【写真】取材陣の前で即興メロディーを生み出す所ジョージ
BSフジの人気番組「所さんの世田谷ベース」(毎週土曜夜10:00-10:55)。所ジョージ的モノの考え方や閃いた遊び、世の中の楽しみ方を発信する同番組は、2026年に放送20周年を迎える。WEBザテレビジョンはこの機会に世田谷ベースへ直撃。台本のない同番組が長く楽しく続く秘訣や、“所ジョージ的思考”の根っこを本人にたっぷり語ってもらった。所ジョージインタビュー特集 第6回は楽曲制作の考え方、クリエイティブが「向いてない人」の典型について語っていく。
■対価を求めないからこそ広がる面白さ
――前回「対価が0のほうが面白い」で出た話題で、楽曲提供に対価をもらわないというスタンスについて、さらに聞いてみた。
所:どうでもよくなっちゃうんだよね。人に作るのは面白いですけど、よく考えたら俺から出てくるものなんだから、十円でいいし、いらないっしょって。
自分の曲は、何度も聞いてもらううち、もしくはいつか掘り起こされたときに面白さに気付いてもらえるよう噛み砕いて組み立てていく。でも人の歌は単純にキャッチーさや、ステージで華やかになれるような構成で作る。だから構成としては単純なんだよね。
――細川たかしさんのお弟子さんへ楽曲提供する際、細川たかしさんの分まで曲を書かれたというエピソードもありました。さらに木梨憲武さんには「木梨さんが書いたことにしていい」とプレゼントしたという話も伺っています。
所:全部書いた。ぜ~んぶ書いちゃった。面白いねぇ。
――ちなみに「世田谷ベース」でも音楽のライブパートが入っることもあります。所さんがご自身のアルバムを出されたりは…。
所:アルバムは出さない。めんどくさいもん。
――2025年には所さん名義で3曲ほど出ていますよね。
所:2025年…あぁ、あれは人にあげた記憶はあるな。へぇ~、俺の曲として配信されているんだ?
――そこに興味はないんですね。
所:全然ないよ。“オトナ”が「これはうちで配信で出すけど、一応所さん作曲だからちゃんとやらなきゃ」ってやってくれたんじゃないかな。
――でも、所さんの中では完璧に「無償提供した」というだけで完結しているんですよね。
所:俺の名前じゃなくて、他の人の名前で発売されたっていい。俺じゃなくてその事務所にお金が行こうが、関係ない。
もちろん来る分には拒否はしないよ!でも別に頓着しているわけじゃなくて、曲だけじゃなくイラストでも字でも、誰が何に使ってようが俺は構わない。気にならない。だって、いくらでもできるんだから。
■箸を使うのと同じこと
――「所さんは曲を作るのが早い」とは方々で言われていますが、「いくらでもできる」と言い切れるのは本当にすごいです。
所:いくらでもできるよ。だって、単純なんだもの曲なんて。みんなは暮らしの中で「男女がいて恋愛があって失恋があって季節がやってきて」…っていう“構成”で歌を作ろうとするよね。でも誰かが使ったような言葉は確かにキャッチーで良いんだけど、自分なりの色合いも出したくなるでしょ。そうしたら、“目の前にあるもの”で恋愛の話にしていこうかって思うわけ。
たとえば、いま目の前にあるライターで恋愛の歌を書き出すと、直接的な言葉は歌詞に出てこないのよ。だけど「ライターのオイルがなくなってきて火が小さくなってきちゃった」とか、「でもオイルを入れればもう一回立ち上がるよ」とか…そんなテイストでやっていけば恋愛の歌が書ける。「俺だけ持ってるからなかなか相手に伝わらないんだな」とかね。
とにかく何でもいいのよ。恋愛の歌を作るなら“目の前にある万物”に恋愛観を映し出せばいい。だから目の前にいろいろあるうちは、いくらでも曲が書ける。僕の作り方ではね。
――曲のイメージが尽きないという話もそうですが、どんな内容でも面白いことをこれだけの熱量で、この瞬発力で語り続けられるのはすごいですね。
所:いや、僕はほっときゃずっとしゃべっていますよ。番組もそう。たとえば民放で2時間半の特番をお願いされたとしたら、どんな内容だろうが俺は2時間半面白いこと言えるもん。それにお客さんがついてくるだけって話だから。だから「いまひとつ盛り上がりに欠けるな」ってときは、ぜひ私に話を持ってくればいいですよ。スケジュールの限り、なんでも面白くしますよ。
