1番人気は危険か…ヴィクトリアマイルで「軽視したい2頭」と“激走期待の超伏兵”

エンブロイダリーは過剰人気となる可能性も?写真/橋本健

1番人気は危険か…ヴィクトリアマイルで「軽視したい2頭」と“激走期待の超伏兵”

5月15日(金) 15:30

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17日、東京競馬場では古馬牝馬によるG1、ヴィクトリアマイルが行われる。

今年のヴィクトリアマイルは“イン前有利”?

舞台は、先週のNHKマイルCと同じ芝1600mだが、AコースからBコースに替わるため、“外差し”から“イン前有利”な馬場に変貌を遂げる可能性が高い。レース直前まで馬場の傾向はしっかり見極めたいところだろう。

今年は3頭のG1馬を含む14頭の重賞ウイナーがそろった。純粋なマイラーもいれば、短距離路線を歩んできた馬、さらに中距離路線からマイルに転じてきた馬もいる。

激戦必至の一戦だが、実力以上に“過剰人気”となりそうなのが、 エンブロイダリーとチェルヴィニア だ。いずれも3歳時に二冠牝馬に輝いており、実績ではワンツーを呼べる2頭である。

昨年の桜花賞と秋華賞を制したエンブロイダリーは、引き続きC.ルメール騎手とのコンビ。オークスは9着に敗れたが、明らかに距離が長かった。得意のマイル戦なら最も信頼できる1頭といえるだろう。

エンブロイダリーは前走・阪神牝馬Sで改めてその実力を示した。好スタートから先手を奪うと、最後までしっかりと脚を使い、後続を振り切ってゴールイン。4か月ぶりの実戦で重賞4勝目を飾った。

東京芝1600mはクイーンCを完勝した舞台でもあり、今回は間違いなく1番人気に支持されるだろう。それがエンブロイダリーの過剰人気を生むことになりそうだ。

エンブロイダリー過剰人気の可能性

今年のG1戦線を振り返ると、2~3着に伏兵が入り、“ヒモ荒れ”になることはあるが、1着馬に限るとほぼ人気馬が勝利している。今年初戦のフェブラリーSこそ勝利したのは2番人気のコスタノヴァだったが、高松宮記念以降は1番人気の馬が6連勝中である。

先週のNHKマイルCでは不思議な現象も起こった。勝ったロデオドライブは、締め切り直前まで3番人気だったにもかかわらず、レース後に1番人気だったことが判明。これに驚いたファンも少なくなかったはずだ。

この流れを受けて、今週もとりあえず1番人気の馬を買っておけばいいというファンもいるはず。つまり実力以上に支持される確率が高い。

さらにエンブロイダリーは、ある程度、前に行くことが予想されるため、他馬から見れば格好の目標になり得る。マークもよりきつくなる分、府中の長い直線で息が持たない可能性も考えておきたい。

先週はムチ10連打で過怠金5万円…レーン騎手はどう動く?

もう1頭、エンブロイダリーと同じく過剰人気となりそうなのが、2年前のオークスと秋華賞を制したチェルヴィニアだ。こちらは近走やや不甲斐ない成績に終わっているが、D.レーン騎手の存在が心強い。

レーン騎手といえば、先週のNHKマイルCでロデオドライブを勝利に導いたが、その陰には“やったもん勝ち”ともいえるムチ10連打があった。

アスクイキゴミとはわずかにハナ差で、レース後には“ルールを守った”同馬の鞍上、戸崎圭太騎手に同情の声もあったほど。レーン騎手はムチの使用について過怠金5万円の制裁を課されたが、受け取った賞金に比べれば些細な額といえるだろう。

もし今週のヴィクトリアマイルでもゴール前で接戦に持ち込めば、レーン騎手はお構いなしの策に出る可能性も捨てきれないが、ある程度、ルールに準じなければという意識はあるはずだ。短期免許期間はまだ1か月残っており、オークスや日本ダービーを前に今週は勝負度合いがそれほど高くないのではないだろうか。

以上の理由で、上位人気が予想される有力馬の中ではエンブロイダリーとチェルヴィニアの2頭を軽視したい。

ヴィクトリアマイルで毎年激走する“ディープ系血統”に注目

逆にヴィクトリアマイルで狙いたいのはズバリ5頭。 アイサンサン、クイーンズウォーク、ドロップオブライト、パラディレーヌ、ラヴァンダ である。

血統に詳しいファンならピンときたかもしれない、5頭は 父がディープインパクト系 という共通点を持つ。

実はディープインパクトの産駒もしくはその孫はほぼ毎年、ヴィクトリアマイルで馬券に絡んでいる。

ディープインパクトの初年度産駒が走った2012年から昨年までの14年のうち、“ディープインパクト系”の馬が3着以内に名前がなかったのは2015年の1度だけ。ディープインパクト産駒が減少したここ数年は、3頭のキズナ産駒が人気以上の好走で馬券に絡んでいる。

ドロップオブライトの激走に期待したいワケ

今年はキズナ産駒が3頭、そしてトーセンラーとシルバーステートの産駒が1頭ずつ出走を予定しているが、この中で最も馬券的妙味がありそうなのが、超伏兵と呼べる ドロップオブライト だ。

同馬はもともと1200mで活躍していた短距離馬だが、昨秋の京成杯AHで久々に1600mを走ると、牡馬相手に2着と好走。12月にはトップハンデ56kgを背負って、同じく1600m戦のターコイズSを制した。

その後は阪急杯でソンシの3着に好走したが、1番人気に推された前走・愛知杯は10着と大敗。今回は注目度も大きく落としている。ただし、前走の大敗は、スタート直後に大きな不利を受けてのもので、度外視可能な敗戦だった。

奇しくもドロップオブライトを管理する福永祐一調教師は、先週のNHKマイルCにダイヤモンドノットを送り込み、悔しい思いをしたばかり。こういう時は得てして、1週遅れのG1制覇を期待したくなる。

鞍上は天皇賞・春でヴェルテンベルクをあわやの2着に導いた松若風馬騎手。ここで2週前の雪辱を果たす可能性は十分ある。今年のヴィクトリアマイルは、ディープインパクト系の5頭、中でも ドロップオブライトの激走に期待したい

文/中川大河

【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。

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