4月18日、有明コロシアム。大同生命SVリーグ男子の最終節、王者サントリーサンバーズ大阪(1位)は、大観衆の敵地で東京グレートベアーズ(6位)をセットカウント3-0とストレートで下している。前日も3-0で完全勝利を飾り、レギュラーシーズン優勝を決定。主力を大幅に入れ替えながらも、再びチャンピオンシップにも出場する伏兵を圧倒した。
「最後もこうして勝利できたので、ファイナル(チャンピオンシップ)に向けて自信になると思います」
サンバーズのエースである髙橋藍(24歳)は試合後にそう語ったが、"勝負の天才"は誰よりも戦いにアジャストしていた。昨シーズン、SVリーグ初代王者を勝ち取ったチャンピオンシップ、彼はMVPに輝いているが、勝負どころの強さは一騎当千。今シーズンは直感力も察知力も上がり、"敵が少しでも出血したら傷口を抉る"苛烈さも漂っていた。まさに王者の風格だ――。
最終節の東京グレートベアーズ戦でも圧巻のプレーを見せた髙橋藍photo by MATSUO.K/AFLO SPORT
今シーズン、髙橋はベスト6に選出された昨シーズンを上回る数字を残している。
総得点は647得点で7位、アタック決定率は53.4%で2位、サーブ効果率は14%で3位、サーブレシーブ成功率は49.2%で4位。これだけ攻守各部門で上位に名を連ねた選手は他にいない。同じサンバーズのドミトリー・ムセルスキーの攻撃力は確かに破格で、ブロックはシステム上欠かせないが、レシーブはほとんど免除されているだけに......。
最終節、グレートベアーズ戦も髙橋は八面六臂の活躍だった。
飛びつくようなディグを披露し、リベロ顔負けのレセプションを見せ、トスまで上げた。サーブもショートサーブ、スパイクサーブを打ち分け、相手守備を崩してブロックディフェンスを機能させるだけでなく、「攻める回数が増えた」という強烈なサーブも出色だった。スパイクは変幻自在、クロスは強弓を打ち込むようで、バックアタックは野生の肉食獣を思わせ、プッシュやティップは虚を突き、ブロックアウトは計算されていた。
オールラウンドなアウトサイドヒッターとして、髙橋は世界屈指と言える。超満員の敵地で、ため息を誘うほどのスペクタクルだった。活躍は勝利に直結し、潮目で相手をねじ伏せるプレーを見せていた。たとえば難しい1セット目の入り方、2セット目の拮抗した展開でのサーブ、あるいは3セット目、入り方に失敗した相手を攻め立てる様子は"無慈悲"だった。
――超満員の有明コロシアムはすごい熱気で、ちょっとしたことで相手に一気に流れが行くなか、髙橋選手は1セット目からパワーを懸けていたように見えました。結果的に、それで流れがサンバーズに......。
そう質問をぶつけると、髙橋はよく通る声で答えている。
「有明コロシアムの熱気に左右されるのはあると思っていましたし......自分が意識していたのは、正直、サントリーはすでに優勝を決めていたので、メンバーも変わっているし、"(モチベーションとして)勝つのが難しい試合だな"と(心の)準備はしていました。(勝負が大きく関係しない試合)だからこそ、"自分が序盤からプッシュしていかないといけない"っていうのはありましたね。最初から、チームを引っ張っていかないと、っていう気持ちは強かったです。それは試合のスタートのところだけでなく、(3セット目)最後のところもそうで、集中力を切らさずに最後まで戦って勝つことができました」
第3セットは前半で大量リードも中盤から猛追を受け、21-16になったところ、髙橋がサーブで22、23点目と目覚ましい連続エースを決めている。これによって、ほぼ息の根を止めた。セッターの関田誠大、リベロの小川智大、ミドルブロッカーの小野寺太志など代表選手たちが不在でも、サンバーズは明るい輝きを放っていたが、その中心にいたのが髙橋だった。
「今シーズン、メンバーは固定して戦ってきましたが、今日は誰が出てもレベルの高いバレーができることを見せられたと思います」
髙橋は屈託ない様子で語っている。高い集中力を見せた一方、表情は柔らかく、自然体で笑顔も見えた。王者は昨シーズンよりも確実に選手層が分厚くなっている。この日は、それを証明したことも連覇に向けたプラス材料と言えるだろう。
「選手層の厚さが見せられてよかったです。選手も試合に出ていないと不安要素が出るなか、実際にメンバーを替えて試合ができて、勝つことができました。(セッターの)下川(諒)選手もプレッシャーがあるなか、センター線をアグレッシブに使えて、トスワークの強みを生かせたし、その感覚は試合に出てつかめるもので。それをファイナル前にできたのはよかったですね」
決戦に向け、髙橋は虎視眈々だった。レギュラーシーズン優勝は、プレーの確信を深めるだろう。どんな試合も全力で勝利をつかみ取る姿勢を崩さないからこそ、大一番でも羽ばたけるのだろう。
「何事でも、勝負がかかったもので負けるのが僕は嫌なので。どんなときも、勝負は常に準備をしないと」
そのスピリットが、感覚を最大限に研ぎ澄ます。
5月1日、年間王者を決めるチャンピオンシップが幕を開ける。サンバーズは同8日の準決勝から参戦で、ウルフドッグス名古屋対広島サンダーズの勝者と対戦。決勝は横浜で、同15日からだ。
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