黒澤明監督作品に撮影助手として参加し、以降キャメラマン(撮影監督)として「八甲田山」、「鉄道員(ぽっぽや)」、監督としても「劒岳 点の記」「散り椿」など数々の名作を創り続けている日本映画界の巨匠・木村大作。86歳の木村が監督・撮影に加え、企画・脚本・編集の合計5役を自ら担当する映画「腹をくくって」の製作に乗り出した。5月1日に東京都内で行われた企画発表記者会見では、主演を山﨑賢人が務めることも明かされ、木村監督が山﨑に惚れ込んだ理由を語った。
時代小説の名手・山本周五郎の小説を原案に、“敵討ち”、“暗殺”、“決闘” という3つの大きな見どころを配しながら、日本人としての美しく潔い生きざまを描く。木村がこだわり続けるCG無しでのリアル撮影によって、四季折々の美しく、荘厳な日本の風土を存分にちりばめた映像の中で物語を映し出していくという。会見場に姿を現した木村監督は、マイクなしで「聞こえているよね?」と声を張り上げるなど早速、木村節全開。「監督作としては、4本目。また現場に立てる」と現場愛をにじませた。「腹をくくって」というタイトルについては、「これまでも全部、腹をくくってやってきました」と自らの人生においても、覚悟を持って進んできたと特別な愛着を寄せていた。
86歳にして、監督・撮影に加え、企画・脚本・編集の合計5役を担う。木村監督は「この映画は、遺言のためにつくるわけではない」と意欲満面。「体力は相当、落ちました。でもね、年と共に気力だけはずんずん上がっていく」と体力と気力のバランスには苦戦しているというが、「まだ元気。あと2本くらいはやりたいと思っている。70過ぎの方が、忙しい生活をしています。本当にありがたい。大好きな日本映画の現場に立っている時に一番、幸福感を感じる。生きているなと感じる」と実感を込めた。
主演を務めるのは、山﨑賢人。2028年のNHK大河ドラマ「ジョン万」の主演にも決定している山﨑について、木村監督は「今やヒットメーカー」と切り出し、「それだけで選んでいるわけではない」とキッパリ。
「あの人と初めて、生で二人きりになったことがある。姿形、すごいですよ。背も高いし、“美しい青年”を見たという感じ」と見た目の美しさに惚れ惚れとしつつも、「素の姿に、いいなあという感じがあった。ものすごく純真で、もっと言えば純朴で。日常、素の姿で出てもらっていいよと。絶対にあなたはその方がいいんだと。そういう姿で撮る」と実際に話しながら、山崎の素顔に魅力を感じたという。加えて「非常にナイーブで、ある角度に行くと、男の色気がある。ある角度で、ものすごいインテリジェンスのある顔」と語り、「高倉健、吉永小百合、岩下志麻、渡哲也、舘ひろし。そういう人を撮ってきている。人間って、ある角度なんです」とキャメラマンとして捉えてきた名優たちのように、角度から見つめたくなる存在である様子。
さらに松山ケンイチ、松田龍平、古川琴音、北大路欣也、渡辺謙、阿部寛、佐藤浩市という錚々たるキャスト陣の名前が発表された。木村監督は「この映画の一番の売りは、キャスティングです」と力強く語る。
「すばらしい人たちが、この映画に出ていただけることを本当に喜んでいます。皆さんとはもうお会いしていますが、ニコニコと応対してくれるので。非常にやる気になっていただいている。ただもう一人、まだ会っていない人がいます。それは渡辺謙さん。大丈夫だとは思っていますが、言葉を選んで話そうと思っている」と苦笑い。「これだけの人が集まるというのは、なかなかのものだと思います」と胸を張りつつ、「この映画が封切ってコケたら、日本映画は終わりだよね。自分も終わりだと思っています」と話していた。
本作は、立山連峰を望む富山、長野、京都、滋賀などで、本年10月よりオールロケを敢行予定。満開の桜、目に沁みる新緑、鮮やかな紅葉、身を切る風雪を存分にフィルムに収め、心震える人間ドラマを最高の俳優陣のアンサンブルで届ける。
「腹をくくって」は、2027年に全国公開予定。
【作品情報】
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鉄道員(ぽっぽや)
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