<機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ>村瀬修功監督の“こだわり”実現に東奔西走…制作スタッフトークショーが開催

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」制作スタッフトークショー/(C)創通・サンライズ

<機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ>村瀬修功監督の“こだわり”実現に東奔西走…制作スタッフトークショーが開催

4月23日(木) 18:55

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」制作スタッフトークショー
【動画】爆炎描写にもこだわったアリュゼウス戦「キルケーの魔女」公開後PV

全国上映中の映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」の制作スタッフによるトークショーが、東京・新宿ピカデリーにて4月21日に開催。撮影監督の大山佳久氏と、美術監督の大久保錦一氏、プロデューサーの笠井圭介氏、設定制作の秋山李助氏の計4名が登壇し、制作の舞台裏を明かした。

■前作記録更新で高まる次回作への期待

2021年6月に公開された「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」第1章は、リアリスティックな戦闘描写と繊細な心理劇で高い評価を受けた作品。シリーズ第2章となる「キルケーの魔女」は、2026年1月30日より全国公開され、興行面でも好調に成績を伸ばしている。

3月20日時点で観客動員148万人、興行収入25億円を突破しており、前作が記録した観客動員108万人、最終興行収入22.3億円を上回るヒットとなっている。

鑑賞者からは、ハサウェイ、ギギ、ケネスの関係性を軸とした人物描写や、静かな緊張感を伴う会話演出について、「音楽が最高」「終盤の展開が衝撃」などの声が多く寄せられている。ラストシーンの余韻を評価する声も多く、「第3章が楽しみ」「次回作への期待が高まる」といった反応がSNS上で広がっている。
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」メインビジュアル


■流麗な映像美を実現した主要制作スタッフたちが登場

MCを務める笠井圭介プロデューサーが「緊張していますが……」と挨拶をすると、会場は温かい拍手に包まれる。1月30日の公開からトークショー当日(4月21日)までの観客動員数が159万人を超えていることが発表されると、拍手はいっそう大きくなった。そんな中、美術監督の大久保錦一、撮影監督の大山佳久、設定制作の秋山李助がステージに登場し、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」をクリエイティブの側面から深掘りし、作品へのこだわりを訊いていくスタッフトークがスタートした。

大久保は「『閃光のハサウェイ』は何度観てもいいですよね」とニッコリ挨拶。大山は「かなり多くの方に来ていただいて本当にうれしいです」と感謝。秋山は「今日は上から下までガンダムのアパレルで、靴も『閃光のハサウェイ』のコラボアイテムです」と続けた。

まずは、大久保、大山、秋山の3人が本作においてどのような仕事をしたのかを説明。「人物とモビルスーツ以外の背景、美術を任せていただいています」と話した大久保が「美術は、普通に描く人だけでも100人くらいの(スタッフが)いて、プラスCGを作る人もいるというかなり大人数のセクションで、みなさんに助けられて完成しました」とスタッフに感謝すると、会場からも労いと感謝に溢れる拍手が湧き上がる。会場を見渡した大久保は「(ファンの皆様には)背景も気にしていただいているのかなと思うと、めちゃくちゃうれしいです」と、ファンがこの日のスタッフトークに興味を持っていることに感謝を述べた。

大山は「撮影の仕事はみなさんよくご存知かとは思いますが……」と、この日集まった作品ファンを見つつ、「作画、3D、モニターなどの素材を合わせて一つの画面にしていく行程を、全てのカットに対して行っていく仕事」と説明。大山は本作について「とにかくモニターや3Dなどの種類が多く、難解な作品」としながらも「普通の作品ではありえない、100名くらいのスタッフが撮影に参加していました」と、こちらも美術同様、大人数のチームで挑んだ作品だと明かしていた。

秋山は自らの仕事を「特殊な仕事」だと話し、「(村瀬修功)監督と一緒に、メカ、キャラクター、美術設定など、いろいろな設定を作っていく仕事です。さらに商品関係のチェックや監修、本や記事の校閲なども担当しています」と説明した。笠井から秋山が本作に登場するキャラクター「ウェーブ」のモデルであることが補足されると、秋山は「作中で、村瀬監督にだいぶ活かしてもらっています(笑)」と語った。

