4月21日(火) 8:10
厚生労働省の説明によると、「在職老齢年金制度」とは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険の被保険者として働く場合に、給与と年金の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の支給が調整される仕組みです。この制度が存在している理由は、「報酬のある人には年金制度を支える側に回ってもらう」考え方があるためです。
例えば、本来10万円の年金を受け取れる人でも、基本月額と給与などの合計が基準額を10万円上回る場合は、その超過分の半分にあたる5万円が支給停止されることがあります。
なお、停止された分は、その後に返金されることもなく、また将来上乗せして支給されることもありません。
支給が調整される対象は「老齢厚生年金」で、老齢基礎年金は支給停止の対象外です。なお、加給年金額は在職老齢年金の計算には含まれませんが、老齢厚生年金が全額支給停止となる場合は、加給年金額も全額支給停止となります。
2026年3月までは、在職老齢年金による年金支給カットの支給停止基準額は「51万円」でしたが、4月からは「65万円」が支給停止基準額になります。「基本月額+総報酬月額相当額」の合計が65万円を超えた場合、その超過分については計算に基づいて受給額がカットされます。
調整後の年金支給額の計算方法は、以下の通りです。
・基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2
「基本月額」とは、加給年金額を除く老齢厚生年金の報酬比例部分の月額をいいます。「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額を合計して12で割った額です。
次に、受給額がカットされる具体例を確認しましょう。
仮に、総報酬月額相当額(ボーナスを含む月額換算の収入)が60万円、老齢厚生年金が15万円だとします。この場合、合計額は75万円です。支給停止基準額は65万円なので、ラインを超えた10万円を2で割った「5万円」が年金受給額から差し引かれます。
なお、支給停止される額は月額単位で行われるため、収入に変動があった場合は、その月の総報酬月額相当額に応じて支給停止される額が見直されます。
2026年3月までの支給停止基準額「51万円」と比較して、2026年4月からの「65万円」は大幅な改定といえるでしょう。
見直しが行われた理由として、働き続けることを希望する高齢者が増えていること、また高齢者人材を求める社会的ニーズがあることなどが挙げられます。
厚生労働省が実施した調査によると、65~69歳の高齢者のうち約6割が「66歳以降まで働き続けたい」と回答しています。また、同じ年齢層の3割以上は「年金が減らないような仕方で働く」と回答しています。この結果から、働きたいと思いつつも「年金が減ってしまう支給停止基準額を超えてまでは働きたくない」と考えています。
このような背景をふまえて、支給停止額が発動する支給停止基準額の引き上げが行われました。
自身のケースでは年金受給額がカットされるのかや、される場合はどの程度なのかを知りたい場合は、「ねんきんネット」での試算や年金事務所、年金相談センター窓口などに問い合わせをするとよいでしょう。
定年後に働くと家計に余裕が出ることがありますが、2026年4月に改定される「在職老齢年金制度」では、老齢厚生年金の月額(基本月額)と給与などの合計が65万円を超えると、本来受給できるはずの老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。
ただし、65万円までは年金が減額されることはなく、またこの金額は給与と年金の合計額です。そのため、「少しでも働いたらすぐに年金が減ってしまうかもしれない」と過度に心配しなくてもよいでしょう。
厚生労働省 在職老齢年金制度の見直しについて
厚生労働省 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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