【写真】すさまじいダブルヌンチャク、「ドラゴンへの道」
ホゥワァー、ホァチャー!と、この怪鳥音を聴いてブルース・リーの顔をすぐに思い浮かべるのは、きっとカンフー映画にハマった覚えがある人だろう。香港が生んだ不世出のアクションスター、ブルース・リー。BS12 トゥエルビ(BS222ch※全国無料)では5月2日(土)から5日(火)のゴールデンウィークに、「ブルース・リー特集」として、「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」「死亡遊戯」の4作を放送する。本物の武道の世界観を取り入れ、カンフー映画という新ジャンルを生み出したブルース・リー。その伝説の映画をここで振り返る。
■カンフー映画ブームを巻き起こした伝説のカンフースター
ブルース・リーと言えば、ジャッキー・チェン以前に「ドラゴン危機一発」(1971、香港)や「燃えよドラゴン」(1973、香港)で世界にカンフー映画ブームを巻き起こしたカンフースターだ。なにぶん古い映画なので今の若い世代は観たことがないかもしれないが、あらゆるジャンルでオマージュ、インスパイアされているので名前くらいは知っているという人は多いだろう。
怪鳥音と呼ばれる彼の奇声や拳法家としての動きは「北斗の拳」のケンシロウにも取り入れられ、世界的ヒットゲームの「ストリートファイター」シリーズには、ブルース・リーをモデルにしたフェイロンという格闘家がいる。また、本物の武道家であった彼は截拳道(ジークンドー)なる超実戦的武道を自ら創始しており、これも大ヒットゲーム「バーチャファイター」のキャラクターの中に使い手がいた(ジャッキー・ブライアント&サラ・ブライアント)ことで一気に知れ渡った。
ジークンドーの創始からも分かる通り、ブルース・リーが映画の中で見せているのはアクション俳優としてのカンフーではなく、武道家としてのカンフーだ。CGもワイヤーアクションもない時代だからこそ、鬼気迫るリアルな迫力がある。ジャッキー・チェンは「燃えよドラゴン」、「ドラゴン怒りの鉄拳」(最後の戦いで塔のドアを突き破って投げられたスタントマン)でスタント参加しているが、自分はブルース・リーにはなれないと悟り、コミカルな動きや痛さをさらけ出す方向へシフトしたともいう。
そんなカンフー映画のカリスマ、ブルース・リーだが、32歳の若さで死去しているため、「ドラゴン」シリーズはわずか4作品。死去後に制作された「死亡遊戯」(1978、香港)を含めても、彼の主演作は5作しかない。伝説の大きさに比べて圧倒的に少ないその数が、現代でブルース・リーのすごさが十分に伝わっていない要因の一つだろう。
■GWに放送、「ドラゴン」シリーズ+「死亡遊戯」
BS12 トゥエルビでは5月2日(土)より4日連続で、「燃えよドラゴン」を除くブルース・リー伝説の映画4作を放送する。ここでその見どころを紹介するので、未視聴という人はもちろん、記憶が甦るという人もぜひもう一度観てほしい。
■ブルース・リー“ドラゴン伝説”の始まり
「ドラゴン危機一発」4Kデジタル修復版
5月2日(土)夜7:35~
ブルース・リー伝説の始まりの一作。製氷工場を隠れ蓑に麻薬の密売を行う悪党たちを主人公の青年チェン(ブルース・リー)が叩きのめす。前半は母との誓いから拳を封印しているチェンだが、後半にあの怪鳥音と共に爆発。それまで観ていたカンフーアクションは何だったのかと思ってしまうほど、ブルース・リーだけが次元が違う。ジークンドーの直線的で速い動きも際立つ。
ただ、このときのブルース・リーはナイフなどの刃物も使い、怪鳥音もやや大人しい。手合わせする相手のレベルもあってか、全体的にプロトタイプ・ブルース・リーといった雰囲気だ。だからこそ「ドラゴン」シリーズはここから見始める意味がある。
