山本英夫の大ヒット漫画を浅野忠信主演で三池崇史が2001年に監督したバイオレンス映画「殺し屋1」。公開から25年目の今年、三池監督と撮影の山本英夫監修の4Kリマスター版で「殺し屋1 4K」として5月15日から公開される。四半世紀という年月を経た今、三池監督が作品への思い入れや当時の思い出、新しい世代の観客に向けてのメッセージを語ったインタビューを、映画.comが入手した。
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<あらすじ>
歌舞伎町を根城とする暴力団・安生組の組長が突然姿を消した。組長から与えられる暴力を愛していたマゾヒストの垣原は、街中を執ように探し回る。やがてイチという殺し屋の存在にたどり着いた垣原は、その常軌を逸した殺しぶりを目の当たりにし、恋心にも似た興奮を覚える。
全身金髪で顔中傷だらけの垣原を浅野忠信、気が弱く泣きながら殺人マシーンと化すイチを大森南朋が演じ、塚本晋也、松尾スズキ、SABU、國村隼らが共演。
――原作「殺し屋1」を読んだ時の印象は?
映画の話をもらったときに初めて読みました。読んだらものすごく面白くて、これを全国に向けて、漫画として発信していいんだと。そのことがなぜ自分にとって嬉しかったかっていうと、じゃあ、もっと自由に映画作れるなって。これをコミックスとして世の中が受け入れているんだったら、我々はちょっと遠慮しすぎだよねっていう勇気をもらったのが最初ですね。面白いなと、ファンになりましたね。
――主要キャラクター、イチと垣原の造形について教えていただけますか。
イチは、もとはコンプレックスの塊みたいな人間で、そこに自分もふくめ、多くの人間は共感できるんですよ。俺は強くない、弱い人間なんだ、という怖がりの部分がある。子供の頃に屈辱的な思いをしたとか、傷ついたものって、大人になって社会的に成功しようが、なかなか修復できないんですよね。でも、逆にそういう傷があるからこそ力を発揮できるんだと。非常に個人的な感覚ですが、イチにはそれを感じますし、暴れてほしいと思っていました。
浅野忠信は、当時からアート系の作品に出演していたので、垣原役はとてもやらないだろうと思っていましたが、何か感じたようで「喜んでやりますよ」と。垣原という奴がいるんだという、独特のリアリティをお持ちになっていました。自分もいろいろな映画を撮ってきましたけど、作り出しているのではなく、こんな奴がいるんだというのを追いかけていく、まるでドキュメンタリーのような、他の映画では経験したことがないキャスト、役、監督という関係が衝撃的で楽しかったです。
――映画「殺し屋1」の暴力表現描写についてお聞かせください。
原作にそういう方向(暴力表現)がありますから、映画化するにあたっても、ある程度表現は解放された状態ですよね。映画でその表現をやっちゃダメなの?誰が決めているの?と。映画の表現方法の限界は国によっても、時代によっても違いますが、『殺し屋1』に登場するのは、そのあたりをあまり考えないでもいいようにしてくれるキャラクター。イチはこれじゃ終わらないよねとか、垣原はこうでしょとかという、作り上げようとしているキャラクターに、引きずられていくようでした。垣原に至っては、「今、世の中こうだし、こんな描写どうなのよ?」なんて道徳を話しても鼻で笑われるじゃないですか。垣原やイチという人間を登場させるのであればこれぐらいのことになるよね、ということで、正直に作りました。
登場するキャラクターが、この映画を観て楽しめるかどうかというのが、自分にとってはキャラクターに対する責任だと思いました。幸いにも、「『殺し屋1』を作るんだから、そうなるよね」と許してくれる横濱さんというプロデューサーがいて、映画や登場人物を常識の中に閉じ込めるのはやめようということになり、編集も含めて、非常に自由に楽しく作れました。キャラクターと一緒に暴れたという印象は残っています。
――公開から25年、暴力映画のクラシック作「殺し屋1」が再び公開されることについて、これから作品を見る方々へのメッセージをお願いいたします。
新しいお客さんに観てもらえることに喜びを感じます。映画は今デジタル化されていますが、本来、僕らが撮り始めた頃はフィルムで、一回上映するごとにどんどん傷ついていく、何年もかけるごとにズタズタになって、すり減って消滅するもの、その儚さが映画の格好良さだというのが自分の中にはありました。でも、4Kで修復されて、長く観てもらえるのはありがたいです。たくさん映画を撮りましたけど、なかなかそういう作品はないですから。あらためて上映されるのは、「殺し屋1」を撮った頃の我々のエネルギーと今、この作品をもう一度、上映しようという人たちのエネルギーだと思いますので、非常にうれしく思います。
5月15日新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。
【作品情報】
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殺し屋1
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