【FIFAワールドカップ】優勝を狙うイングランドのキーマン デクラン・ライスが持つ最高の技術とは?

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【FIFAワールドカップ】優勝を狙うイングランドのキーマン デクラン・ライスが持つ最高の技術とは?

4月21日(火) 6:50

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西部謙司が考察サッカースターのセオリー

第96回デクラン・ライス

日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。

FIFAワールドカップ2026で優勝候補として注目されるイングランド。そのカギを握るのはMFデクラン・ライスのプレーのようです。その理由と彼をトップクラスたらしめる技術について解説します。

【「6番」でも「8番」でもプレーできる】 今やイングランド代表の「8番」のポジションと言えばデクラン・ライスである。

イングランド代表としてW杯での活躍が楽しみなデクラン・ライスphoto by Getty Images

イングランド代表としてW杯での活躍が楽しみなデクラン・ライスphoto by Getty Images



MFの色分けとして「6番」は中盤底のアンカーポジション、「10番」はセンターフォワード(CF)に近いセカンドトップ、その中間が「8番」となっている。イングランドに限らず、このポジション番号は広く使われているが、基はオランダだと思う。

オランダのポジション番号はGKが1番、DFは右から2、3、4、5番と機械的につけられていて、6番はセンターハーフ。WMシステム時代の5トップの右から7、8、9、10、11番がそのまま残っている。

イングランドで背番号6と言えば、1966年W杯優勝時のキャプテン、ボビー・ムーアだった。ムーアはウエストハム、イングランド代表で6番を着けてセンターバック(CB)としてプレーしていたから、イングランドの6番はむしろCBのイメージが強い。ウエストハムでは2008年から6番は永久欠番になっている。

デクラン・ライスはかつてムーアがプレーしたウエストハムでデビューした。"ハマーズ"では4-1-4-1システムのアンカーとして名をあげ、2023年にアーセナルへ移籍。つまりライスは「6番」の選手だった。

しかし、アーセナルでは「8番」の選手になっている。マルティン・スビメンディが「6番」、マルティン・ウーデゴールやエベレチ・エゼが「10番」である。イングランド代表でも「6番」は新鋭のエリオット・アンダーソン。ライスは不動の「8番」となった。

4-2-3-1システムの場合、「6番」と「8番」に明確な違いはない。ただ、「8番」のほうがより攻撃的で、その点でまさに「6番」と「10番」の中間であり、両者を連結する役割を担っている。

【強烈なインサイドキックが武器】 ライスはDFとしてデビューしている。MFに定着してからも守備力がまず注目されていた。188㎝と大柄で、寄せの迫力と力強いタックルが特徴である。読みが的確で、危険なパスコースを遮断し、スペースをいち早く埋める。

攻撃面ではインサイドキックのスペシャリストだ。インサイドキックは誰でもできるし、最も多用されるキックなのだが、それだけにこのキックが特別にうまいことは大きなアドバンテージになる。ライスはパス、シュート、セットプレーで右足インサイドキックの威力を発揮している。

おそらく内転筋が強いのだろう。長い距離のパス、シュートもインサイドキックで蹴っている。CK、FKでは大きくカーブする球筋、正確無比なコントロールで、アーセナル、イングランド代表に不可欠のセットプレーキッカーだ。最も正確に蹴ることができるインサイドで遠くへ飛ばせる能力は、実戦では非常に役に立つわけだ。

遠くへ飛ばすインサイドキックでは、デビッド・ベッカムが特別だった。体を大きく使って旋回のパワーをボールに載せる蹴り方。ライスの場合、予備動作はそんなに大きくない。普通に蹴って遠くまで飛ばしている。ただ、インパクト後のフォロースルーがほぼないというところはベッカムと共通していて、特に曲げる時は蹴り足に体重を乗せて、インパクトした瞬間に足をそこで止める蹴り方。スピードのある曲げ球に適している。

トリッキーな足技などは全く使わない。伝統的にイングランドの選手は質実剛健で、テクニカルには見えないかもしれないが、ボールを止める・蹴るという最も使用頻度の高い技術はしっかりしている。ライスはその典型と言えるだろう。基礎技術の高いハードワーカーという点で、いかにもイングランドの選手らしくもある。

【イングランド代表の問題解決のキーマン】 ところで、イングランド代表は「10番」の選手が飽和状態だ。欧州予選でこのポジションに起用されていたのはモーガン・ロジャーズだが、負傷から回復したコール・パーマーがいて、フィル・フォーデン、ジュード・ベリンガム、エベレチ・エゼもいる。

日本代表との親善試合ではフォーデンが「9番」、パーマーが「10番」で起用された。ダブル10番システムだったわけだが、「7番」で起用されたロジャーズを合わせれば「10番」を3人使っている。ただ、CFのハリー・ケインと右ウイングのブカヨ・サカは本来不可欠なので、「10番」を3人起用したのは例外的なテストケースだった。

フォーデンやエゼを左ウイングの「11番」に起用することは考えられるが、そこも突破力のある選手はいるのであまり必然性はない。「10番」を複数使うとすれば、ベリンガムを「8番」に起用する場合だろう。例えば「10番」にパーマー、「8番」にベリンガム。その場合、ライスは「6番」へ移動するものと思われる。

溢れている「10番」を全員使っても創造性が渋滞するだけだが、適宜に投入すれば、相手に守備を固められた時の打開策として有効だ。その際、「7番」「11番」「8番」でプレーできる「10番」を持っていることは強みになる。ライスが「8番」と「6番」を問題なくこなせるので、最大4人の「10番」を投入できるのは意外と大きいかもしれない。

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