後、大谷は「この1週間、あまり投げ心地がよくなくて、不安がありました」と明かした。それでも、「シーズンを投げていれば、こういう試合は必ず来る。そういう試合をどう投げるかは、調子がいい時以上に大事」と振り返った。

5回の無死一、三塁。大谷はギアを上げた。ラモン・ロレアノをシンカーで投ゴロに打ち取ると、三塁走者をけん制しながら二塁へ送球。さらに満塁となったが、最後はフェルナンド・タティスを外角スイーパーで遊ゴロ併殺に打ち取り、派手なガッツポーズに加え雄たけびを上げた。

【ゴームズGMが語る負荷管理の考え方】5月に入り、ロバーツ監督の会見では毎日のように、大谷の負荷管理が話題になっていた。

そして登板前日の19日には、ブランドン・ゴームズGMも、大谷の負荷管理について語っていた。フルシーズン二刀流で臨む今季、いつ休ませるか、投手としての起用計画にどう組み込むか、その判断はどれほど繊細なのか。ゴームズGMはこう答えた。

「決まったゲームプランはありません。振り返って参考にできる前例がないからです。今年、彼がやっていることは、前回(ロサンゼルス・エンゼルス時代)フルシーズンで投打をやった時とも違います。だからこそ、途中で対話を続けることが本当に重要です」

ドジャースにとっても、毎週、状態を見ながら調整していく未知の作業なのだ。

「これは非常に負荷の大きいことです。誰もほかにやっていないのには理由があります。ロバーツ監督やスタッフが『今日は休ませたほうがいい』『リセットに役立つ』と感じる時には、翔平との会話を重ねることが大切。今後シーズンが深まっていくなかで、彼をフレッシュな状態に保つ必要が私たちにはあります」

さらにゴームズGMは、大谷の性格にも触れた。

「彼は決して『今日は無理です』『休みが必要です』『今日は出られません』とは言いません。だからこそ、我々の側から話を持ちかける必要があります。『今日は休んだ方が賢明かもしれない。それが将来的にいい結果につながるかもしれない』と」

大谷が毎日出たい選手であることを、球団は分かっている。だからこそ、休ませる判断は本人任せにはしない。

「一日休むことが、休まないことよりも有益になり得る。その点を、我々が意識しておく必要があります」。

ゴームズGMの発言は、ドジャースの現在地をよく表している。大谷は自分から「出られない」とは言わない。だが、すべてを本人任せにすれば、負荷は積み重なっていく。ドジャースは大谷と10年契約を結び、ともに王朝を築こうとしている。だからこそ対話を重ね、休養を組み込みながら、二刀流を維持しようとしている。実際、5月には2試合連続を含め、4試合で打席に立たなかった。5月20日は、登板4試合ぶりの二刀流だった。

試合後、大谷はこう語った。

「やってほしいと言われるのが、自分にとってベストなのかなと思う。今日みたいに投げてもよくて、打っても結果がよければ、今後も使ってもらえる機会が増えると思います。ただ長いシーズンですし、チームの状況もある。そこは臨機応変に、どちらでもいけますよというスタイルでいます。そこはもう完全にチームに任せています」

結果は出している。投げては8試合に先発し、7試合でクオリティースタート(先発で6回以上を投げ、自責点3以内に抑えること)。防御率は驚異的な0.73だ。一番打者としても5月23日までの時点で9試合連続複数回出塁を記録し、この間は打率.457、35打席で25度出塁、7長打、12打点。4月下旬から5月上旬はスランプにあえいでいた打撃だが、今季成績も打率.276、OPS(出塁率+長打率).883まで上げてきた。二刀流が巨大な負荷を伴うことは、球団も本人も理解している。それでも大谷は、結果でその価値を示し続けている。

後編につづく

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