現在育休中で、会社から「復帰する意思があるなら育休手当などの手続きを進める」と言われたのですが、このような条件付きの対応は一般的なのでしょうか?

現在育休中で、会社から「復帰する意思があるなら育休手当などの手続きを進める」と言われたのですが、このような条件付きの対応は一般的なのでしょうか?

4月23日(木) 9:10

育児休業は、育児・介護休業法により労働者に認められた権利です。そして、育児休業中は、雇用保険法に基づき育児休業給付金が支払われます。これらの制度は、労働者が、安心して育児休業を取得できるように整備されたものです。 一方で、事業主が職場復帰を前提として育児休業を付与することに問題はないのでしょうか。 今回は、育児休業と育児休業給付金についてその仕組みを解説するとともに、事業主が職場復帰を前提に育児休業を認めることの問題点についてみてみましょう。

育児休業の仕組み

育児休業とは、「育児・介護休業法」(※1)に定められた制度で、原則として1歳未満の子どもを養育するために一定期間会社を休むことができる制度です。育児休業を取得できる労働者は、原則として1歳に満たない子どもを養育する男女の労働者(日々雇用を除く)となります。
 
ただし、パートやアルバイトなどで労働契約の期間を定めて雇用される労働者が育児休業を取得するためには、一定の要件が定められています。また、労使協定により対象の労働者を限定することができます(※1, 2)。
 

1. 期間を定めて雇用される労働者の取得要件

対象となる子どもが1歳6ヶ月に達する月までに、労働契約(更新される場合は、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないことが取得要件となります(※1, 2)。
 

2. 労使協定で育児休業の対象外となる場合

労使協定を結ぶことにより、事業主は以下の労働者を育児休業の対象外とすることができます(※1, 2)。
 

(1)継続雇用期間が1年未満の労働者
(2)申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

 

育児休業等給付の仕組み

1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得している労働者を対象として、育児休業給付金が支給されます。給付率は、休業開始から180日までは休業前賃金の67%、181日目以降は50%です。また、一定の要件を満たすと、最長で子どもが2歳になるまで育児休業給付金が支給されます(※3)。
 
また、夫婦が共に14日以上の育児休業を取得した場合、休業前の給与の13%相当額の出生後休業支援給付金が支給されますので、育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせると、一定の要件の下で最大28日間、給付率は80%となります(※3)。なお、育児休業等給付は非課税のため、手取りでは10割相当と説明されています。
 

雇用主が職場復帰を前提に育児休業を付与することの問題点

前述したとおり、育児休業は、労働者が育児のために会社を休むことが保証された制度です。そして、育児休業中の収入を補うために、雇用保険から労働者に対して育児休業給付金が支給されます。
 
また、雇用契約のある労働者が育児休業を取得するためには、育児休業取得後も雇用が一定期間続くことを要件としています。また、労使協定で、雇用期間が短いなどの労働者を育児休業の対象外とすることができるようになっています。
 
したがって、育児休業取得後も雇用を継続することが制度設計の基本となっていますが、雇用主が育児休業取得前に雇用継続を強要することは問題があるように思われます。
 
一方で、育児休業や育児休業給付金の取得申請などの手続きは企業の負担となるため、継続雇用の意思のない労働者を排除したいと考えることも理解できます。
 

まとめ

育児休業制度は、労働者が育児のために会社を休むことができる権利を認めた制度です。したがって、育児休業後も雇用を継続することが制度設計の基本となっています。しかしながら、雇用主が育児休業の取得にあたり、復職や継続勤務を当然の条件として求めることには問題があると考えられます。
 
会社の説明に疑問を感じたときは、制度の内容や自分の権利を確認し、必要に応じて相談先も活用しながら落ち着いて対応しましょう。
 

出典

(※1)デジタル庁 e-Gov 法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(※2)厚生労働省 育児休業特設サイト
(※3)厚生労働省 育児休業等給付について
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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