「オーシャンズ11」「セックスと嘘とビデオテープ」のスティーブン・ソダーバーグ監督が、ジョン・レノンの最後のインタビューを軸にしたドキュメンタリーを完成させたと、米デッドラインに明かしている。仕上げに米IT大手メタの動画生成AIツールを併用した実験作だという。
素材になっているのは、1980年12月8日、レノンと妻のオノ・ヨーコがニューヨークの自宅で3人のジャーナリストに対して行った約2時間45分の音声インタビューだ。レノンが射殺されたのは、その数時間後のことだった。プロデューサー経由で独占的に音源を入手したソダーバーグ監督は、息子のショーン・レノンとオノに製作プランを直接説明し、レノン財団の協力を取り付けたという。
ソダーバーグ監督にとって最大の壁は、音声だけのインタビューを映画体験に仕上げることだった。アーカイブの写真や映像で約9割は埋められたが、レノンとオノが哲学的・抽象的な議論を交わす残りの1割には合う画像や映像がない。資金も底を尽きかけた。そこへメタが共同パートナーとして名乗りを上げ、開発中の動画生成AIツールを提供。1960年代風の衣装で大泣きする赤ちゃんたちの行列や、男女関係についてレノンが語る場面で原始人が振る舞うコメディタッチのシーンなど、現実では撮ることのできない比喩的な映像をAIで生成して当てはめていったという。
AI活用が公になった時点で、ソダーバーグ監督には「レノンを蘇らせるつもりだろう」という非難がぶつけられたという。これに対して監督はこう言い返したという。
「そんなことをやりそうな人間に見えますか?」
監督自身のAIに対するスタンスは、「使いたい人は使えばいい、使いたくない人は使わなくていい」というものだ。本人は「プロチョイス」という言葉でこれを表現する。重要なのは、AI生成だと観客に明らかな形で使うこと、そして製作者が透明性を持って語ることだという。
「私の道徳的義務は、自分自身、ショーンとオノ、観客に対して、この作品の最高のバージョンを届けることだ。それと同じくらい大切なのが、どうやってそれを実現したかについて観客に正直であることだ」
AI併用がなければ完成は不可能だったとも、ソダーバーグ監督は明かしている。同じシーンを従来のVFXで作れば巨額予算が必要だったところを、5週間で仕上げることができた。次回作として準備中の1898年米西戦争を題材にした大作でも、海戦シーンなどでAIを部分的に取り入れる構想があるという。
「ジョン・レノンザ・ラスト・インタビュー(原題)」は、5月のカンヌ国際映画祭でワールドプレミアを迎える。
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オーシャンズ11
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Photo by Emma McIntyre/Getty Images