車いすラグビー
の国際大会「World Wheelchair Rugby 公認2026ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」が4月30日から5月3日の4日間、千葉ポートアリーナで行われた。パリ2024パラリンピック金メダルの日本代表がアメリカ、フランス、カナダを迎え、強化を図った今大会。放送中のテレビドラマ『GIFT』(堤真一主演/TBS日曜劇場)の題材になっていることもあり、延べ1336人が見守った決勝は日本が47-38でアメリカに勝利。7戦全勝で優勝を飾った。

パリパラリンピックと同じカードになった日本対アメリカの決勝戦
決勝は序盤からリード
世界ランキング1位の日本は、2028年のロサンゼルス大会でパラリンピック連覇を狙っており、その大目標に向かって戦力の底上げを進めている。
中谷英樹ヘッドコーチ(HC)は、今大会の強化ポイントの一つとして立ち上がりの強化を挙げていた。
迎えた決勝戦。数あるラインナップの中から、
池透暢
(3.0)、
池崎大輔
(3.0)、
乗松聖矢
(1.5)、
長谷川勇基
(0.5)の4人を先発としてコートへ送り出す。日本はアメリカのキープレーヤーであるサラ・アダム(2.5F)の進路を封じ、いきなりターンオーバーを奪うことに成功した。
激しいディフェンスで主導権を握った日本は、その後も
橋本勝也
(3.5)や
小川仁士
(1.0)らを擁するラインで攻撃の手を緩めることなく応酬。第1ピリオドを14-10とし、大きなリードを奪う理想的な展開を見せた。

一躍パラリンピック連覇のカギを握る存在になった西村その後もアメリカの反撃を許さず、終始「走り続ける」という理想のスタイルを遂行した日本代表。今年8月にブラジル・サンパウロで開催される世界選手権に向け、大きな手応えを感じさせる勝利だった。
もう一つは、パリ大会後のルール改正——「コート上4選手の合計持ち点8.0点以内」という制限に対し、女子ローポインター(0.5-1.5)起用時の0.5点加点はそのままに、女子2.0点以上の選手起用時に1.0点の加点が認められる新ルールを最大限に活用したラインナップの強化だ。
エースの橋本は、
中町俊耶
(2.0)、西村柚菜(2.5F)、
小川仁士
(1.0)もしくは
若山英史
(1.0)で構成されるラインに、未完成ながらも確かな手応えを感じていると語る。
共同バイスキャプテンの小川は、現状を「もうちょっと流れをうまく作れたらよかった。(とくにオフェンスで)チグハグな部分がある。一瞬の迷いで(動きが遅れてしまい)相手にいいディフェンスをされてしまう」と厳しく振り返りつつも、さらなる伸びしろがあることを強調した。

共同バイスキャプテンの小川
新しいラインの可能性
また、新しいラインとして、橋本(3.5)、西村(2.5F)、乗松(1.5)、
草場龍治
(1.5)の組み合わせも投入された。強化合宿でもまだ数えるほどしか試していない組み合わせだが、西村が「世界を見てもなかなかないライン」と語る通り、周囲の期待は高い。競技歴こそ浅いものの、優れたスペース感覚と高いパス能力を持つ西村が経験を積めば、日本の強力な武器になり得る。西村は「ボーラーとしての意識をさらに磨いていきたい」と意気込みを語った。
この新ラインにおいても、決勝の先発ラインにおいても、欠かせない存在が豊富な運動量を備える乗松だ。コート外でもリーダーシップを発揮し、「チャレンジした上でのミスは全然大丈夫」と、若手の潜在能力を引き出そうとしている。

日本代表キャプテンを務める“最強のローポインター“乗松日々の練習に最もストイックに向き合っている選手として、中谷HCからキャプテンに任命された乗松。その真摯な姿勢はチームの模範となっており、共同バイスキャプテンの橋本も「言葉一つでチームを締めてくれる」と全幅の信頼を置く。乗松はチームのアグレッシブさが途切れないよう、ここぞという場面で周囲へ声をかけることを心がけている。
さらに注目すべきは、これまで大黒柱として日本代表を牽引してきた池が、アシスタントコーチとしての役割も担うようになったことだ。池は選手として第一線でプレーしながら、戦術を執るコーチ陣のひとりとして不可欠な存在となっている。

選手兼アシスタントコーチの池(右)はさらなるフィジカルアップを図っているパリまで10年間キャプテンという重責を担ってきた池は「一つ荷物を降ろして、自由に、伸び伸びとやれていた期間がわりと少なかった」と笑いつつも、その表情は充実感に満ちていた。
「日本にはすべてを担ってくれる素晴らしい中谷HCがいるので、アシスタントとしての役割には自分自身も迷いながらやっている。ただ、(HCの)目が届かない部分のケアや、若手選手のメンタルを整え、いい状態でコートへ送り出すための言葉かけなど、選手(兼任)の立場だからこそできることから取り組んでいるところです。もしものときに中谷さんの代わりを務め、少しでもチームを助けられるよう、これからも学んでいきたいと思っています」
新ルールの戦略的活用による女子選手や若手の台頭、そして池のアシスタントコーチ就任といった新たな体制構築は、すべて2年後のパラリンピック連覇、そして目前に控える世界選手権での王座奪還という明確な目標に向けられている。

日本代表の若手エース橋本「全員ラグビーで勝てるのが本当の世界一のチーム。日本チームとしては課題もたくさんある」と橋本は気を引き締める。“真の世界一”を目指す日本代表のあくなき挑戦は、これからも続いていく。
text by Asuka Senagaphoto by X-1, Atsushi Mihara
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