主演・仲島有彩と堤幸彦ら4人の監督が語る『転校生ナノ』リメイクの裏側「1年ほど役作りに時間を」「日本の空気感を出すように」

仲島有彩/撮影=下田直樹

主演・仲島有彩と堤幸彦ら4人の監督が語る『転校生ナノ』リメイクの裏側「1年ほど役作りに時間を」「日本の空気感を出すように」

4月30日(木) 18:30

仲島有彩
【写真】仲島有彩、初々しい撮り下ろしショット

タイドラマ「転校生ナノ」シーズン1の日本版リメイク作品が、4月24日よりFODにて独占配信を開始した。本作で俳優デビューとなる主演の仲島有彩と、オムニバス形式で描かれる本作で監督を務めた4人・堤幸彦(episode1「特別レッスン」監督)、熊切和嘉(episode2「ソーシャル・ラブ」、episode4「正しいのは私」共に監督)、ユ・ヨンソン(episode3「女王の資格」、episode5「憎しみの壁」共に脚本・監督)、畑中みゆき(episode6「探しものは何ですか?」脚本・監督)にインタビュー。前編となる今回は、日本版へのリメイクの仕方やそれぞれの“ナノ”について深掘りし、解き明かしてもらった。

■「この転校生、何かがおかしい」学園ミステリー・スリラー

本作は、学園という閉鎖空間を舞台に、ある日突然クラスにやってきた謎の転校生“ナノ”によって、閉ざされた日常が揺らいでいく学園ミステリー・スリラー。ナノはエピソードごとに異なる学校へ転校し、そこで出会う人々の嘘や秘密に踏み込み、彼らに“選択”を促すことで、教師や生徒たちがひた隠しにしてきた欲望を次第にあぶり出していく。

■仲島「タイ版のナノをすごく研究…1年ほど役作りに時間をかけた」

ーー本作で仲島さんは俳優デビューとなりますが、まずはドラマ初出演にして主演という大役が決まったときの感想を教えてください。

仲島:演じることができると聞いたときは、ワクワクというより不安やプレッシャーの方が大きかったです。タイ版のナノが本当に素晴らしい作品だったので、その世界観を壊さないように、かつ皆様の期待を上回るものを作り上げなきゃいけないという思いがずっと大きくて。個人的にタイ版のナノをすごく研究したり、1年ほど役作りに時間をかけたりしました。本番ではそれを出していくだけだったので不安はなかったのですが、初主演でナノを演じることに対してはやっぱり重圧がありましたね。

ーー具体的に1年間かけてどのような役作りをしていたのですか?

仲島:演技レッスンの先生と一緒にタイ版のナノを何度も観て、立ち方や座り方といった所作一つひとつを突き詰めました。たとえば座るときのバッグを置くタイミングなど、細かな部分まで本当に研究しました。

■熊切監督「浮世離れした雰囲気だったので、僕が描くナノ像とはぴったり」

ーー監督の皆さんから見て、仲島さんの初主演のお芝居はどうでしたか?

堤監督:元がある作品ですから、期待と同時に心配もしていましたが、それは全くの杞憂で、非常に良かったです。物怖じしないところが素晴らしいなと。最初にお会いした時から、新人の方でありながら堂々とされていて、その図太さや落ち着きのある佇まいが、ナノのイメージとすぐにリンクしました。元のナノを演じた方の経歴は存じ上げませんが、「この人なら十分戦えるな」と最初に会った時に確信しましたね。僕は最後の撮影だったのもあり、もうほぼ出来上がっていたので、現場で「ああしろ、こうしろ」と指示することはほとんどなかったです。

ユ監督:有彩さんに初めてお会いした時、なぜか“鞘の中に収まった刀”のような印象を受けました。外から見ると穏やかで安定しているけれど、その内側にすごく鋭い刃を隠しているようなイメージですね。その部分を劇中でどう活かすか、かなり悩みました。結論から言いますと、最も“日本らしく”撮ろうと努力しました。

熊切監督:全体を通して最初に撮ったのは僕の現場で、ep.4でした。初めは多分緊張していたと思うんですけど、あまりそれが顔に出ない方と言いますか。事前の本読みなどもきちんとできたので、全然不安はなかったです。今まで知り合ったことがないタイプで、普段から俗っぽさがなく、浮世離れした天女のような雰囲気だったので、僕が描くナノ像とはぴったりでした。そういう空気感が元々ある方なので、今回ご一緒できてよかったですし、日本版のナノとして面白いなとも思いました。

ーー現場で特に印象に残っていることはありますか?

