2026年3月11~15日に、両国国技館にて『ストリートファイター6(スト6)』の世界大会「CAPCOM CUP 12(CC12)」が開催された。CC12は1年間をかけ行われるCAPCOM Pro Tour(CPT)で優秀な成績を収めた48名の選手が招待される大会。優勝者には賞金100万ドル(約1億5900万円)が贈られ、CC12では日本のさはら選手(21歳)が優勝した。
【写真】SFLWCで優勝したREJECT
■予選はダブルエリミネーション、TOP16からはBO9のシングルエリミネーション
CC12は3日間をかけ、予選を行い、16選手まで絞り込む。予選では4名1グループ、全12グループでダブルエリミネーション方式トーナメントを行い、ウイナーズブラケットで勝利した12名がTOP16へ進出する。ルーザーズブラケットで勝利した12名がPhase2に進出し、残りの24名は脱落となる。Phase2では3人1グループ、全4グループで総当たり戦を行い、各グループのトップ成績1名がTOP16へ進出する。
TOP16からはシングルエリミネーション方式のワンデイトーナメントを行う。eスポーツでよく見かけるダブルエリミネーション方式を採用しない代わりに、1試合をBO9(5本先取)の長丁場で行うことで、より実力が高い選手が勝ち抜けやすくなっている。
■FPSから格闘ゲームへ。1年で世界を獲ったシンデレラボーイ
優勝したさはら選手はまだ21歳の若手選手。元々はFPS(一人称視点シューティングゲーム)の強豪プレイヤーだったが、『スト6』でも実力を発揮。ZETA DIVISIONのストリーマーであるSHAKAさんが主催する「LEGENDUS 師弟杯」(2024年開催)で、カスタムルームでの練習相手を募集していたバーチャルライバー・葛葉さんの配信に参加。そこでプロゲーマーのカワノ選手と対戦し、その実力の高さが認められた。その後、REJECTのストリーマー・ハイタニさんが主催する「ハイタニ登竜門」に参加。あでりい選手とともにシンガポールに海外遠征に行き、競技シーンを目指すようになった。
Good 8 Squadのスパーリングパートナーとしての活動から、2025年1月にチームメンバーとして登録。ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2025(SFL)からは正式メンバーとなった。SFLでは1年目からエース級の活躍で、獲得ポイント2位を記録。個人戦でもフランスで行われた「Ultimate Fighting Arena 2025」で優勝し、CC12の出場権を獲得した。日本の地域大会であるWorld Warrior(WW)では5大会中2回の優勝を記録し、ぶっちぎりで1位のポイントを記録。すでにCC12への出場権を得ていたので、WWでの記録はカウントされず、他の選手が順延で出場権を獲得した。
これらの華々しい成績は2025年の1年間で記録したもので、1年目で世界チャンピオンまで駆け上がったシンデレラボーイと言える。
■TOP16は一度もマッチポイントを与えず完封勝利
CC12のさはら選手は、予選のPhase1はグループDで参加。初戦でベテランダルシムプレイヤーのShaka選手を3-0ストレートで下すと、ウイナーズファイナルでは韓国の強豪プレイヤーNLと対戦。こちらも3-1で下し、Day1でTOP16進出を決めた。
TOP16ではオランダの若手プレイヤーXerna選手と対戦。なんと5-0のストレートで勝利する。2回戦は初戦で同じエド使いのももち選手を破ったDual Kevin選手との対戦。ここも5-3で勝利。準決勝はチリの天才少年Blaz選手との対決。こちらも2回戦のDual Kevin選手戦と同様に1試合前に同じエド使いのふ~ど選手が対戦しており、Blaz選手にも5-3で勝利した。Dual Kevin選手もBlaz選手もエド連戦となることで、戦いやすさもあったなか、両選手のエド対策を確認したうえで、さはら選手が対応できたと言える。
「エドはフリッカーという強い技を持っていて、それに対する答えを持っているか、どんな対応をしてくるかを最初に見られたのは大きいと思います」と優勝後のインタビューでも答えている。
優勝候補のひとりであったBlaz選手に対しては「普段のランクマッチでもよく対戦している相手だったので、Blaz選手のクセとか、戦い方とかいろいろ込みで試合に挑みました。サガットを相手にしているというよりはBlaz選手がどういうことをやってくるかなというのを意識しました」と人読みも重視して戦った。
決勝戦はフランスの多キャラ使いKilzyou選手。さはら選手はフランスのプレミア大会でCC12の出場権を得ているが、このときはKilzyou選手との対戦はなかった模様。Kilzyou選手は不利な状況になってキャラクターを変更することで、逆転してきたプレイヤー。舞で1セット先行するも、さはら選手はあっという間に対応。4連勝してあとがなくなったKilzyou選手がここでキャラクターチェンジをし、キャミィをピックする。しかし、時すでに遅く、勢いづいたさはら選手に対抗する力はなく、そのままさはら選手が優勝を決めた。
Phase1は3本先取中最大1本、TOP16は5本先取中最大3本までしか、相手にセットを奪われておらず、一度も相手にマッチポイントを与えず、危なげなく勝利した。まさに完封と言える勝利だ。
