第79回カンヌ国際映画祭が現地時間の5月23日に閉幕し、パルムドールをクリスティアン・ムンジウ監督の「Fjord」が受賞した。「4ヶ月、3週と2日」(2007)ですでにパルムドールを受賞しているムンジウ監督は、カンヌ史上10人目の2度のパルムドール受賞者となった。同作はまた批評家連盟賞とエキュメニカル審査員賞も受賞し、トリプル受賞を果たした。
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クリスティアン・ムンジウ監督作品一覧
下馬評の高かった濱口竜介監督の「急に具合が悪くなる」は、主演のビルジニー・エフィラと岡本多緒のペアに女優賞が授与された。涙目で登壇したふたりが舞台上で手を取り合い、感激の面持ちでスピーチを語る様子は、映画のなか同様に温かい友情を感じさせ、観客席からふたりを見守っていた濱口監督も感激を隠せない様子だった。
男優賞もペア受賞となり、ルーカス・ドン監督が第2次世界大戦を舞台にしたLGBTQ+映画「Coward」で主演した新鋭、エマニュエル・マッキアとバランタン・カンパーニュに贈られた。見るからに驚いた様子のふたりは胸を詰まらせながら、「僕らは最初はウマが合わなかった(笑)。でもお互いを聞く耳を持って受け入れるようになった」(カンパーニュ)、「この映画を観ていまの若者たちが、自分自身をもっと受け入れるようになってくれたら嬉しい」(マッキア)と語り、抱き合って喜びを分かち合った。
グランプリにはこちらも人気の高かったアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の「Minotaure」が輝いた。登壇したズビャギンツェフ監督はロシア語で感謝を述べるとともに、ウクライナの現状を振り返り、「この惨状を止められるのはロシア連邦の責任者だけ。一刻も早く戦争をやめるべきだ」と訴え、拍手に包まれた。
一方、監督賞はまったく異なるタイプの作品が分かち合うことに。ノーベル文学賞を受賞したトーマス・マンを主人公に、静かなモノクロの映画「Fatherland」を撮ったパベウ・パブリコフスキと、すべてが賑々しくエンターテインニングで、3つの時代にわたりセクシュアル・マイノリティを描いた「The Black Ball」を撮ったハビエル・カルボとハビエル・アムブロスに授与された。
脚本賞はヴィシー政権下のフランスで権力に流される男を描いたエマニュエル・マール監督の「Notre Salut (A Man of His Time)」が受賞。審査員賞はドイツの新世代と言われるバレスカ・グリゼバッハの「The Dreamed Adventure」にわたった。
パク・チャヌク審査員長を筆頭に、デミ・ムーアやステラン・スカルスガルドらが揃った今年の審査員団は、終始和気藹々の様子で、審査のプロセスは「さまざまなバックグラウンドの者が集まり多くの意義ある話し合いをしたが、決定は早かった」(パク)という。たしかにサプライズの少ない、下馬評に近い受賞結果という印象だ。(佐藤久理子)
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急に具合が悪くなる
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写真:ロイター/アフロ