高年収「800万円」でも、手取りは“600万円”しか残らない!? 社会保険料だけで「年100万円」以上! 所得税率20%の壁と「税金・社会保険料」の負担を試算

高年収「800万円」でも、手取りは“600万円”しか残らない!? 社会保険料だけで「年100万円」以上! 所得税率20%の壁と「税金・社会保険料」の負担を試算

4月28日(火) 10:40

「年収800万円」と聞くと、高収入という印象を持つ人も多いでしょう。しかし、実際に給与明細を見ると、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれ、手取り額は思ったほど残らないと感じることもあります。 所得税は、年収全体にかかるわけではありません。給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引いた後の「課税所得」に対して、段階的に税率がかかる仕組みです。本記事では、年収800万円の会社員を例に、税金と社会保険料を差し引いた手取り額を試算し、税率20%の実態を解説します。

所得税率20%は「年収800万円全体」にかかるわけではない

所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる「超過累進税率」という仕組みです。国税庁による令和7年度の速算表では、課税所得が194万9000円までなら税率5%、195万円超329万9000円までなら10%、330万円超694万9000円までなら20%となっています。
 
つまり、税率20%の区分に入るのは、年収ではなく「課税所得」が330万円を超えた部分からです。
 
ここで重要なのは、年収800万円の人の所得税が「800万円×20%」で計算されるわけではないという点です。会社員の場合、まず給与収入から給与所得控除を差し引きます。さらに、基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引いた金額が、課税所得です。
 
そのため、税率20%といっても年収全体に20%がかかるのではなく、各種控除を引いた後の課税所得に対して計算されます。
 

年収800万円の社会保険料を試算

ここでは、年収800万円の会社員について、次の条件を定めて概算します。
 

・会社員
・40歳以上
・扶養家族なし
・協会けんぽ東京支部に加入
・賞与なし、月収約66万7000円
・令和8年度の保険料率を使用
・住民税は概算

 
上記の例は、協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表によると、標準報酬月額68万円の場合、40歳以上の健康保険料の本人負担は月3万8998円、厚生年金保険料の本人負担は月5万9475円です。また、令和8年度からの子ども・子育て支援金について、同じ標準報酬月額では折半額が月782円です。
 
この場合、健康保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て支援金の合計は月9万9255円、年間では約119万1060円です。さらに、令和8年度の雇用保険料率は一般の事業で労働者負担が1000分の5とされているため、年収800万円では雇用保険料が年間約4万円になります。
 
したがって、社会保険料の合計は、概算で年間約123万1000円です。月平均にすると、約10万2000円が社会保険料として差し引かれる計算です。
 

所得税・住民税を含めた手取り額はいくら?

次に、税額を試算してみましょう。
 
年収800万円の給与所得控除後の給与所得は、概算で610万円です。「令和7年度税制改正」により、所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて見直されており、合計所得金額489万円超655万円以下の場合は従来の48万円から63万円(令和8年度)に引き上げられました。
 
今回の例では、給与所得610万円から、基礎控除63万円と社会保険料控除約123万1000円を差し引くと、課税所得は約424万円になります。所得税の速算表に当てはめた場合、課税所得330万円超695万円以下の区分に入るため、税率は20%です。
 
所得税は、下記の計算となります。
424万円×20%-42万7500円=約42万500円
復興特別所得税 を含めると、所得税はおおむね43万円程度です。
 
住民税については所得割10%を中心に計算されますが、基礎控除額や均等割、自治体ごとの差があります。住民税の基礎控除については、所得税のような段階的な引き上げはなく、最高43万円とされています。
 
よって概算では、年収800万円・扶養なしの住民税は年間45万円前後と考えられます。年間の負担は次のとおりです。
 

・社会保険料:約123万1000円
・所得税:約43万円
・住民税:約45万円
・合計:約211万1000円

 
年収800万円からこれらを差し引くと、手取り額は約589万円です。月平均では約49万円となります。
 
ただし、実際には賞与の有無、勤務先の健康保険、居住地、扶養家族、生命保険料控除、住宅ローン控除、iDeCoなどによって金額は変わります。あくまで1つのモデルケースとして考えてください。
 

税率が10%から20%に変わると税金は一気に増える?

世間では「所得税率20%の壁」という表現から、税率が10%から20%に変わった瞬間、税金が急に倍になると感じる人もいるかもしれません。しかし、実際にはそうはなりません。
 
所得税の速算表では、課税所得195万円超330万円以下は「10%-9万7500円」、330万円超695万円以下は「20%-42万7500円」で計算します。
 
例えば、課税所得が330万円なら所得税は、下記のとおりです。
330万円×10%-9万7500円=23万2500円
 
課税所得が331万円になると、下記となります。
331万円×20%-42万7500円=23万4500円
 
課税所得が1万円増えた場合、所得税の増加額は約2000円です。税率20%の区分に入ったからといって、課税所得全体に突然20%分の負担が重くなるわけではありません。
 
つまり、「20%の壁」といっても、実際には330万円を超えた部分に対する税率が上がるイメージです。年収800万円の人は確かに税率20%の区分に入りますが、控除額があるため、手取りが約600万円から急激に減る仕組みにはなっていません。
 
「所得税率20%」という言葉だけを見ると、負担が急に重くなるように感じますが、実際には超過累進税率と控除の仕組みによって、税負担は段階的に増えていきます。年収が上がったときは、額面だけでなく、税金・社会保険料を差し引いた手取りベースで家計を確認することから始めましょう。
 

出典

国税庁 No.2260所得税の税率
国税庁 No.1410給与所得控除
国税庁 No.1199基礎控除
 
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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