4月22日(水) 22:40
生活保護は生活に困っている人に対して国が保護する制度ですが、受給するには一定の要件を満たしていなければなりません。
資産や能力、制度などを活用しても収入が国の定める「最低生活費」を満たせない場合や、親族など扶養義務者からの援助を受けられない場合に、受給することが可能です。
民法第877条では「直系血族及び兄弟姉妹」を扶養義務者として定めています。第2項では、特別な事情がある場合は「三親等内の親族」も扶養義務者になることが記載されています。
また、第752条では「夫婦に協力及び扶助の義務があること」が定められていることから、配偶者も扶養義務者に該当すると考えてよいでしょう。
生活保護法第4条2項では、扶養義務者の中に要保護者を扶養できる人がいる場合は、その扶養を生活保護よりも優先させなければならないとされています。なお「要保護」とは、保護を必要とする状態にある者のことです。
そのため、今回のように父親が生活保護を申請した場合、娘の元へ通知がくることがあるでしょう。
扶養義務者に該当しても、必ず要保護者を援助しなければならないわけではありません。
生活保護の申請が行われた場合、扶養に関する調査として扶養義務者の存在の確認や扶養できる可能性があるかどうかの聞き取りが行われます。これにより「扶養義務の履行が期待できない」と判断された場合は、扶養照会が行われないこととされているのです。
厚生労働省によると、次のような人は「扶養義務の履行が期待できない」と判断される可能性があります。
・社会福祉施設入所者
・長期入院患者
・専業主婦や専業主夫などの非稼働者
・未成年者
・70歳以上の高齢者
・要保護者と縁を切っている場合
・夫の暴力から逃げてきた母子など、扶養を求めることで要保護者の自立を阻害するおそれがある場合
・一定期間、音信不通である場合
音信不通の「一定期間」については「例えば10年程度」とされています。今回は「20年」なので「扶養義務の履行が期待できない」と判断される可能性が高いでしょう。
福祉事務所などから扶養に関する通知や照会が届いた場合は、回答して返送しましょう。「20年間音信不通であること」や「自分の生活に余裕がないこと」などを理由に援助を断ることが可能です。
返信せず無視することもできますが、回答がないと援助可否の確認が取れず、生活保護の支給が遅れる可能性があります。そのため、なるべく早く回答して送り返したほうがよいでしょう。
生活保護では、民法上の扶養が保護に優先するとされているため、申請者の親族の元に援助可否を確認する通知が届く場合があります。
しかし、今回のように「20年間音信不通」のほか「要保護者と縁を切っている」などの事情がある場合は「扶養義務の履行が期待できない」と判断されることもあります。
もし福祉事務所などから通知や照会が届いた場合は、援助ができない旨を回答して返送しましょう。回答せずにいると生活保護の支給が遅れる可能性があるため、早めに対応することをおすすめします。
厚生労働省 生活保護・福祉一般 生活保護制度
デジタル庁e-GOV法令検索 民法 (明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族(同居、協力及び扶助の義務)第七百五十二条、(扶養義務者)第八百七十七条
デジタル庁e-GOV法令検索 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号) (保護の補足性)第四条二項
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について 3 扶養義務履行が期待できない者の判断基準(3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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