4月24日(金) 5:10
iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、積立をすることで課税所得が減るため、住民税の負担軽減につながります。
保育料の算出方法は自治体によって異なるものの、多くの場合は住民税所得割課税額をベースに階層区分を決めています。住民税が抑えられることで階層区分が1~2段階下がり、保育料も下がるケースがあるのは事実です。
筆者の居住地である栃木県宇都宮市では、利用者負担額の階層区分は「父母それぞれの市町村民税所得割課税額を合算して算定します」と明記されています。
図表1
宇都宮市 3号認定の利用者負担額(保育料)基準額表(月額)
ただし「住民税が少し下がる=保育料も下がる」とは限りません。iDeCoで住民税が下がっても、その下がり幅が階層区分の境目をまたがなければ、保育料は据え置きとなります。
会社員の人が上限まで積み立てたら保育料はいくら下がるのか、シミュレーションしてみました。まず、企業年金のない会社員のiDeCo掛金上限は月2万3000円、年額にすると27万6000円です。
住民税は一般に所得割部分の税率が10%なので、iDeCoを上限まで積み立てた場合、住民税の軽減額は年間でおおむね2万7600円になります。これをもとに、保育料がどれくらい下がるのか試算してみました。
宇都宮市の0~2歳児・保育標準時間の区分では、市町村民税所得割課税額が7万~20万円の間で試算してみたところ、14万~16万円および20万円では変化が見られなかったものの、ほかの課税額では年間1万2000円~15万6000円の違いが見られました。
図表2
筆者作成
つまり「iDeCoで保育料が月5万円から4万円に下がった」という話は、理屈上はありえるうえに、それ以上の金額を抑えられるケースもあります。
もともとの住民税額がちょうど階層の境目付近にあり、iDeCoにより住民税が軽減されれば、1段下の階層に入りやすくなり、保育料が下がることが期待できるでしょう。
iDeCoに存在する節税メリットは、条件が合えば保育料が下がることも期待できます。
しかし、iDeCoは原則60歳まで引き出せないデメリットがあることから、無理に積立をすると子育て期間中にキャッシュフローが苦しくなることが考えられます。
子育て世帯にとっては保育料だけでなく食費や教育費、住宅費など、直近で使うお金も必要です。とくに子どもが小さい時期は、急な出費や働き方の変化も起こりやすいため、保育料の節約額だけを見て判断するのは家計管理の観点からも避けるべきです。
そして忘れてはならないのは、iDeCoで住民税が下がったとしても、住民税所得割課税額や積立額によっては保育料に影響しないケースもあることです。宇都宮市のように住民税の階層区分で保育料が決まる自治体では、iDeCoで住民税が下がり、ちょうど区分をまたげた場合にのみ保育料が下がります。
iDeCoはあくまでも老後資金のための積立であるため、保育料の引き下げだけを目的に利用するかどうかは慎重に判断したいところです。
宇都宮市 教育・保育施設等の利用者負担額(保育料)基準額
執筆者 : 土田崇央
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー