4月25日(土) 5:40
会社から支給された通勤手当で定期券を購入し、それを休日の外出に利用することに不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、届け出ている通勤経路の範囲内で利用する限り、休日に私的移動に使うこと自体は原則として不正とはみなされません。
その最大の理由は、定期券の休日利用によって、会社に新たな金銭的損害が発生しないからです。通勤手当は、従業員が通勤のために負担する費用を会社が補てんする性質のものです。会社が定期代として一定額を支給している場合、その定期券を私用で使ったとしても、会社が支払う総額は増加しません。
ただし、就業規則や通勤手当の支給条件に例外的な規定がある場合や、虚偽の通勤経路を申告していた場合は、返還を求められる可能性があります。
休日利用自体は問題なくても、仕組みとして注意しなければならないのが通勤手当の非課税限度額と支給条件です。
2026年現在の税制において、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合、通勤手当は1ヶ月あたり15万円までが非課税限度額とされています。この枠を超えて支給される分は給与として課税対象になりますが、そもそもこの非課税枠は最も経済的かつ合理的な経路に対して認められるものです。
もし、遊びに行くのに便利だからという理由だけで、本来の通勤ルートよりも高額な経路を申請し、差額を受け取っている場合は話が変わります。これは通勤に必要な実費を超えた過剰な請求となり、会社に対する不正行為とみなされるおそれがあります。
通勤手当は、実際に要する通勤費用を基準として算定されるケースが一般的です。そのため、実態と異なる高額な金額で申請している場合には、会社に対して過大な支出を生じさせていると判断される可能性があります。このような場合には、返還請求を受けたり懲戒処分の対象になったりするリスクがある点に留意が必要です。
会社が従業員に対し、通勤手当の返還を法的に求めるのは、事実と異なる虚偽の申告など、不正受給に該当するようなケースが認められた場合です。
例えば、以下のようなケースでは、過去数年分にさかのぼって返還を求められるリスクがあります。
(1)転居したのに届け出ず、以前の高い運賃を受け取り続けている場合
(2)実際には自転車や徒歩で通勤しているにもかかわらず、電車やバスなどを利用する旨を偽って通勤手当を申請している場合
(3)最安ルートではない経路を最安と偽って申請し、差額を受け取っている場合
特に悪質なケースでは、裁判所が懲戒解雇を有効と認めた判例もあります。例えば、約4年半にわたり虚偽の転居申請で200万円以上を不正受給したケースでは、会社による懲戒解雇が有効と判断された事例があります。
会社に届け出た通りの経路で通勤しており、その範囲内の定期券を休日に利用しているだけであれば、直ちに問題になることはないと考えられます。しかし、これはあくまで正しい申請が前提にあることを忘れてはいけません。
引っ越しや通勤経路の変更などにより、現在支給されている通勤手当と実際の運賃との間に差額が生じている場合には、速やかに会社へ申告することが重要です。差額が小さい場合であっても、そのまま放置することは、後に返還を求められるリスクがある点に留意が必要です。
通勤手当は、従業員の通勤に要する費用を補てんする目的で会社が支給するものであり、その取り扱いは社内規程に基づいて運用されています。制度の趣旨やルールを正しく理解したうえで、適切に対応していくことが求められます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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