僕青・青木宙帆、「私はもう要らない」と悩んだ日々に訪れた転機

青木宙帆(あおき ゆうほ)

僕青・青木宙帆、「私はもう要らない」と悩んだ日々に訪れた転機

4月28日(火) 8:51

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「僕が見たかった青空」、2023年6月15日に乃木坂46の公式ライバルとして結成したアイドルグループ(通称:僕青)だ。

同グループはセカンドシングル以降、シングル選抜システムを採用。メンバー21人(1名活動休止中)は、表題曲やメディア出演をしていく選抜の「青空組」と、ライブなどを中心に活動する「雲組」の2つのチームに分かれて活動してきた。

しかし、2026年6月3日にリリースされる8枚目シングルは、結成3周年を迎えるアニバーサリーシングルとして全員歌唱となった。

この連載「あの日夢見た雲組」は、12月17日リリースの7枚目シングル「あれはフェアリー」で活動していた雲組メンバーが何を思うのか。現在進行中の全国ツアー2026春の公演の振り返りとともに、彼女たちの今に注目していく。

ツアー会場が変わらない分、成長を見せたい

「席があまり埋まっていないんじゃないか——」

4月4日、全国ツアー宮城公演の開演前。青木宙帆は、客席を不安そうに見つめていた。

ツアー初日となった東京公演後には、結成3年目にして初めてメンバーだけで行うミーティングが開催された。「今までは青空組と雲組で活動がわかれていて、全員が集まってちゃんと想いを話す場がなかったんです」。2度目の全国ツアーをどうしていきたいか。東京公演の本番映像を見ながら、僕青のライブに足を運んでもらうためにはどうしたらいいのか。グループの今後について、いろいろな意見や提案が出た。

宮城公演の幕が上がると、ファンとのコール&レスポンスが会場を包み、1部(昼)の公演から僕青の最高点を目指すパフォーマンスを披露。20人が団結した公演になった。

「去年の全国ツアーは雲組単独公演の活動と並行していて、ポジションを覚えるのが大変でした。今年は違う。全国ツアーだけに集中できている。ステージに立ったとき、余裕を持ってライブを楽しむぞという気持ちになれている。毎公演が終わるごとに、『次はこうやって盛り上げてみよう』っていう話をしながらレベルアップしている実感もありますね。前回のツアーと会場がそこまで変わらないぶん、メンバー自身がちゃんと成長を見せたいという思いは強く感じます」

11日の福岡公演。青木にとって特別な場所だ。大学時代の一年間を過ごし、僕青のオーディションを受けたのもこの地だった。「訪れるたびに特別な想いになるというか、『帰ってきたな』という気持ちで嬉しくなる。今回のツアーは会場前方に女性専用エリアがあって、女性ファンの方が増えている感覚もありました」

グループでの役割は「バランサー」

公演後には、食事会が開催された。もつ鍋を囲み、メンバーとスタッフが一緒に過ごす。ライブ演出チームや音楽レーベルのスタッフから僕青に対する想いを知ることができた。

「普段あまりコミュニケーションが取れなかった方々とお話できたのはすごく嬉しかった。ライブ当日だとバタバタしていていつも時間がないので」

翌12日の広島公演は声援が大きく、熱量が高かった。「『反響のティッピングポイント』で(伊藤)ゆずちゃんと近いポジションなので、よく目が合っているんですけど、その日はとくに二人ともテンション上がって頭を振って盛り上がっていました」

グループにおける自分の役割は、「バランサー」だと彼女は言う。ライブ中の企画やトークでもほかのメンバーと被らないように、自分にフォーカスするものではなく、グループ全体を表わす感じを選ぶ。「いつもは優柔不断でマイペースだけど、僕青では周りの波を見ながらやれるタイプかなと思ってます」と分析して笑った。

そのバランス感覚は、沖縄県石垣島の生活で育まれた。3歳下に弟がおり、サッカーやカラーガード、エイサー、三線、そろばん、英会話——興味を持ったものは両親が全部やらせてくれた。高校時代は、石垣島の電波望遠鏡で新惑星を探すプロジェクトにも参加。「両親が宇宙が好きで私の名前にも『宙』が入っているんです。親戚がアートデザイン系のお仕事をしていたので、祖母の家にはアートの本がたくさん並んでいたんです、私はその本を読むのが好きでした」。その影響で始めた美術館巡りは今も続いている。



運動ができないもどかしさを埋めてくれた存在

アイドルに深くハマったのは、中学時代にサッカーで怪我をした時だった。運動ができないもどかしい時間をアイドルが埋めてくれた。推しは日向坂46の影山優佳。頭脳明晰で特技のサッカーを生かして独自のアイドル像を切り開く姿に憧れた。

