4月26日に開催される香港チャンピオンズデー。シャティン競馬場を舞台に3つの国際GⅠが行なわれる。
どのレースも世界中から注目を集めているが、日本の競馬ファンが最も関心を寄せているのは、GⅠクイーンエリザベスⅡ世カップ(芝2000m)ではないだろうか。香港の"総大将"ロマンチックウォリアー(せん8歳)と、日本期待のマスカレードボール(牡4歳)が激突するからだ。
8歳になっても衰えが見られないロマンチックウォリアー
ロマンチックウォリアーは一昨年、日本に来日してGⅠ安田記念(東京・芝1600m)を制覇。昨年はサウジアラビアに遠征して、GⅠサウジカップ(キングアブドゥルアジーズ・ダート1800m)に挑戦。初めてのダート戦ながら、フォーエバーヤングと激闘を演じて2着と奮闘した。
今年8歳になるが、いまだその強さは健在だ。地元香港における2025年秋からの新シーズンでは、陣営が「国内レースに専念して"香港三冠"を目指す」と明言。そして、GⅠスチュワーズカップ(1月25日/シャティン・芝1600m)、GⅠ香港ゴールドカップ(3月1日/シャティン・芝2000m)と、すでに二冠を果たしている。
残すは、来月行なわれるGⅠチャンピオンズ&チャターカップ(5月24日/シャティン・芝2400m)。そこへ弾みをつける意味でも、ここはきっちりと勝っておきたいレースだろう。
シャティンの芝2000m戦では、これまで14戦13勝(2着1回)。今回も鞍上を務めるジェームズ・マクドナルド騎手とのコンビでは、同条件で11戦負け知らずだ。そこで敗れてきた馬のなかには、ベラジオオペラやリバティアイランド、タスティエーラなど日本のトップホースらの名前も並ぶ。
となれば、今回も大本命となる。しかしながら、司令官のダニー・シャム調教師は「今回のクイーンエリザベスⅡ世カップは、過去15年ぐらいのなかでも一番と言えるほどの好メンバーがそろった。簡単に勝てるとは思っていない」と慎重な姿勢を見せる。
シャム調教師が「好メンバー」と言って警戒する1頭となるのは、無論マスカレードボールである。
香港の馬番号は、馬の格付けを表すレーティングの高い順につけられる。それゆえ、ロマンチックウォリアーは香港でのレースでは長い間、馬番「1」をつけてきた。つまり、常にレーティング最上位の存在だったということだ。
それが今回、マスカレードボールに馬番「1」を譲ることとなった。ロマンチックウォリアーが馬番「2」をつけるのは、2023年のGⅠ香港カップ以来となる。ちなみに、そのとき馬番「1」をつけたのは、GⅠアイリッシュチャンピオンS(レパーズタウン・芝2000m)などGⅠ3勝のルクセンブルク(アイルランド)だった。
マスカレードボールは昨春、牡馬クラシックのGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)で3着、GⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)で2着という結果を残し、昨秋のGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)で初の戴冠を遂げた。その後、GⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)で昨年の世界ナンバー1ホースとなったカランダガン(フランス)と壮絶な叩き合いを演じて2着となった。
そうした走りが評価されて、レーティングは128。レーティング125のロマンチックウォリアーより3ポイントも高い。4月22日の追い切りでは、管理する手塚貴久調教師が「そんなに調教でよく見せるタイプではない」と言いつつも軽快な動きを披露。ここでも勝ち負け必至と見られ、ロマンチックウォリアーとの熾烈な争いが注目される。
だが、そのマスカレードボールにしても、不安がないわけではない。今回はジャパンカップ以来となる今年初のレース。さらに、右回りのレースではGⅠホープフルS(中山・芝2000m)11着、皐月賞3着と、いまだ連対すらない。また、気性的にナーバスな面があり、初の海外遠征で力を出しきれるのか、といった懸念もある。
それはすなわち、ロマンチックウォリアーとマスカレードボールの「2強」も絶対ではない。つけ入る隙が十分にある、ということだ。
そこで面白そうなのは、マスカレードボール以外の日本調教馬2頭。ジョバンニ(牡4歳)とジューンテイク(牡5歳)だ。
ジョバンニは、前走のGⅡ金鯱賞(3月15日/中京・芝2000m)2着から参戦。強調すべきは、先週の皐月賞を制したロブチェンも手がける杉山晴紀調教師の管理馬であること。その勢いは見逃せない。
実は、杉山調教師は皐月賞の表彰式に姿を現さなかったのだが、それは香港へのフライト時刻が迫っていたからだという。いち早く香港にわたって、杉山調教師自らが跨ってジョバンニの調教をつけてきた。その意気込みからしても、大駆けの可能性は十分にある。
一方、重賞2勝のジューンテイクは4月22日に追い切りを消化。鞍上のジョアン・モレイラ騎手を背にして、軽快な動きを見せていた。
ゴール通過後にモレイラ騎手が下馬してヒヤリとする場面もあったが、その後の獣医検査では問題なし。むしろ、世界でも高水準にある香港の獣医のお墨付きを得られたことは心強い限り。少し時計の掛かる馬場を得意としており、洋芝の香港の馬場が追い風になるかもしれない。
その他、欧州のGⅠ馬2頭も侮れない。
まずは、昨年のGⅠ凱旋門賞(パリロンシャン・芝2400m)3着のソジー(牡5歳/フランス)。昨年末にはGⅠ香港ヴァーズ(シャティン・芝2400m)を快勝しており、香港での適性は証明済み。人気の盲点になるようなら、積極的に狙ってみたい1頭だ。
片や、英国のロイヤルチャンピオン(せん8歳)も前走で、今年からGⅠに昇格したサウジアラビアのGⅠネオムターフ(2月14日/キングアブドゥルアジーズ・芝2100m)を完勝。昨年の覇者シンエンペラーらを相手にしなかったことを踏まえると、チャンスは大いにある。
ただし、同馬は4月23日の追い切りで暴走。予定よりも1周多く全力で走ってしまった影響が気になるところだ。
いずれにしても、楽しみなメンバーが集ったクイーンエリザベスⅡ世カップ。「2強」が力どおりの走りを見せるのか。伏兵の台頭があるのか。必見である。
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