■SFLワールドチャンピオンシップも同時開催!日本・北米・欧州各チームの三つ巴戦
CC12では、ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ(SFLWC)も行われた。日本、北米、欧州の3つの地域で行われているチーム対抗戦の世界大会だ。各リージョンの優勝チームが集まり、世界一の座を賭けて戦う。日本からはREJECT(RC)、北米からはBANDITS(BD)、欧州からはNINJAS IN PYJAMAS(NIP)が出場した。Day3とDay5では、グループステージが行われ、3チームの三つ巴戦が行われ、SFL本節と同様にホーム&アウェイ方式で2試合ずつ行い、上位2チームがDay5の決勝に進出する。
■ウメハラ対MenaRDで会場が最高潮に
グループステージでは、RCが4勝0敗120ポイントで1位抜けを達成。2位抜けはBDだ。BDとNIPはどちらも1勝3敗70ポイントで並んだが、バトルポイント差によりBDが2位となった。
Day5のグループステージのRC対BD戦では大将戦で待ち構えるMenaRD選手に対して、ウメハラ選手が当たる場面があり、今大会でもっとも盛り上がった場面となった。ただ、結果としてはウメハラ選手が敗北し、延長戦にまで持ち込まれた結果、BDがNIPの成績を超えることになったので、NIPとしては、RCがいつも通り、大将戦にエド使いのふ~ど選手かLeShar選手が行っていれば、ポイント差でNIPが2位抜けとなっただけに、ちょっと釈然としない結果となったとも言える。
「ウメハラ選手がMenaRD選手に行くことは、結構前の段階から決まっていました。先鋒と中堅にエド2枚が出た時点で、たぶん皆さんは感づくだろうなって思っていました」とときど選手が試合後に語っており、MenaRD選手の挑発に乗った形ではなかったようだ。
■決勝もエド無双、REJECTが70-20で世界の頂点へ
ここまでRCはLeShar選手とふ~ど選手のエドが活躍し、どちらも一度も負けていない状態。BDはエドが攻略できるかが決勝での勝敗のカギとなる。
決勝は、SFL-JPのプレイオフと同じレギュレーション。先鋒・中堅・大将を一巡とし、先鋒と中堅は10ポイント、大将は20ポイント獲得できる。大将戦が終了した時点で20-20となっても延長戦は発生せず、次の巡目に移行する。巡目が変わる毎にホームとアウェイが入れ替わる。ホームとアウェイの2巡の6選手の出場枠で、すべての選手が出場しなくてはならない。一巡目はグループステージ1位抜けしたRCがホーム、BDがアウェイで開始される。
一巡目はBDの先鋒Cabaガイル、中堅Booceテリー、大将MenaRDガイルに対して、RCはときどJP、LeSharエド、ふ~どエドで対応。グループステージ終了から決勝までの短時間ではさすがにエド対策ができなかったか、40-0のストレートでRCが勝利。二巡目はRCが先鋒LeSharエド、中堅ウメハラ豪鬼、大将ふ~どエドの布陣で迎え撃つ構え。それに対して先鋒にMenaRDブランカが登場。ずっと大将を務めていたMenaRD選手だが、ここにきて先鋒戦に登場。大将を外れるにしても、グループステージで3-0のストレートで勝利したウメハラ選手に当たることもできたが、MenaRD選手はLeShar選手を選択した。この作戦が功を奏し、先鋒のMenaRD選手、中堅のChris T選手が連勝し、20ポイントを獲得。ただ、ふ~ど選手の牙城は崩せず、2巡目終了時点で、60-20とRCが優勝にリーチをかける。
3巡目は2巡目で大将を務めたBooce選手が先鋒。RCは先鋒にLeShar選手を選択。最後までRCのエドの壁を崩しきれず、70-20でRCが世界一の座を獲得した。
■CC13でウメハラの勇姿が見られるか
SFLWCの優勝メンバーはCC13の出場権が得られる。昨年優勝したG8Sのメンバーは誰一人CC12で1勝もできなかったので、RCには頑張ってほしいところ。SFLとCCがそこまで連携していないことを考えると、SFLWCの報酬としては、SFL関連でなにかアドバンテージを貰えるシステムにした方がいいかもしれない。なにはともあれ、CC13でウメハラ選手が出場するのは楽しみだと言える。
■著者プロフィール・岡安学
ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。イベント取材をはじめ、法律問題、マーケットなど、多角的な切り口でeスポーツを取り上げる。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆もおこない、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『ゲームビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)、『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム)などがある。
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