5月1日(金) 4:30
厚生年金保険料の算出に用いる標準報酬月額の「上限」が段階的に引き上げられます。標準報酬月額とは、毎月の給与をそのまま基準とするのではなく、一定の幅で区分された等級に当てはめて厚生年金保険料を算出する仕組みです。保険料はこの等級を基準に決まるため、実際の収入が高くなるほど等級も上がります。
ただし、これまで厚生年金保険料の算出に用いる標準報酬月額の上限は65万円に設定されており、それを超える収入があっても保険料は増えませんでした。
その結果、高所得者ほど収入に対する保険料の負担割合が低くなる状況が生じていました。今回の見直しは、こうした不公平感を和らげ、収入に見合った負担となることを目指した制度改正といえるでしょう。
今回の改正では、厚生年金保険料の標準報酬月額の上限について、一気に引き上げるのではなく、新たな等級を追加する形で段階的に見直しが行われます。最終的には上限が75万円まで拡大される予定で、これまで標準報酬月額の上限である65万円に達していた層は、その分厚生年金保険料の負担が増えることになります。
具体的には、2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へと順次引き上げられる予定です。こうした段階的な実施には、急激な負担増を避ける狙いがあります。また、保険料負担が増える一方で、将来受け取る厚生年金額の増加や、制度全体の給付水準の底上げにもつながると見込まれています。
標準報酬月額の上限引き上げにより、特に高所得者層では厚生年金保険料の自己負担が増える見込みです。
例えば、月収だけで「80万円超」の部長職などでは、厚生労働省の試算によると、最終的に上限が75万円まで引き上げられた場合、労使折半後の本人負担は月約6万8600円となります。
これは現行の上限65万円での保険料と比べて、月9100円の負担増加であり、年間では約11万円の増額となるため家計への影響は小さくありません。社会保険料控除を考慮しても実質月6100円程度の負担額増となる計算ですが、上記は賞与額を考慮していないため、実際の年間負担はさらに増減する可能性がある点に注意しましょう。
一方で、10年納め続けると受け取れる年金額は月5100円程度、年間で6万円程度増えるとされています。ただし、実際の手取りへの影響は所得税率や住民税率などによっても異なるため、個別の確認が必要です。なお、標準報酬月額が65万円以下の人については、今回の上限引き上げによる厚生年金保険料の増加はありません。
厚生年金保険料の算定に用いる標準報酬月額の上限引き上げは、現行の上限である65万円を超える月収の人では負担の増加となる一方で、将来の年金額の増加にもつながる制度改正です。
2027年9月より段階的に実施されるため手取りの急落は抑えられますが、標準報酬月額に換算して75万円以上の層では、最終的に月9000円以上、賞与も込みで考えるとそれ以上の手取り減となる可能性があります。自身の収入水準によって影響は異なるため、当てはまる方は改定内容を注視しておきましょう。
厚生労働省 厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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