サバンナ高橋の「いじめ炎上騒動」に鈴木おさむが警鐘。ネットの怒りが暴走する“正義の吊し上げショー”の恐怖

写真/産経新聞社

サバンナ高橋の「いじめ炎上騒動」に鈴木おさむが警鐘。ネットの怒りが暴走する“正義の吊し上げショー”の恐怖

5月20日(水) 15:48

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芸人・中山功太がABEMAの番組で長年いじめを受けた先輩を告白し、ネットを中心に特定騒ぎに発展。他の芸人も同調して炎上が拡大した。これを受け、サバンナの高橋茂雄がSNS上で謝罪。その後、両者は和解を報告し、中山は誤解があったとし、“いじめ”ではなく“いじり”だったと過去の発言を訂正した。

今回の騒動の本質について放送作家の鈴木おさむ氏は、芸人同士の過去の関係そのものよりも、ネット上で怒りと断罪が当事者の手を離れて増幅していく構造にあるとみる。そのうえでいまの炎上は「正義のエンタメを装った“吊し上げショー”」になりがちであることを危惧する。
(以下、鈴木氏による寄稿)。

「いじめ」と「いじり」の間で物語が暴走する

「炎上」は、いつからこんなに増幅されるものになったのだろう。今回の中山功太さんとサバンナ高橋さんの騒動。バラエティの世界では、「本当に嫌だった」「あれはいじめだった」と、昔の出来事を強めに話すことは確かによくある。言葉を強くすることで、より「笑える話」に昇華させようとする文化だ。

もちろん、中山さん自身、本当に嫌な過去として記憶していたのかもしれない。ただ、おそらく本人たちも、ここまで大きな話になるとは思っていなかったのではないか。

特筆すべきは、そこからの加速度だ。高橋さんの強めのいじりと中山さんの「いじめ」という表現。そこに第三者の芸人たちが「自分も嫌だったエピソード」を乗せ始める。すると、当事者たちの温度感を超えて、ネット上で物語だけが巨大化し、本人たちより周囲のほうが怒り、断罪したがる。しかも途中から、「何について怒っていたのか」すら曖昧になっていく。こうした構造を最近よく見る。

“正義の吊し上げショー”がエンタメをやせ細らせる

怖いのは、炎上が正義のエンタメを装った“吊し上げショー”になっていることだ。告発に加担することで、自分が「正しい側」に立てる感覚を持てる。しかもSNS上では、怒りは笑いや優しさよりも拡散しやすいため、発言は過激になる。

もちろん、本当に深刻ないじめやハラスメントは別だ。そこは絶対に軽く扱ってはいけない。ただ、芸人さん同士の誇張された表現まで、全部を同じ熱量で裁く社会になることは危うい気もしている。おそらくこのあと起きるのは、地上波メディア側の変化だと思う。今後、「嫌いな芸人は?」「共演したくない人は?」みたいな企画には、確実にコンプライアンスチェックが入っていくのではないか。個人的に、僕は昔から「嫌いな人を言う」ことで成立するバラエティがあまり好きではない。本人同士が目の前にいて、笑いとして成立しているなら別だが、いない場所で誰かを悪く言う構造は、どうしても悪い後味が残る。今回のように、一つの発言から炎上が加速度的に広がっていくのを見ると、テレビ側もリスクとして考え始めるはずだ。

炎上は、途中から当事者の手を離れる。だから今の時代は、発言する側だけでなく、受け取る側にも増幅しすぎない感覚が必要なのだと思う。SNSは、火をつける装置として優秀すぎる。だからこそ社会全体が、少しだけ火力を弱めるつもりがないと、エンタメからもさまざまなものが消えていってしまう。

<文/鈴木おさむ>

【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている

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