台湾各地に50カ所以上あるといわれる日本神を、文化人類学者の藤野陽平と記録映像作家の遠藤協が訪ね歩いたドキュメンタリー映画「軍服を着た神様」が8月公開される。
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【フォトギャラリー】「軍服を来た神様」場面写真かつて、台湾のとある場所に日本人の亡霊が現れたという言い伝えがあり、たたりを恐れた人々によって祀られたその亡霊は、小さな願いを叶えてくれる神様として、今では台湾の人々に親しまれている。本作は、藤野と遠藤が旅人として台湾各地に50カ所以上あると言われる日本神(にほんがみ)を訪ね歩く姿を、コロナ禍を挟み、6年に渡って記録したもの。
かつて日本が植民地として統治していた台湾で、なぜ、日本人の、しかも軍服を着た神様が生まれたのか?その謎をたどるなかで見えてきたのは、それぞれの神様の数奇な運命であり、今を生きる人々との交流、台湾の民間信仰のあり方、そして、日本が台湾に残してきた戦争の痕跡だった。
必ず戻ってくる卒塔婆。オレンジ色のコウモリ。火葬場跡に寝泊まりする男性。日本神を身体に宿すシャーマン…。「不可思議」としか言いようのない出来事の連続の中で、日本神がかつて一人の人間として確かに存在した事実が明らかになっていく。異国の地でさまよい、死後の世界を生きる日本人の魂。その魂を慰撫し、神として祀る台湾の人々。神となった先祖と出会い直す日本の子孫たち。宗教的な文脈の違いを超えて、死者を悼み、弔う心が生んだ、日台の知られざる交流を描いたドキュメンタリーとなっている。
8月上旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開、クラウドファンディングも実施中。
▼コメント
■遠藤 協監督
これまで色々なところで民俗的なものを撮影してきましたが、本作ほど不可思議と奇縁に遭遇した現場は後にも先にもなさそうです。コロナ禍で台湾に行けない間も、彼の地に棲まう日本神のことを考えて過ごし、取り憑かれたようにして完成まで6年かかってしまいました。台湾に留まる日本人の霊たちが、かつてどのように生き、死に、そして死後を生きたのか。霊たちの声を聞くことは、彼らへの弔いであると思います。そんな作品を目指しました。
■藤野陽平(出演者・文化人類学者)
漢字に米食と共通点の多い東アジア。特に日本と台湾は関係が近くて深いと言えるでしょう。ただ、相互理解は難しく、広く言われる「台湾は親日」という一本槍では説明しきれません。広さも人口も日本に比べると小さくても、民族も言語の多様性に富み、度重なる植民経験という歴史もあります。日台の宗教は共通点も多いのですが、民俗的な世界観には大きな隔たりもあります。日本軍人が祀られていると聞くと、ついつい親日的だからと考えがちですが、そこに広がる世界は奥行きのある生活史に裏打ちされた息づかいが感じられます。台湾宗教のフィールドワークをしていると、毎度、自分の偏狭な理解の枠組みを揺さぶられるような思いがします。この映画を通じて私たちが感じた魅惑的で摩訶不思議な感覚に皆さんも引き寄せられて、よりディープな日台交流のきっかけになったら嬉しいです。
【作品情報】
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