熊切監督:すごく一生懸命やっているなと思いました。最初に撮ったのが安達祐実さんと対峙するシーンだったんです。完璧なお芝居をされていた安達さんに向き合っていて、すごくフラットに、自然に芝居をやられていたのでとても良かったです。

仲島:ありがとうございます。初めて安達さんとお会いした時は、「私、今からこの方に挑発的な態度をとるのか…」と本当にすごく緊張しました。でも、ナノに入り込んで、彼女視点ですべてを客観視するようになってからは、お芝居に集中できました。最後の安達さんと実験室で対話をするシーンで、私の目がギョロッとする箇所があるんですけど、その目については「すごく良かったね」と褒めていただけて、うれしかったです。

■仲島「タイバージョンよりも少し落ち着いているナノに」

ーー“ナノ”を日本版に落とし込むにあたって、意識したことはありますか?

仲島:タイ版のナノは、日本版の私が演じたものと比べてもっと飛び抜けて奇妙で、もっと明るいと思うんですよね。でも、日本の脚本を読んだ時に、もうちょっと引いた視点から見ている存在なのかなと感じました。だから、タイ版よりも少し落ち着いているナノとして解釈しました。

ーー「引いた視点から」というのは、具体的にどのようなイメージですか?

仲島:ナノは、世界に溶け込めているようで溶け込めていない、もう一つのワールドにいる存在という感覚で。あえて本質的には溶け込みにはいかない。人との距離感をうまく保ちながらも、ずっとどこか違う柱に1人でいるようなイメージを想像していました。

■堤監督「日本の空気感を出すように色調整をした」

ーー監督の皆さんから見て、本作の世界観はどう捉えていましたか?

熊切監督:ナノ自体に関しては、一種の触媒のような存在だと思っています。地獄に落ちそうな人がどんどん突き進んでいくのを促進する作用がある人だなと。日本で学校のロケーションでやるとなると、すごく生々しいものになるだろうと思ったので、良い感じにダークファンタジーに持っていきたいなというバランスは考えました。あと、最初にこのお話をいただいたとき、昔、佐藤嗣麻子監督が撮られた映画「エコエコアザラク」が好きだったので、ああいう雰囲気の世界観ができたらいいなと思っていましたね。

ユ監督:私にとってナノは温かさを感じるけれど、近づくと熱くて火傷してしまうような“火”のような存在です。ep.3とep.5では共通して、ナノを“観察者の視点”で描くということを意識しました。各話の主人公たちが破滅していく過程を、客観的に見つめるのがナノの視点だと思って描きました。

ーー日本版へのリメイクにあたって、どんなことを意識しましたか?

ユ監督:最初にタイ版を見た時、ナノがあまりにも日本のキャラクターのようだと思ったんです。最大限日本のカラーに合うように、日本らしさと日本の強みを取り入れたイメージを作らなければと考えました。日本のドラマや映画の強みである鋭く繊細な描写を活かして、ナノもそういう強烈なイメージになるように努力しました。

堤監督:僕は、まずは“色彩”ですね。タイ特有の湿っぽい空気感は出そうと思っても出せないので、そこは振り切って、日本の空気感を出すように色調整をしました。演技についても、日本のドラマや映画の“人懐っこさ”や“気取らなさ”といったライトな雰囲気を見せておいて、後でゾッとさせる。説明を過多にせず、映像で見せることを心がけました。

■ユ監督「日本の感覚やホラー映画が大好きで」

ーー制作において難しさはありましたか?

ユ監督:大きな困難は感じませんでした。私は日本の感覚やホラー映画が大好きで、大林宣彦監督の「HOUSE ハウス」や三池崇史監督の作品をよく見てきたので、そうした作品をオマージュするような要素を少し溶け込ませたら面白いのではないかと考えました。

ーーユ監督、もしこの作品を韓国でリメイクするとしたら、どんなテイストで描きますか?

ユ監督:ナノというキャラクターに大きな変化はないと思います。ただ、物語自体のスタイルはかなり変化するでしょうね。現代社会が抱える問題をより反映した、韓国らしいドラマになると思います。「それはホラーなのか」と聞かれれば、韓国のホラーは社会問題を反映した物語を好む傾向があります。ですので、現代の問題を入れた、社会性の強いホラーへと方向性が変わるのではないかと推測します。

■畑中監督「キーカラーをティファニーブルーに」

ーー畑中監督のep.6は、他のエピソードとはまた少し違うアプローチでしたね。

畑中監督:原作の方から「ナノは相手の感情が映し鏡になる」というお言葉をいただき、すごく納得しました。だから、相手役のタクト(西山蓮都)が純粋な分だけナノも純粋になる、そこを大切に自分の中に落とし込んで脚本と撮影を進めました。その原作の軸は絶対にぶれないように、ちゃんと忠実にやらなきゃいけないなと意識していましたね。

