4月27日(月) 0:00
「夫婦なんだから、どちらの口座でお金を管理しても同じだろう」と考える方もいるでしょう。しかし、夫の稼いだ給料を妻名義の口座へ移し、それが贈与であると判断された場合、贈与税が発生する可能性があります。
贈与税には、その年の1月1日から12月31日までの1年間で110万円という基礎控除額が設けられています。今回のケースのように、毎月10万円を妻名義の口座に積み立てている場合、年間で120万円を移動させている状態です。
この120万円から基礎控除額の110万円を差し引いた10万円に対して、贈与税が課される計算になります。
ただし、単に口座にお金を移しただけで即座に課税されるわけではありません。重要なのは、そのお金の所有権が誰にあるのかという点です。もし妻が勝手に夫の給料を自分名義の口座に移しているだけで、夫がその資金移動を認識していないのであれば、それは贈与ではなく、実質的には夫の財産(名義預金)とみなされることもあります。
夫婦間のお金の移動がすべて課税対象になるわけではありません。法律では、夫婦や親子などの扶養義務者の間で行われる生活費や教育費の贈与については、通常必要と認められる範囲内であれば贈与税がかからないと定められています。
しかし、生活費や教育費のための贈与が非課税となるには重要なルールがあります。国税庁によれば、それは「必要な都度、直接これらの費用に充てるために贈与されたもの」である必要があるという点です。
つまり、夫から渡された毎月10万円を、そのまま生活費として使い切っているのであれば問題はないと考えられます。しかし、生活費として受け取ったお金を使い切らず、自分名義の口座に貯金して将来の資産運用や不動産購入の頭金に充てるような場合などは、通常の贈与とみなされ、贈与税が課されてしまう可能性が高くなります。
将来に備えた貯金は、その時点では生活に必要な支出とはみなされないため、注意が必要です。
自分名義の口座に貯めているからといって、必ずしも自分の資産として認められるわけではありません。特に相続が発生した際に問題になりやすいのが名義預金です。名義預金とは、口座の名義は妻であっても、その原資が夫の収入であり、夫が実質的に管理・支配しているような預金のことを指します。
例えば、妻に継続的な収入がないにもかかわらず、妻名義の口座に数百万円から数千万円規模の預貯金が形成されている場合には、その資金の実質的な帰属が問題となることがあります。このようなケースでは、税務上「名義預金」として扱われ、実際の資金提供者である夫の財産と判断される可能性があります。
仮に名義預金と認定された場合には、相続発生時に当該資産が夫の相続財産に含まれることとなり、結果として想定していなかった相続税の負担が生じるおそれがあります。
これを防ぐためには、そのお金が正当な贈与によって自分のものになったことを証明する必要があります。具体的には、年間110万円を超える贈与を受ける場合はあえて贈与税の申告を行う、贈与契約書を作成する、通帳や印鑑は名義人本人が管理し、自由に使用できる状態にしておくといった対策が有効です。
将来に備えて、夫の給与の一部を自身名義の口座で積み立てていくことは、家計管理の一環として行われるケースも多く、安定した生活基盤を維持するための取り組みのひとつといえるでしょう。
しかし、日本の税制においては、夫婦間であっても年間110万円を超える資産の移動は贈与税の対象になり得るという点は、意識しておくべきです。
もしそれが将来の2人の生活のための共通財産であるなら、あえて無理に名義を分けず、夫名義のまま管理する方が税務トラブルを回避できる可能性があります。せっかくの蓄えを目減りさせないためにも、税の仕組みを正しく理解し、透明性の高い家計管理を心がけていきましょう。
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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