子役時代にNHK Eテレ(教育テレビ)で放送された番組の主人公“まいんちゃん”として愛され、その後も順調に女優としてキャリアを重ねてきた
福原遥
(27歳)。2022年には、連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロインとして走り続けた。
また、同じく2022年に出演した山下智久主演のドラマ『正直不動産』も大きな評判と人気を集め、続編とスペシャル版を経て、ついに映画版が公開。
『正直不動産』で約4年間にわたり演じてきた、カスタマーファーストがモットーの月下咲良役への思いと、福原自身の仕事観を聞いた。
シリーズを重ね、映画版では新たな壁に
——ドラマシリーズから始まり、このたび映画版が公開となりました。改めて映画化の話を聞いたときの気持ちを教えてください。
福原遥(以下、福原):
本当に信じられなかったです。シーズン1からスペシャル、シーズン2と続いてきたこと自体もすごくびっくりしましたし、さらに映画化となって……。ここまで来られるってなかなかないことだと思うので、それだけ皆さんに愛してもらえた作品になったということがすごく嬉しかったです。キャストもスタッフの皆さんも本当に仲が良くて、団結力がすごいチームだったからこそ、ここまでくることができたのかなとも思いました。
——再び月下咲良を演じて、咲良の変化を感じたり、新たに発見したことはありますか?
福原:
ドラマでは月下もかなり成長して、永瀬先輩(山下智久)に戦いを挑むくらい成績も上げて、一人前になったかなというところまできていたと思うんですけど、映画ではまた壁にぶつかるんです。
——成長して自信を持ち始めたからこそ、壁にぶつかった部分もあるのでしょうか。
福原:
それもあったと思います。これまでは、お客様のことだけをひたすら考える月下の猪突猛進な性格が武器になって、どんどん成績を上げてきました。でも今回は、「それだけじゃダメなんだ」と壁にぶつかる場面があるんです。お客様のことを思ってしたことが、逆に良くなかったり……。そういう発見もできたのが今作でした。月下がまた一皮剥けたというか、自分の欠点を含めて、自分自身と向き合えたのかなと思います。
この4年間、私もちょっとずつ成長してきた
——月下という役は、福原さん自身と近い部分があると感じますか?
福原:
今まで演じてきた役の中でも特に好きな役で、演じながらいろんなアイデアが出てきて、すごく楽しいんです。なので自分自身と近い部分もあるんだろうなと思いながら演じています。
——どんなところが近いと感じますか?
福原:
一歩一歩前に進んでいる感覚が、月下と自分でリンクするかなと思いました。急激に何かが変わるわけじゃないけど、私もこの4年間で、ちょっとずつ成長してこられたのかなと思います。
——では福原さんの思う月下の魅力は?
福原:
誰よりも人のことを考えて動けるところですね。自分のことよりも相手優先で動いている姿が本当にたくましくて、そこが月下ならではの魅力だなと思います。今回の映画では、その月下の真骨頂ともいえる場面として、幼なじみで夢を追いかけているミュージシャンのヒロト(岩﨑大昇)に向けてアカペラで歌うシーンがあるんです。その曲の歌詞は山下さんが作詞されたのですが、本当に素敵で……。セリフを言っているような感覚で歌えました。
——後で音を入れたのではなく、撮影現場でのアカペラを同時録音したとか。
福原:
もう心臓バクバクでした(笑)。「後からレコーディングし直すこともなく、これがそのまま映画館で流れる」って言われて、「どうしよう」って思いながら。夜の公園で、周りに声が響く中で結構大きな声で歌って、それも恥ずかしくて(苦笑)。出来上がりを見るまで、どう映ってるんだろうってずっとドキドキしていました。
仕事の時は“心がすっからかん”になることも…
——この4年間、福原さんも成長してきたとのことですが、時には立ち止まるような瞬間もありましたか?
福原:
作品をバーッと詰め込んでいた時期があったのですが、役柄もシリアスなものが多くて、振り返ってみると結構大変だったなと。体力面もメンタル面も「ここまでいったら限界」というラインがわからないまま、何でもできると思って突き進んでいて……。
——順調だったからこそ、突き進んでしまった面もあったのでしょうか。
福原:
そうですね。性格的に「できるでしょ」と思ってしまうので。でも、その経験があったから、今では自分の時間も大切にするようにしているというか。お仕事の時間って、自分の中から全部出してアウトプットし続けている感じで、心の中がすっからかんになってしまうこともあるんです。だからちゃんと自分のペースを作って、インプットする時間を設けるよう、意識が変わりました。音楽を聴いて自分を癒したり、そういう時間をきちんと作るようにしました。
先輩たちの背中が教えてくれた「楽しむ」ということ
——仕事で特に大切にしているポリシーのようなものはありますか?
福原:
「なるべく楽しむこと」ですかね。楽しめる人が一番強いと思うので。キラキラして見えるというか、そういう方に自分も憧れますし、惹かれます。もちろん、できない時もありますが、大事にしたいと思っています。
——「楽しめる人が強い」という感覚は、どこかで学んだものですか?
福原:
先輩方を見ていて感じることが多いです。楽しんでやっている方って、その人の魅力がすごく見える気がします。このお仕事は正解がないんですよね。演じることも、現場でのコミュニケーションも。そのうえで、そういったこと全部を楽しんでいる方はかっこいいなと思います。それにお仕事に限らず、プライベートでも楽しめる自分でいたいなという思いもありますね。
——仕事で壁にぶつかったときは、どうやって突破していきますか?
福原:
諦めないで、そこと向き合うことしかないと思います。「失敗してもいいや」という気持ちで。絶対こうしなきゃという正解はないと思うので、失敗してもそれは自分にとっていい経験になって、いつか生かされる時がくると思っています。
オーディションは毎回「悔いはない」と思えるワケ
——「諦めない」という話でいうと、『正直不動産』シーズン1の数か月後にスタートしたNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』では、ヒロインを務めました。連続テレビ小説のオーディションには、複数回挑んでいたとか。「絶対にヒロインをつかむ」という意地もあったのでしょうか。
福原:
何回か受けましたが、意地とかそういうのはありませんでした。朝ドラがすごく好きなので、好きな作品に出られたらいいなという、その思いだけで受けていました。役との出会いは、ご縁だなと思っているので。その時々に自分にできる全力を出して挑んでいました。
——オーディションで役がつかめなくても、それは「縁がなかった」と。
福原:
自分の全力は毎回出し切っていると思っているので、悔いなく終われていると思います。
自信をくれた祖母の存在
——福原さんご自身がもともと諦めない精神や、強さを持てていたのでしょうか。
福原:
全然そうではなくて、もともと自信がない性格だったんです。私、すごいおばあちゃん子で。おばあちゃんが小さい頃からすべて肯定してくれる人で、いつも褒めてくれていたので、そういう言葉で自信を持てるようになった気がします。
——今の福原さんの土台にもなっている?
福原:
そうだと思います。おばあちゃんの言葉があったから、じゃあこのオーディション受けてみようかなとか、もともとあまり前に出たい性格じゃなかったんですけど、いろいろ挑戦できたのかなと思います。
——ちなみに『正直不動産』シリーズは、おばあさまも見ていますか?
福原:
『正直不動産』に限らず、いつも見てくれています。『舞いあがれ!』もすごく喜んでくれましたし、もちろん『正直不動産』も、毎回「良かったよ、面白いね」と言ってくれます。
——最後に、福原さんにとって、かけがえのないものを教えてください。
福原:
自分の周りの人です。家族だったり、一緒にお仕事してくださっている方々だったり。その人たちがいるから今があるし、これからもやりたいという想いが生まれます。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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