ーー映像的な美しさも印象的でした。

畑中監督:原作の「探しものは何ですか?」の映像が大好きだったので、私なりの別の美しさで追求したいなと。キーカラーをティファニーブルーにしてもらうなど、色味に力を入れました。あとラストシーンに関しては、原作の方の意見をちゃんと伺って、OKをいただいたのでラストはタイとは少し変えてあります。

■ユ監督「韓国でも堤監督のドラマは大人気」

ーー監督が同じキャラクターを描く上で、他の監督の存在を意識しましたか?

畑中監督:違いを出したかったというよりも、きっと自然に違いが出てしまうと思いました。それはep.6のナノは他のナノの描き方とはアプローチが違う部分があるからです。ep.6は他と違うから、有彩さんの表情が可愛いナノを盛りだくさんにしたいと考えていました。ただ、堤監督が衣裳合わせで有彩さんに笑顔の表情のお芝居をつけられているのを見て、「あ、やっぱりこのナノだ」と腑に落ちたんです。私はそのニヤッと笑顔は出てこない回だから撮れなかったんですけど(笑)。そう思うと、その時、堤監督が作られたトーンが一個基準としてあったのかなと感じます。

ユ監督:私は大学時代から堤監督の作品が大好きだったので、光栄に思っています。韓国でも堤監督の「ケイゾク」や「SPEC」などのシリーズはドラマとして大人気なんです。他の監督を特別に意識したわけではないのですが、自分が持つ“ナノ”のイメージをしっかり描こうと考えました。

堤監督:監督同士で何かということはあまり考えないですね。常に「これがデビュー作だ」という気持ちで臨んでいるので。自分のエピソードで何を一番言いたいのかを持ち続けることが大切です。僕の場合は、ナノのミステリアスな部分と社会性の強さ。現実の事件や世代特有の共通認識をしっかり描くことを意識しました。ただ、皆さんの作品を見るとオリジナリティがあって、この短い期間と予算(笑)で、よく頑張っているなと、勉強になりました。

熊切監督:僕もそんなに意識はしていないですね。「先に撮っちゃえ」みたいな感覚でした(笑)。

■仲島「本当に恵まれた環境だなと感謝」

ーー仲島さんは、デビュー作にして4人の監督にそれぞれのナノを撮ってもらうことへの心持ちはどうでしたか?

仲島:本当に恵まれた環境だなと感謝しています。ただ、監督ごとにやっぱり撮り方が異なるので、いかに早く対応していこうかとずっと考えていました。いざ現場が始まったら、監督の皆さん一人ひとりが私と直接対話をしてくださって、たくさんコミュニケーションをとってくださりながら撮影が進んでいったので、「どうしよう」と焦ることは全くなく、スムーズに撮影させていただきました。

■堤監督「天性の才能かもしれない」

ーー仲島さんにとってこの作品が今後の俳優人生でどんな存在になるか、そして監督の皆さんから仲島さんへメッセージをお願いします。

畑中監督:次は違う強い一面を、凛々しい表情の役でご一緒したいな。殺陣をマスターして棍棒を振り回していましたから、次はバイオレンスアクションで(笑)。

熊切監督:自信を持って続けていってほしいです。ナノじゃない役も僕は見てみたいです。

堤監督:彼女、ほとんどNGを出さなかったですよね。バランスやテンポ感の調整でテイクを重ねることはありましたが、目線や間合いといった重要な要素も理解していて、とてもやりやすかったです。天性の才能かもしれない。次にやるなら、年相応に見えて裏の顔がある二面性のある役をやってほしいですね。あとはフィギュアスケートの役も!

仲島:(笑)。私、NGを出しまくった記憶がすごくありますよ。ドライアイで泣いているみたいになってしまったり、高いところが苦手なせいで屋上のシーンは怖くてビクビクしていました。スタッフの方々にすごく助けていただきました。

堤監督:え、そうなの!? 1ミリも分からなかったよ! モニター越しでは普通に喋っているようにしか見えなかった。それを悟らせないのはやっぱりすごいですね。

仲島:今の私のイメージはすっかりナノになっていると思うので、これからは仲島有彩というより、ナノとして覚えていただけるんじゃないかと思います。もちろんうれしいことですが、これからいろいろな作品を重ねて、どんなものにも化けられるんだという変化を見てほしいなと思います。

取材・構成・文=戸塚安友奈



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