高校時代にいくつかの芸能オーディションに挑戦したが不合格。高校を卒業して福岡の大学に進学したことを機に、アイドルになることは諦めていた。しかし、大学2年生の頃、高校時代に海辺で夜空を見ながら将来を語り合っていた親友が、「本当にいいの? これならまだ間に合うんじゃない」と勧めてくれたのが僕青のオーディションだった。

合格後、東京でデビューに向けてレッスンに励むなか、大学生活とアイドルの両立は難しいと中退を決断。両親には「大学に行かせてもらったことは絶対に無駄にしない」と説得した。

アイドルになってからの3年を振り返ると、苦しいことのほうが多かった。オーディションでこそダンス審査はなかったが、セカンドシングル以降は雲組に。初期の雲組単独公演で披露することになった乃木坂46の『制服のマネキン』で一人だけ外されたときにはレッスン場の隅に座って、タオルで顔を覆いながら声を押し殺して泣いていた。

サッカーで痛めた足の怪我、周りに追いつけない歯がゆさ

「このグループに私はもう要らないんだな」

その思いが頭から離れなかった。メンタルがやられて、号泣して帰った。何のためにここにいるのか、わからなくなった。

「今まであまり言ってこなかったんですけど、サッカーで痛めた足の怪我は完治していなくて、今もリハビリしながら活動していて。当時もテーピングでガチガチに固めながらレッスンをやっていたんですが、周りに追いつけない歯がゆさも悔しさもありました」

転機は突然訪れた。2024年、ジェフユナイテッド千葉の応援番組MCに抜擢された。サッカーという特技で、僕青を世間に知ってもらえる。そう思ったとき、ようやく自分の存在意義を見つけた気がした。

「少しでも僕青の名前を出せる仕事がもらえた時に、もっと頑張ろう、こういう風に頑張ればいいんだなって思えた。最近はXで投稿したボールを使ったパフォーマンス動画をファンの方や関係者の方に褒めてもらえて嬉しかったです」

そんななかで、8枚目シングルはデビューシングル以来のメンバー全員選抜。驚きや複雑な気持ちもあった。それと同時に、「昨シングルは今まで最小人数の雲組で活動してきて、今までにない役割を少しずつ担わせていただいてから、ちょっとだけ欲が芽生えるようになった」と心境の変化を感じていた。

青木宙帆という存在をどう表現していけるのか

「今までは自分は青空組を目指すという土俵にも立てていないという思いがあったけど、私も上を目指す気持ちを持ってもいいのかなって。全員選抜だけど、全員が平等に出られるわけではないので、そのなかで青木宙帆という存在をどう表現していけるのか考えています」

その決意の裏には、忘れられないファンからの言葉がある。「もう『成長したね』って言わないでおくね」。まだまだだけど、3年間で少しは自分のものにできてきたのかなと自信が持てた。

「全国ツアーではファンの方とたくさん目線を合わせながら、6月20日に山梨県河口湖ステラシアターで開催する結成3周年記念の野外ライブには、私が…一人でも多くの方にライブに行きたいと思ってもらえるような活動をしたい。どんな仕事でもそうなんですけど、自分の色を出せるように頑張っていきたいです」

両親がつけてくれた「宙帆」という名前の由来は、決してとどまることのない時間の中で、帆を張ってここに存在している、という願いだ。

石垣の星空を見ながら夢を描いていた少女は今、確かに帆を立てて進み続けている。

青木宙帆撮影、仙台・福岡・広島公演

【青木宙帆(あおき ゆうほ)】
2003年、沖縄県生まれ。2023年6月15日に結成したアイドルグループ「僕が見たかった青空」(通称「僕青」)のメンバー。子どもの頃からジェフユナイテッド千葉の大ファンで、千葉テレビで毎月第4日曜日に放送中の「WIN BY ALL!」のMCも務めている。7枚目シングル「あれはフェアリー」が発売中。現在開催中の全国ツアー「僕が見たかった青空 全国ツアー2026」のファイナルには、6月20日(土)河口湖ステラシアターでの「結成3周年記念僕が観たかった『青空野外』ライブ2026」が開催される。デビュー3周年となる8月30日には、豊洲PITにて「アオゾラサマーフェスティバル2026」の開催が決定。最新情報は公式HPをチェック。青木のXアカウントは@yuho_bokuao



<取材・文/吉岡 俊撮影/山田耕司(扶桑社)>



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