■「僕たちは“こだわらせられた”」村瀬修功監督の“こだわり”に向き合うスタッフたち

リアルを追求した表現が本作の大きな特徴のひとつ。リアリティを出すために各セクションがどのような点にこだわり、作業をしていたのかをスライドを使って解説していくことに。

大久保から「こだわった点というか、こだわっているのは村瀬監督。僕たちは“こだわらせられた”(笑)」とシリーズではすっかりおなじみとなっている村瀬監督の“こだわり”についてのトークが展開していく。「僕の意思ではなく、村瀬監督の意思だと思ってください」と笑いながら呼びかけた大久保が、村瀬監督からのオーダー内容について「CGのルックだったり、写真っぽくなりすぎるのはダメと言われて……」と語る。「人間の手を加えて、CGでも画でもないような、絶妙な表現にしたいというオーダーでした。画を描き込みすぎると、『なんか画に見えちゃうな……』ってコメントをもらっちゃって。実際絵を描いているんですけれどね」と笑いながら語った大久保は、「CGももちろん使っているけれど、CGのままではダメ。非常に掴むのが難しかったです」と振り返る。

「CGモデルのレンダリングをした後に、家具などの使い込んだ感じはカットごとに手描きでエイジング加工を加えています」と解説し「いい感じに質感が出るように、毎カット、いろいろな人の手を介して描いています」と複雑な作業を重ねたと明かす。「村瀬監督は『一回CGでライティングして!』『一回やってみて』って気軽に言うんですよね……」と苦笑いしながらも、ライティング原図から美術に描き起こしていく行程を踏まえつつ「そこから手描きに入る。でも、手描き作業に入る前までにもモデリングしたり、ライティングしたりとめちゃくちゃ行程を踏んでいるんで……」とライティングにこだわる村瀬監督のもと、緻密な作業を経ていたと力を込めて語った。

■“イマジナリー村瀬修功”を心に抱き、スタッフ自らリテイクを重ねるように

本シリーズでは“暗さ”もひとつの特長だと切り出した大山は「暗いところから明るいところに来た時の明るさの変化を感じる場面が多くある」としつつ、本作でのこだわりは「Depth Map」をたくさん使用していることだと語る。「ほとんどのカットでDepth Mapを使っています。他の作品でも使うものですが、限定的にしか使用しないことが多い」と話した。

大山はスライドに映し出された潜水艦内のカットを見ながら「(潜水艦内の)モニターにディスプレイデザインを全部貼った状態の3Dシーンが存在します。実写では当たり前の作り方ですが、アニメ的には不思議な作り方です」と本作ならではの“リアル”の表現が生まれた背景には他のアニメ作品では“あまりない”作り方があるとしていた。

映らないところ、見えないところも各セクションがこだわって作っていたと笠井が触れると、大山は「作品としてすごく珍しいのは、美術監督と撮影監督が近い席で仕事をしているということです。普通は部署ごとに会社も違っていて、別のところで作業しているものだけれど、今回は一緒にやっています」と解説。ヴァリアント内のエレベーターのシーンを例に挙げ、「演出の守さんからエレベーターに関して相談された時に、3Dではなく撮影でエレベーターを作ったんです。After Effectsの3Dレイヤーで角度を変えて無理やり貼ってムービーにして動くようにしているんです。でも実際に使われたカットはほんの一瞬でした」と話す大山に対し、「エレベーターは何枚描いたことか……」と振り返った大久保。

美術監督、撮影監督が制作を振り返り、大変さを滲ませていると「“ハサウェイあるある”です。箪笥の中に服を入れておけ!みたいな……」と笠井が補足すると、大山は「見えないけれど、隠れているけれど、そこにある!みたいなところまで作り込んでいて……」と苦笑い。見えないところの作業で苦労したことを話していきながら、「みんな“イマジナリー村瀬修功”に取り憑かれていて……。『村瀬監督ならこう言うだろう』って考えて自らリテイクを出していく」と盛り上がるスタッフ陣。村瀬監督が思い描くであろう、欲しがるであろうものを先回りして作り、村瀬監督のリクエストに応えるような体になってしまっていたと笑いあい、観客も「わかる!」といった様子で笑いを見せていた。