■代名詞のヌンチャクが登場
「ドラゴン怒りの鉄拳」4Kデジタル修復版
5月3日(日)夜8:00~
ブルース・リーの人気を決定づけた一作。師の死の真相を巡り、日本人道場との対立が激化していく中、かの有名な道場破りのシーンで一気に爆発する。看板を叩き割った瞬間から空気が一変し、蹴散らすようなスピードと破壊力の格闘シーンが続く。
ここで初めて“ドラゴン”の代名詞となったヌンチャクを披露する。もともとヌンチャクは琉球の秘伝武術だが、ブルース・リーが使用したことで“我ヌンチャク使い也”が雨後の筍の如く生まれ、あっという間に拳法ものの定番武器として広まった。怪鳥音もより鋭く、より攻撃的になり、前作がプロトタイプだとすれば、ここでブルース・リーは一気に完成形へと跳ね上がる。
■コロッセオでの死闘はカンフー映画のベストバウト
「ドラゴンへの道」4Kデジタル修復版
5月4日(月)夜8:05~
ブルース・リーが自ら監督・脚本・製作・武術指導の四役を兼ね、その溢れる才能を完全燃焼させた一作。イタリア・ローマを舞台に、マフィアに立ち向かう不器用な青年タン・ロンを演じる。ローマに来て浮かれるタン=ブルース・リーのユーモラスある表情豊かな姿は前2作にはなかった一つの面白さだ。一方で、格闘シーンは前作を超える神業の域。特にダブルヌンチャクの凄まじさと言ったら、これはもう見て知ってもらうしかない。
クライマックス、コロッセオでのチャック・ノリスとの死闘は格闘映画史に残るベストバウトと称される。チャック・ノリスは元軍人で全米空手チャンピオン。ブルース・リーと交流があった本物の武術家であるだけに、二人の対決は映画を超えた凄みを放つ。チャック・ノリスは今年3月に死去しており、全盛期の彼を見られる一作でもある。
本作には己の哲学を反映したジークンドーの理論が色濃く反映されており、肉体美・スピード・演出、全てにおいてブルース・リーの理想が結実した傑作だ。
■ジークンドーの真髄を見る五重塔の戦い
「死亡遊戯」4Kデジタル修復版
5月5日(火)夜8:00~
ブルース・リーが「ジークンドーの真理」を世界に知らしめるべく、五重塔を舞台に各階の達人と戦う構想で挑んだ遺作。本人の死により未完となったが、代役や別カットを駆使して完成された。伝説の黄色いトラックスーツに身を包み、ヌンチャクを変幻自在に振り回す姿は、今なお世界中のカルチャーに影響を与え続けるアイコンとなった。
まず待ち受けるのは、フィリピン武術の達人ダン・イノサント。ブルース・リーの直弟子でもある彼との一戦は、互いにヌンチャクを振り回す超高速の武器術バトルへと発展する。風を切る音、火花が散るようなスピード感は、まさにジークンドーの神髄だ。
次なる刺客は、韓国合気道(ハプキドー)の最高師範チ・ハンツァイ。関節技や投げ技を駆使する達人を相手に、ブルース・リーは静と動を使い分けた高度な心理戦と肉体戦を繰り広げる。
そして、最上階。身長218cmの巨人カリーム・アブドゥル=ジャバールとの対決が圧巻。体格差をものともせず、柔軟な思考と戦術で敵を圧倒する様は、彼が遺した「Be Water(水のようになれ)」という戦いの哲学そのもの。不世出の天才が最後に到達しようとした境地がここにある。
◆文=鈴木康道
【関連記事】
・
【写真】改めて見るとビビる、ブルース・リーと身長218cmの巨人との対決…「死亡遊戯」
・
【写真】ブルース・リーとチャック・ノリスの死闘…「ドラゴンへの道」
・
【写真】高速ヌンチャクバトル…ブルース・リーVS.直弟子ダン・イノサント
・
【写真】最短距離の打突!利き腕を前に出すジークンドーの構え
・
【写真】怪鳥音と称されるブルース・リーの叫び