◆【鎌倉半日さんぽコース】鎌倉・長谷の静かな場所で楽しむ、ものとの出会いと落ち着く空間のカフェ&ランチ
鎌倉の観光スポットのなかでも人気の長谷寺や鎌倉大仏でにぎわう大通りから、1本道を入ると静かで穏やかな空間が広がる長谷。今回は朝から半日巡るコース仕立てでご紹介します。ここでしか出会えないものやグルメで、いい1日を。
鎌倉・長谷の半日モデルコース
10:00 hotel aiaoi内のカフェで珈琲を飲む
12:00 ものとかたりで、物語あるものに出会う
12:30 青ト白で作家作品の展示を眺める
13:30 鎌倉 北橋でお蕎麦を食べたあと、カフェで一服してのんびり過ごす
◆10:00 hotel aiaoi内のカフェで珈琲を飲む
上/カフェの大きな窓に切り取られているのは、きらめく海とどこまでも続く水平線。外の景色を眺めたり、本を読んだり、過ごし方は思いのまま下/生クリームを贅沢に使い、外はさくさく、中はしっとり焼きあげた自家製スコーンと季節のジャム600円、葉山「THE FIVE BEANS COFFEE」によるオリジナルブレンド500円
水平線が待つ、海辺の静かな止まり木
散策の最後、海の気配に誘われてたどり着いたのが、今年10周年を迎えた6室だけの小さな宿「hotelaiaoi」 。昭和の面影を残す古いビルの階段を上がった先に広がるのは、観光地の中心であることを忘れる静謐な空間だ。とはいえ、ここは宿泊者だけの特別な場所ではない。ホテルのエントランスはカフェとしての顔も持ち、ひと息つきたいときにふらりと階段を上がれば、誰でもその静寂を分かち合うことができる。「ホテルはもちろん、カフェでも本を開く方が多いですよ」と話す、オーナーの小室剛さんと裕子さん。ただ静かに本を読みたいと思ったとき、この場所を思い出して扉をたたいてくれるゲストの存在が、なによりの喜びだという。
一方で、宿泊の体験はさらに深い安らぎへと導いてくれる。岡山で丁寧に縫製されたオリジナルの寝間着や、足裏に心地よいなぐりの床。肌に触れるものすべてに注がれた誠実なこだわりが、日常で凝り固まった心身を解きほぐしていく。「小さくとも、この場所を大切に守っていきたい」。そんなふたりの静かな決意が、やさしく穏やかな空気をつくっている。1日の終わりに、あるいは長谷散策の始まりに。外の喧騒が嘘のように遠のく空間で、自分自身へと帰る時間を過ごしたい。
スポットデータ|hotel aiaoi(ホテル アイアオイ)長谷/宿・カフェ
TEL.0467-22-6789
住所/神奈川県鎌倉市長谷2-16-15サイトウビル3F
営業時間/カフェ10:00?12:0015:00?20:00
定休日/Instagram:@hotel_aiaoi で要確認
価格例/自家製スコーンと季節のジャム600円、葉山「THE FIVE BEANS COFFEE」オリジナルブレンド500円
アクセス/長谷駅より徒歩2分
◆12:00 ものとかたりで、物語あるものに出会う
上/添えられた札から、一つひとつのアイテムに宿る物語に思いをはせる時間がなんとも贅沢で楽しい下/趣ある建物は昭和初期に建てられた個人宅をリノベーションしたもの
誰かの大切を継ぎ、記憶を慈しむひととき
駅前のにぎわいを離れて、山の気配が濃くなる住宅街へ。古い民家の敷地を奥へと進むと、まるで時が止まったかのような空間が待っている。ここは、かつて誰かの暮らしに寄り添っていた道具たちが、新しい物語を待つ場所・「ものとかたり」。店主の川端美香さんが古道具の奥深さに気付いたのは、実家の家じまいがきっかけだった。両親の遺品を整理する中で、これまで知らなかった父母の姿や想いに触れ、再び出会い直したような感覚を覚えたという。「ものの中に、使っていた人の人柄が表れている気がして」。以来、写真家の野口玲さんと冊子『ものとかたり』を計4冊制作。実店舗は、そのコンセプトをより深化させる場所として開いた。
店内に並ぶ品々をよく見ると、それぞれに小さな札が添えられているのに気付く。“紙の服を着せられたって、心はいつも気高いまま。私、ビスクドール”。もののひとり言のような言葉に触れた瞬間、古道具が急に温かな体温を持った存在として語りかけてくる。ここでは歴史的価値や希少性は二の次。大切にしているのは、どんなふうに愛されてきたかという背景、そして手にした人がなにを想像するかという自由だ。「例えばこれが縄文土器ですよと言われても、本当かどうかはわからない。でも、そう信じることが楽しいんです」。真偽よりも、ものを介して広がる空想の楽しさを味わう。川端さんのそのしなやかな視点はそのまま、店内の居心地のよさにつながっている気がする。