■目玉のアリュゼウスの戦闘シーン、リアルな爆発演出に苦心

さらにトークでは村瀬監督のこだわりにも触れることに。大久保は「(ギギがゲッチンゲン・ハウスのテラスから夕方の海を眺めるカットにおいて)フィリピンのアポ山が見える場面、ここにも村瀬監督のこだわりがあります。美術でなんとなく見栄え良い位置でアポ山を描いたら『位置が違う気がする』『座標合ってる?』って言われて(笑)。結局、ちゃんと正しい座標をとって描きました」としみじみ振り返る。スタッフ陣はこだわりの強い村瀬監督から最初にOKが出たカットは「撮影で撮った水滴のカットで、人物やモビルスーツは一切写っていなかった」と笑いながら語った。

こだわりは村瀬監督だけではない。大久保のこだわりとして「ヴァリアントの艦長室」が映るシーンが紹介され、「見えないところで言うと、艦長室奥が寝室になっていて、そこにキャットタワーと餌が置いてあります。本編では映っておらず、ヴァリアントも沈んでしまったので今後登場する可能性は低いのですが......」と初公開となる設定を説明すると、会場は笑いに包まれる。しかし、ここでのこだわりはそれだけではなく、艦長室が猫の四春(フォーチュン)のテリトリーだということで、「艦長の机に四春が爪でガジガジ刻んでいる跡があったり、細かなこだわりを入れています」とエイジング処理について説明した。

続いて大山はアリュゼウスの戦闘シーンで登場する、通称「爆炎ドーム」について語り「色味などを撮影で落としてはいますが、赤みも入って結構面白い作りになりました」とうれしそうに話した。笠井は「爆炎ドーム」について「グスタフ・カール00型が撃ち落とされて地面に落下する瞬間に爆発します。ここで、コンテナミサイルも一緒に爆発したため、すごく大きな爆発(爆炎ドーム)が起きています。よくあるテレビシリーズ作品では、爆発が起きたらいずれは煙が消えるのだから、演出上、煙が消えるまでのカットを端折ってしまいがちです。でも本作では村瀬監督がそれを許してくれず。『(煙は)残り続けるだろう、しかも広がっていくだろう』となり、時間経過で薄くなっていくことを表現したいと監督が言いまして、『大山さんどうしましょう』って相談して……」と解説をしながら制作過程を改めて振り返る。秋山が「作画で描いた爆発から3Dで作った煙に変化するまでの間をうまいこと、撮影さん、特技(特殊技術)さん含め、各セクションが繋げて完成させたシーンです」と語った。

■新たな大ヒット御礼動画も公開、成功裏に幕を閉じたトークショー

制作秘話がどんどん盛り上がっていき「時間が足りない!」という声が出たところで、イベントは終わりに近づく。「撮影チーム、美術チームも含め、クリエイターのみなさんの努力の賜物です!」と笠井が改めて感謝すると、会場からは割れんばかりの拍手が湧き起こった。フォトセッション後には、本編でデザインワークス/CGモデリングを担当したシオガマノブユキ作成のヴァリアントの船倉と Ξ(クスィー)ガンダムのモデルを使った“大ヒット御礼動画”が流れ、会場も盛り上がりを見せる。このイベントでしか聞くことができないトークやここでしか観られない動画などが次々と飛び出す、貴重なイベントとなっていた。

最後の挨拶で大久保は「今日の情報を踏まえて、あと何回か(劇場で)観られる機会があると思います。僕も劇場で観たいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします」と呼びかける。大山は「もっといろいろと話せたらよかったかな」と名残惜しさを見せつつも「それなりに面白い話ができたかなと思います。またよろしくお願いいたします」と作品ファンへお礼を伝える。秋山は7月に発売予定の「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女 オフィシャルクリエイティブレポート」にも触れつつ「クリエイティブな側面を深掘った本や記事が今後もいろいろと出ますので、もう少し『閃光のハサウェイ』を楽しんでいただければと思います」とまとめ、トークイベントは幕を閉じた。




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