モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月2日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「世界で広がる 子どものSNS規制」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんに解説していただきました。
(※放送当時の内容です)
※写真はイメージです
◆子どものSNS規制が抱える課題は
2025年12月、オーストラリアが世界で初めて16歳未満のSNS規制を施行。2026年3月28日には、インドネシアも東南アジアで初めて規制を導入しました。
ユージ:子どものSNS規制が世界で広がる理由は何でしょうか?
塚越:昨年のオーストラリアの法律以降、SNS規制は加速しています。その背景には、若者のメンタルヘルスへの懸念があります。サイバー上のいじめに加え、性的・暴力的なコンテンツに触れてしまうリスクも指摘されています。特に若い世代は、SNSで目にする写真の影響を受けやすいとされています。なかでも女性においては、ボディイメージへの悪影響が問題視されています。Instagramで理想的な容姿の投稿を日常的に見続けることで、自分が劣っているように感じてしまう傾向があるのです。
もうひとつ大きな問題は「依存」です。アルコール依存問題等にも取り組んでいる、国立久里浜医療センターの調査では、10代~20代のSNSで「病的な使用」が疑われるレベルの人は、およそ140万人規模に達するという報告もあります。これは、他の世代と比べても突出しているんですよね。
これまでSNSやスマホは保護者、家庭が管理するスタンスだったんですけれども、オーストラリアやインドネシアは、責任は保護者ではなくプラットフォーム企業であると位置づけるようになりました。こうしたスタンスのもと、オーストラリア政府は、昨年成立した法律に違反している疑いがあるとしてInstagramやTikTok、YouTubeなど5つのプラットフォームについて調査をおこなっていると発表しました。これは、3月31日に明らかにされたものです。
吉田:去年の12月に世界初の規制を始めたオーストラリアでは、どんな影響が出ているのでしょうか?
塚越:まず、16歳未満が特定のSNSを使うことを禁止する法律が施行して数日以内で、16歳未満のアカウントおよそ470万件が、削除や利用停止になりました。そのなかで多かったのは、InstagramやFacebookを所有しているMetaが大半です。ただ、他の調査によると、7割くらいの子どもはまだ使い続けているというデータもあります。
イギリスの調査会社によると、保護者からは「家族の会話が増えた」といったポジティブな報告も寄せられています。一方で、抜け道を使い、これまで通りSNSを利用している子どもがいるのも実情です。特にSNSの禁止をめぐっては、当初から懸念も指摘されてきました。たとえば、LGBTQなどのマイノリティの子どもの場合、身近な地域では同じ悩みを共有できる相手が見つからず、SNSが唯一のつながりとなっているケースもあります。そのため、こうした規制によってコミュニケーションまで断たれてしまう可能性がある点も議論されています。SNSの利点までも制限してしまうことは、大きな課題だと言えるでしょう。
◆SNS規制の流れは日本にも広がる?
ユージ:子どものSNS規制の動きは日本でもあるのでしょうか?
塚越:はい。今のところ具体的な規制案は出ていませんが、高市総理も2月の国会で「青少年を守る環境整備は重要」という方針を示しています。こども家庭庁も、闇バイトや性的広告問題など、広く未成年のネット環境の整備を進めるうえで議論を始めていまして、法改正については年末を目処に判断するとしています。
ただ、実際に規制をおこなうとなると、その手段には難しさがあります。たとえば、マイナンバーカードを用いた年齢確認が考えられますが、そもそもマイナンバーカードの取得は義務ではありません。そのため、どこまで普及させられるのか、またどの範囲で活用してよいのかといった点が課題となります。実際に導入しようとしても、解決すべき問題はまだ多く残されているのが現状です。
吉田:SNSの規制は、今後も広がっていきそうですか?
塚越:大人も含めて、一定の規制はやはり必要だと感じています。先日、カリフォルニア州では、20歳の女性が子どもの頃から利用していたInstagramやYouTubeの依存的な設計によってうつ病になったとして、MetaとGoogleを提訴しました。その結果、600万ドルの損害賠償が認められています。
今後は控訴などで審理が続くとみられますが、こうした事例を見ると、個人の意思の問題というよりも、サービスの設計そのものが問われていると言えます。制度設計の責任を追及する流れは、世界的に広がっているのではないでしょうか。これは子どもだけでなく、大人にも関わる問題です。
私も常々感じていますが、スマートフォンやアプリは、何兆円、何十兆円という規模で利益を上げる巨大企業によって設計されています。個人の意思だけでそれに対抗するのは難しいのが現実です。だからこそ、依存を生みにくい設計を求めていく必要があります。対応は簡単ではありませんが、EUでは「透明性レポート」と呼ばれる仕組みがあり、企業がどのような責務を果たしたのかを毎年報告することが義務付けられています。日本でも一部導入されていますが、まだ限定的なものです。
ただし、規制を強めればよいという単純な話でもありません。先ほども触れたように、規制によって失われる側面も存在します。そのバランスをどう取るかが、今後の重要な論点です。もう1つ重要なのは、規制によって本当にコミュニケーションが増えるのかという点です。家族や安心して話せる環境がある場合は会話が生まれやすい一方で、そもそもそうした場がないからこそSNSに頼っている人も多くいます。これは大人にも共通する問題です。
したがって、SNSを規制するのであれば、その代わりに「サードプレイス」と呼ばれる、自由に話せる居場所を社会全体で整えていく必要があります。そうした環境が整うことで、結果的にSNSの利用が過度にならないようなバランスを築いていくことが求められています。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/
番組公式X:
@ONEMORNING_1