人気作家スティーブン・キングの原作を、トム・ヒドルストン主演で映画化した「サンキュー、チャック」(公開中)。本記事では、新規場面写真とともに、同作のロケ地について徹底解説する。
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【フォトギャラリー】「サンキュー、チャック」新場面写真
本作は、キングが2020年に発表し、読者の人生観を変える新たなる傑作の一本と称される原作を、「ジェラルドのゲーム」「ドクター・スリープ」に続き、キングと信頼の絆で結ばれたマイク・フラナガンの監督・脚本で映像化したミステリー。キングの小説を映画化した作品群では、「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に次ぐ、恐怖をくぐり抜けたその先で出会えるからこそより深く豊かな愛と希望を抱く感動作となり、トロント国際映画祭では最高賞の観客賞に輝いた。
なぜ「サンキュー、チャック』の映像は、こんなにも懐かしく、美しいのか――。
トム・ヒドルストンがゴールデンアワーの光の中で踊るダンスシーン、世界の終わりを前にした不穏な街並み、少年が夜の校庭でひとり舞う姿。本作を観た誰もが心を奪われるノスタルジックな映像の数々。この映像の秘密は、ロケ地であるアメリカ・アラバマ州の持つ圧倒的なポテンシャルにあった。
アラバマ州は近年、その多様な景観と情緒豊かな街並みから、映画のロケ地として急速に注目を集めている。ティム・バートン監督「ビッグ・フィッシュ」の幻想的な南部の風景や、アカデミー賞脚本賞を受賞したジョーダン・ピール監督「ゲット・アウト」のロケーションもこの地で撮影されている。南部の伝統的な街並みから、鬱蒼とした森、メキシコ湾に面した白い砂浜まで、ひとつの州の中に驚くほど多彩な景色が凝縮されたアラバマは、いわば“映画の聖地”と言えるだろう。
まず注目してほしいは、本作のハイライトとも言えるダンスシーンの舞台だ。ヒドルストン演じるチャックが街中で突如踊り出す同シーンは、アラバマ州フォーリーに位置する地域最大のファミリー向け複合施設「OWAエンターテインメント・コンプレックス」で撮影された。場面カットでは、ヒドルストン、共にダンスシーンを作り上げたアナリース・バッソ、ドラマーのテイラー・ゴードンの3人が、ゴールデンアワーの夕焼けに照らされながらハグをするワンシーンが切り取られている。
周囲の建物のディテールにまで“記憶の風景”が丁寧に再現されたこのロケーションだからこそ、チャックの人生のハイライトがこれほど輝いて見えるのだ。ダンスシーンを切り取った場面カットでは、伸びやかな空間で人の輪に囲まれる中、その場にたまたま居合わせた初対面の女性に手を伸ばしダンスに誘い出すチャックの喜びが、アラバマの豊かな空と溶け合うように広がっている。
続いて、キウェテル・イジョフォー演じるマーティーの自宅シーン。撮影が行われたのは、同じくアラバマ州フェアホープに実在する住宅地。ガレージの前に停めた車に腰をかけるマーティーを、大きな木の陰が優しく包み込む場面写真からは、アメリカ南部の穏やかな空気がそのまま伝わってくる。
そして、世界の終末シーンの舞台へ。世界が終わろうとしている最中、街中で「Thanks, Chuck!」という謎の看板を見つける場面は、アラバマ州モービルのコンベンションセンターや旧銀行といった実在のランドマークで撮影されている。古い街並みが残るドーフィン・ストリートは現代劇だけでなく時代劇の舞台としても重宝されるエリアで、日常の風景をそのまま“世界の終焉を前にした祝祭の場”へと変貌させるリアリティを生み出している。
最後に紹介するのは、暗闇に包まれた小学校のグラウンドで少年時代のチャック(ベンジャミン・パジャック)が人生の喜びに跳ね回るシーンだ。撮影地はアラバマ州ベイ・ミネット小学校。街の光が届かない広大な校庭から望む満天の星空は、チャックの人生“そのもの”を映し出すかのよう。キング作品の翻訳家として知られる白石朗氏は、本作のトークショーつき試写イベントにてこのシーンをお気に入りとして挙げ、「原作も敵わないんじゃないかな」と最大級の賛辞を贈ったシーンでもある。
【作品情報】
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サンキュー、チャック
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