気付けば窓の外の光が色を変えている。古道具の物語に引き込まれ、時間を忘れて過ごすひととき。このゆるやかな時間こそが、ここを訪れる人が手にするいちばんの宝物なのかもしれない。
スポットデータ|ものとかたり長谷/古道具
TEL.なし
住所/神奈川県鎌倉市長谷5-7-21 奥
営業時間/12:00~17:00
定休日/Instagram:@monotokatariで要確認
価格例/丁寧に綴られた古い旅ノート2,200円など
アクセス/長谷駅より徒歩12分
◆12:30 青ト白で作家作品の展示を眺める
上/秋田を拠点とする境田亜希さんの蓮鉢5,500円。光が当たると浮かび上がる花のような影が美しい下/什器の多くは古物
日常を整える手仕事を探しに、一軒お隣へ
「ものとかたり」と同じ敷地内の「青ト白」。季節の花が咲く中庭を抜け、白い扉を開けると、シンプルな空間にみずみずしい手仕事の世界が広がっていた。真っ先に感じたのは、庭に面した大きな窓から射し込む光の美しさ。窓枠ごしに届くやわらかな陽光を、ガラス作家・境田亜希さんの器たちが静かに受け止める。光に合わせてくるくると表情を変える影をじっと眺めていると、日常のざわめきがいつの間にか遠のいていくよう。
店主の杉山櫻さんが日頃から対話を重ねる作家は30名ほど。自ら工房を訪ねたり、生活者として実際に使い心地を確かめたものだけを並べるのがこだわりだ。薪窯で焼かれる長野大輔さんの器もそのひとつ。炎のゆらぎが描く表情は1点ごとに異なり、それぞれに個性が宿っているのを感じる。「お客さんとゆっくり会話を楽しみながら、作品を選ぶ時間を共有したい」と話す杉山さん。効率よく正解が拾える今だからこそ、自身が使い込む中で見つけた作品の生きた魅力を伝えたい、と。
杉山さんの言葉を頼りに、自分の指先で質感を確かめてみる。こうして手間をかけてものと向き合うひとときが、暮らしをともにしたいと思える作品との出会いを連れてきてくれると信じて。
スポットデータ|青ト白(アオトシロ)長谷/ギャラリー
TEL.070-6960-4740
住所/神奈川県鎌倉市長谷5-7-21 手前
営業時間/12:00~17:00※展示会初日は11:00~
定休日/Instagram:@ao.to_shiroで要確認
価格例/境田亜希さんの蓮鉢5,500円ほか
アクセス/長谷駅より徒歩12分
◆13:30 鎌倉 北橋でお蕎麦を食べたあと、カフェで一服してのんびり過ごす
上/昼会席のさくら2,850円は太刀魚の南蛮漬け、鴨ロース煮など前菜盛合わせと蕎麦、甘味がセットに。蕎麦は+750円で二産地食べ比べも下/館部分の高い天井から下がるシャンデリアが美しい。とろけるような口どけのそば粉の生シフォンケーキ680円に、香り高いラテ780円を合わせて
モダンな邸宅で味わう打ちたて蕎麦
大通りから路地を進むと、大正期に建てられた和洋折衷の邸宅が静かに姿を現す。天井の高い洋館や端正な畳の和室、四季を映す広い庭。かつての主の美意識が今も息づくこの空間で、素材の吟味から器選びまで、すべての工程に店主の丁寧な眼差しが行き届いているのが、ここ「鎌倉北橋」 。
店内では毎朝、玄蕎麦から粉を挽く。蕎麦粉は全国の契約農家から、そのときどきでいちばんいいものを厳選。 店主の北橋悠人さんみずから畑へ足を運び、生産者と対話を重ねて築いた信頼が強みだ。蕎麦の繊細な香りを邪魔しないよう、添えられるのはわさびではなく、紫色の辛み大根。ひと口すすれば、蕎麦の輪郭が鮮やかに浮かび上がってくる。陶芸家・渡邉由紀さんの器も、和洋が交ざり合う建築に寄り添い、料理に確かな存在感を与える名パートナーだ。
食後には、もうひとつの顔であるカフェとしての楽しみも。なかでも「NOZY COFFEE」のシングルオリジンで淹れるラテや蕎麦粉のシフォンケーキには、生産者との縁を大切にする北橋さんの想いが込められている。タイムトリップしたような空間と丁寧な仕事から生まれるおいしさ。その余韻は、お店を出た後も心にとどまり続けるはず。
スポットデータ|鎌倉 北橋(カマクラ キタハシ)長谷 / 蕎麦・カフェ
TEL.0467-84-9662
住所/神奈川県鎌倉市長谷1-11-32
営業時間/蕎麦11:00~15:00(LO)17:00~19:30(最終入店)カフェ10:00~18:00※ 土・日・祝9:00~
定休日/火?
価格例/昼会席のさくら2,850円(蕎麦)、そば粉の生シフォンケーキ680円に、香り高いラテ780円(カフェ)
アクセス/長谷駅より徒歩6分
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