1984年の名作「グレムリン」の誰も見たことがない長尺バージョンが、ロサンゼルスで極秘上映されたと、米ハリウッド・リポーターが独占で伝えている。
スクリーンにかけられたのは、約2時間35分の「アセンブリーカット」だ。撮影素材を脚本の順に粗くつないだ、編集の最初期段階の版にあたる。1984年6月に公開された完成版より、およそ1時間も長い。
招待は秘密裏に、テキストメッセージで送られたという。「誰も見たことがない映画を観に来ないか。来なければ一生後悔する」
応じて集まったのは、現代ホラーを動かしている顔ぶれだった。「ファイナル・デッドブラッド」のアダム・B・スタイン監督とザック・リポフスキー監督(二人は続編「グレムリン3(原題)」の脚本も手がけている)、「M3GAN ミーガン」の脚本家アケラ・クーパー、「ブギーマン」のロブ・サベージ監督らが顔をそろえた。「グレムリン」がいまホラーを撮っている世代にとってどれほど大きな原体験だったかが伝わる客席だった。
上映前、ジョー・ダンテ監督本人が登壇してこう前置きした。
「ある意味、これはアーカイブ上映だ。普段はね、書庫から引っ張り出してきた素材を、欠点もそのままに人前で上映なんてしないからね」
中身は、驚きの連続だったという。いたずら好きのモグワイから変身したグレムリンが最初に画面に現れるのは、映画開始から1時間も経ってからだ。バーで暴れ回るシーンは10分以上続き、グレムリンが歩く場面まである。一方で、フィービー・ケイツが演じるヒロインの名スピーチ「クリスマスを嫌う理由」は、このバージョンには見当たらない。グレムリンたちのカオスに尺を費やし、感情的な余韻のシーンはまだ組み込まれていなかったということになる。
このアセンブリーカットの存在は長年にわたり噂されてきたが、ダンテ監督が認めたのは今年に入ってからだ。唯一現存していたのは、監督が個人的に所持していたVHSコピー1本だけだったという。ダンテ監督はそれを、ファン運営のオンラインアーカイブ「ザ・グレムリンズ・ミュージアム」を主宰するイアン・グラントに譲渡。グラントが数カ月かけてデジタル化と修復を行い、ようやく上映に耐え得る形に仕上げたという。
「グレムリン」はホラーとコメディを大胆に融合させ、米国でPG-13というレーティング(13歳未満には保護者の注意が必要)が新設されるきっかけのひとつになった作品でもある。脚本家デビューを飾ったクリス・コロンバス監督は、その後「ホーム・アローン」「ハリー・ポッターと賢者の石」を手がけるヒットメーカーとなった。続編「グレムリン3(原題)」が動き出すなか、現代ホラーの作り手たちは古典映画の「もうひとつの姿」を目に焼きつけたようだ。
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写真:Album/アフロ
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ファイナル・デッドブラッド