片山晋呉が魅せた“存在感”持病抱えながらメジャー4日間で奮闘も「上では1ミリも戦えていない」

日本プロを完走した片山晋呉が4日間を統括した(撮影:佐々木啓)

片山晋呉が魅せた“存在感”持病抱えながらメジャー4日間で奮闘も「上では1ミリも戦えていない」

5月25日(月) 8:31

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<日本プロゴルフ選手権 センコーグループカップ 最終日◇24日◇蒲生ゴルフ倶楽部(滋賀県)◇6991ヤード・パー72>

昨年6月に腰痛を発症し、椎間板に細菌が感染する化膿性椎間板炎と診断。約2カ月の入院生活を送ったツアー通算31勝、永久シード保持者の片山晋呉は、再発のリスクを抱えながらも今季からツアーに本格復帰した。現在も再発のリスクと向き合いながらの戦いが続くなか、今大会には2024年以来の出場となり、“日本一の男子プロ決定戦”で4日間を戦い抜いた。



〈連続写真〉アプローチはこう寄せろ片山晋呉が語るクローズスタンスの“メリット”


舞台は滋賀県の蒲生ゴルフ倶楽部で、2000年に「三菱自動車トーナメント」が開催されていたコースだが、片山は出場していなく初めてプレーするコースだった。

開催前には「全体的に距離は短いけど、いまはパワーゲームの時代。飛ぶ人が有利と言われる中で、こういうコースがあるのはとてもいいと思います」とし、「再来年までやるということだから、1回ぐらい(優勝の)チャンスが来ないかなと思って。(年齢的に)もうそろそろだから。60歳になってから優勝争いは少し厳しい。でもあと7回。7年間ぐらい出ている中のどこかのレギュラーツアーで優勝争いをしたい」という意欲を語っていた。

全長は7000ヤードに満たないが、ティショットの落としどころにはバンカーや樹木が配置され、フェアウェイはタイト。ラフも約100ミリと深く、単純な飛距離勝負にはならないセッティングで、フェアウェイキープが鍵を握った。

予選ラウンドで同組だった31歳・香妻陣一朗、25歳・出利葉太一郎の若手らには「65ヤードも置いていかれていた。本当にすごいですよ」と飛距離の差を痛感。ドライバーショットは「しっかり振るのは1日3回くらいまで」と医者から指示を受けているなかで、正確なショットでコースを攻略した。「球の勢いを見てしまうと僕も力むので。2人のドライバーは初速を追わないようにやっています」と徹底して自分のリズムを貫く姿は、まさにベテランの技だった。

天候に恵まれなかった予選2日間は「69」「68」とまとめ、12位タイで決勝ラウンドに進出。日大ゴルフ部の同期である宮本勝昌、谷口徹らシニア勢の中で唯一の予選通過を果たした。「2カ月間、死ぬか生きるかという状況でベッドにいましたから。そう考えると、こうしてゴルフ場に来てボールを打てていることが幸せです」と安どの表情を浮かべながら話していた。

平日から片山の姿をひと目見ようとかけつけるファンが多かったが、週末はとくに大勢のギャラリーを引き連れてラウンド。硬くて速いグリーンに対応するショットに「さすがやな」「見ていて楽しい」などの声も耳に入る。しかし、3日目は足の痛みを感じている姿などがあり、前半9ホールを回り終えたあとには、トレーナーからケアを受ける姿も。後半は11番でバーディを先行するも、結果は「74」とスコアを落としたが、19位で最終日に進んだ。

そんな最終ラウンドは、「腰は何とかもったけど、やっぱり歩けないね…」と疲労をにじませながらも、「完走!」と笑顔も見せる。「75」とスコアを落とし、トータル2アンダー・31位タイで大会を終えた。

片山の特徴でもある“日替わり調整”も健在だった。練習日からスタンスやボール位置、グリップを細かく変えながら試行錯誤。「また変わったな」とギャラリーを楽しませる独自のスタイルを貫いた。

前戦の国内シニアツアー「リョーマゴルフ 日高村オープン」では今大会で投入する長尺パターを見据え、一般的な長さのパターで、右手でグリップ上部を握り、左手で軽く押さえる“逆クロウグリップ”で感覚を磨いていた。

パッティングでも工夫を重ねた。前週の国内シニアツアー「リョーマゴルフ 日高村オープン」では、一般的な長さのパターで、右手でグリップ上部を握り、左手で軽く押さえる逆クロウグリップで感覚を磨き、今大会では長尺パターを投入した。

初日から3日目は「チャッピー(ChatGPT)」で得たアドバイスを採用し、長尺パターのスタンダードとなる左手が上、右手が下のグリップにし、スタンスはややオープンで、もともとは左足寄りに置いていたボール位置も、「20センチくらい」右足寄りに置く形で挑んでいた。

さらに左手の位置をわずかに上げ、左ヒジの角度や右手首の使い方も微調整するなど、プレー中も試行錯誤を重ねていた。最終日はこれまでの3日間で使用していた長尺パターを封印し、中尺パターに切り替えるなど、最後まで好スコアを出すための努力と研究は惜しまない姿があった。

昨年は復帰後のシニア最終戦で痛みが再発し棄権。それでも今年4月の開幕戦で復帰し、前週大会では優勝争いの末2位。「しびれる時間に戻ってこられたことが幸せ」と語っていた。

若手がし烈な争いを繰り広げるメジャーの舞台で戦い抜いた4日間。昨年10月の「日本プロゴルフシニア選手権 TSUBURAYA FIELDS HOLDINGS ULTRAMAN CUP」で解説を行う片山から入院後の苦しみを聞いていた筆者にとって、その奮闘にはあらためてさすがの底力を感じさせられた。それでも本人は「全然。上では1ミリも戦えていないよ」と言い切る。

それでも、多くのギャラリーを魅了し、若手に刺激を与えた存在感は色あせない。勝利への執念を胸に戦い続けるその姿は、今なおツアーに強い光を放っている。(文・高木彩音)


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