でも面白いのは、私の周りではトッププロのマスタークラスが集まって、みんながなんでも“遊び”でやっているってこと!みんなすごいから、「早いことが才能だ」という空気になっているわけ。「あいつより早い」「俺より早い」なんて始まって、「どうだ!」大会になるからスピードがさらに増してくる。
ちなみにこれまでの“最速”は、ゴルフ場のカートに乗っている時に電話で頼まれて9ホール終わるまでに曲を返した話。「もう来たの!?」ってなるよね、そりゃあ(笑)。
歌を作って画像に撮って、コンピュータに落とし込んで、LINEで送る。めんどくさい作業なんだけど、早いんだよ。
――ゴルフをしながら書けるものなんですね。
所:ゴルフしながら5番のロングホールでずっと歌を書いていたこともあるよ。石川遼くんの弟の石川航くんと回っていたときなんだけどね、矢吹プロデューサーが「遼くんの歌を書いてあげればいいじゃない」って言い出してさ。
青空を見ながら、上り調子をイメージしながら書いていくと、お昼ごろには出来上がってる感じ。一緒に回って体験しながらだから、自分の中でものすごい臨場感が出てくる。面白いよね。
――所さんが現在の域に達するまでには、どれくらいの時間がかかったのでしょうか。好きなことに1万時間費やすと達人になるという「1万時間の法則」という言葉もありますが。
所:私がやっていることって、たとえば箸を使うような感じだよ。箸をこう持って、たくあんに目掛けて取りにいく。このとき狙いすまして目掛けなくても摘まめるし、話しながらでも口に運べるでしょう。それと同じ。
最初のころは、たくあんを目掛けていくわけ。自分がロボットだったら「このモーターをこの角度で、この力具合で」って計算して運ぶ。ところが人間の性能はよくできていて、よそ見しながらでもいけるわけじゃない。
――クリエイティブな世界では「アイデアが尽きた」という悩みを聞くこともありますが、所さんには無縁なんですね。
所:あぁ、そういう人は才能ないね。ハナから向いてない。「休み時間がほしい」とか「1人にしてくれ」とか言うけどね。家族に足を引っ張られようが、大声出されようが、できる人間はできる。
――これ、そのまま書いちゃって大丈夫ですかね…。
所:大丈夫大丈夫。だって俺なんて「1対“芸能界”」だから。俺は芸能界、全部「才能ない」と思ってるからね。弱い者いじめじゃなくて“強いものいじめ”だから。ただ、あっち側が俺を相手にしないだけだけ。
■「みんな立派なものを作ろうと思うから手が出ないだけ」
――世田谷ベース内で作曲もされるんですか?
所:場所は関係ないかな。この間沖縄に行ったときは、部屋にピアノしかなかったからピアノでコード引いてメロディだけ作ったよ。でも子どものおもちゃみたいなピアニカみたいなのでも、曲は作れる。とりあえず音階が引ければいいから。
――そのなかでも「やっぱりギターが一番しっくりくる」といったことはありますか?
所:たしかにあるかも…あ、いや!ギターよりもリズムボックスの方がいいね。歌を作るときにギターでやろうとすると、「ちゃんと歌つくんなきゃな~♪」(ギターを弾きながら)って作るじゃん。そういうのはメロがコードで作りやすいんだけど、本当にもっとちゃんとした歌つくるんだったらリズムボックスで「ドンドンチャ・ドンドンチャ」ってずっと鳴らしておくんだよ。
そうすると、勝手にもう歌が出てくるから。「ドンツカッカッカ・ドンツカッカッカ」っていったらもうできる。まぁいろんな方法あるんですけどね
――作曲は全く門外漢ですが、特殊そうだなっていうことはわかりますね…。
所:ほら、「特殊そうだな」っていまの言葉の音程だけで「タラララ~ララ♪」ってメロがもうついてくるから。「特殊そうだな~そこは♪」
――貴重な体験過ぎて震えます(笑)。
所:なんでもいいんだよ。みんな立派なものを作ろうと思うから手が出ないだけで、立派なものなんてやがて立派になっていくんだから。何度も聞くうちに立派に聞こえてくるものだし。だから、初めはなんでもいいんだよ。
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なお、所ジョージがMCを務める「所さんの世田谷ベース」(BSフジ)の第461回「君はクオリティを上げているか?」が5月9日(土)夜10時から放送。1枚のアルミ板を使って棚に飾る小物のクオリティーを上げる、ちょっとした裏技を紹介していく。
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