4月30日(木) 2:30
定年後に夫婦が同居している場合、住居費や光熱費、食費などを共有できるため、1人あたりの負担は比較的抑えられます。しかし、別々に暮らすとなると、この前提が大きく変わります。
例えば、これまで1つで済んでいた家賃や固定資産税が2つ分必要になります。さらに電気代や水道代もそれぞれで発生するため、単純に生活費は増える傾向にあります。特に影響が大きいのが住居費です。持ち家であれば一方が住み続ける形も可能ですが、もう一方は新たに住まいを確保しなければなりません。
また、食費も意外と増えやすい項目です。1人暮らしはまとめ買いや作り置きがしにくく、割高になる傾向があります。こうした積み重ねにより、同居時と比べて生活費は1.2倍〜1.5倍程度になるケースもあります。
老後の主な収入源は年金です。夫婦2人で受け取っていた年金を、それぞれの生活に分けて使うことになるため、1人あたりの使える金額は当然減ります。
例えば、夫婦で月20万円の年金を受け取っていた場合、単純に半分ずつとすると1人10万円です。この金額で家賃や生活費をまかなうのは簡単ではありません。特に都市部では家賃だけで大半が消えてしまう可能性があります。
離婚した場合には「年金分割」という制度があり、婚姻期間中の厚生年金を分け合うことができます。ただし、これは自動的に増えるわけではなく、手続きが必要です。また、分割しても十分な生活費になるとは限りません。
もし収入が不足する場合は、以下のような対策が現実的です。
・貯蓄を取り崩す
・パートなどの軽い仕事をする
・生活費の安い地域へ引っ越す
特に、体力や健康状態に問題がなければ、短時間の仕事を続けることで家計の安定につながります。
別々に暮らす方法には「別居」と「離婚」の2つがありますが、費用面では違いがあります。
別居の場合、婚姻関係が続いているため、収入が多い側が生活費を負担する義務があります。これを「婚姻費用」と呼びます。そのため、完全に独立した家計にはならず、一定の支援を受けられる可能性があります。
一方、離婚するとこの義務は基本的になくなります。その代わり、財産分与や年金分割によって資産を分けることになります。ただし、その後の生活は完全に自己責任となるため、長期的な視点で資金計画を立てる必要があります。
また、離婚後は配偶者の扶養から外れるため、健康保険や税金の負担が増える場合があります。これらも見落としがちなポイントです。
熟年離婚や別居は珍しいものではなくなっていますが、実際に行動に移す前には、費用面の現実をしっかり把握することが重要です。特に、住居費と年金収入のバランスは、老後の生活の安定を大きく左右する重要なポイントです。
もし不安がある場合は、現在の収入と支出を書き出し、別々に暮らした場合のシミュレーションを行うことをおすすめします。数字で確認することで、現実的な選択が見えてきます。
老後の生活は長期にわたるため、一時の感情だけで決めるのではなく、無理のない生活が続けられるかどうかを基準に考えることが大切です。そのうえで、自分にとって納得できる形を選ぶことが、安心した老後につながるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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