不思議な生物と孤独な少女の交流と冒険を描いた『OCHI!-オチ-』を鑑賞。子猿のようなかわいい生物・オチの姿に癒やされるA24初の本格ファンタジー作品!

映画『OCHI!-オチ-』のメイン写真/(C)2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.

不思議な生物と孤独な少女の交流と冒険を描いた『OCHI!-オチ-』を鑑賞。子猿のようなかわいい生物・オチの姿に癒やされるA24初の本格ファンタジー作品!

4月8日(水) 14:00

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2026年4月3日より全国公開された『OCHI!-オチ-』は、孤独な少女と不思議な生物が言葉を超えて心を通わせていく姿を描いた作品。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。
【写真】大きな瞳が愛くるしい赤ちゃんオチ
映画『OCHI!-オチ-』のメイン写真


【ストーリー】
霧に包まれた村の奥深い森には、大きな瞳と耳を持つ不思議な生き物“オチ”が棲み、人々は何世代にもわたり、その存在を恐れ遠ざけてきた。

愛情深くも、どこか滑稽で軍人気質な父・マキシム(ウィレム・デフォー)に育てられた少女ユーリ(ヘレナ・ツェンゲル)は、伝説の生き物オチを恐れ、狩るよう教えられている。そんな父親に戸惑い、心を閉ざしてしまったユーリは、ある日怪我をした小さなオチを見つけ、密かに家に連れ帰り、傷の手当てをする。

伝承とは違うオチの“本当の姿”を知ったユーリは、ひとりぼっちの幼いオチを家族の元へ返そうと決意し、家から飛び出し冒険の旅に出るのだった。
【写真】大きな瞳が愛くるしい赤ちゃんオチ


■注目の若手俳優ヘレナ・ツェンゲルと『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のフィン・ウォルフハードが義理の兄妹役で共演!
A24初の本格ファンタジーとなる『OCHI!-オチ-』の監督を務めたのは、グリズリーベアの『Knife』やビョークの『Wanderlust』をはじめとする著名アーティストのミュージックビデオを手掛け、手作業へのこだわりと美学を築いてきた映像作家アイザイア・サクソン。21歳でノースビーチのビデオ屋の店長となったとき、ディレクターズ・ボックスセットを発見し、スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、そしてクリス・カニンガムら映像作家が手掛けたミュージック・ビデオを繰り返し観るようになったという。

そのあと数々のアーティストのミュージックビデオを手掛け、D&AD賞、英国VMA賞、アントビルMV賞やスピン誌の年間最優秀ビデオ賞など数多くの賞を受賞。その独創的な映像世界は高く評価され、ニューヨーク近代美術館(MoMA)や映像博物館において作品が展示されている。そして本作で、長編映画監督デビューを果たした。


主人公のユーリを演じるのは、2020年にポール・グリーングラス監督の『この茫漠たる荒野で』でトム・ハンクスと並んで主演を務め、ドイツ映画『システム・クラッシャー』(2019年)で高い評価を得た16歳のドイツ人俳優ヘレナ・ツェンゲル。サクソン監督は、『システム・クラッシャー』のツェンゲルの演技を観て、オーディションなしにこの役をオファーしたという。

少年らからなる狩猟隊を率い、オチ狩りに執着している父親に疑問を抱き、心を閉ざすユーリの心情を見事に表現したヘレナ。孤独だったユーリが、突然出会った幼いオチと次第に心を通わせていく姿にグッときてしまった。多くのセリフが人間の言葉ではないぶん、この役は難易度が高かったはずだが、そんなユーリという役を完璧に演じたヘレナは、今後もっと注目される俳優になっていくだろう。
オチを背負ってスーパーから逃げようとする少女ユーリ(ヘレナ・ツェンゲル)


ユーリの父親、マキシムを演じたのは、『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2018年)で主演男優賞、『プラトーン』(1986年)、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000年)、ショーン・ベイカー監督作『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017年)では助演男優賞など、これまでアカデミー賞に4度ノミネートされた名優ウィレム・デフォー。

近年は、ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』(2023年)や『憐れみの3章』(2024年)、ティム・バートン監督作『ビートルジュース ビートルジュース』(2024年)に出演するなど、キャリアに甘んじることなくユニークな役に挑み続けている。本作では、厳しく子どもたちを育てながら、オチ狩りに必死な父親マキシムを好演。物語の終盤で、マキシムとユーリの間にどんな変化が訪れるのか、楽しみにしていてほしい。
ユーリの父親マキシム(ウィレム・デフォー)


ユーリとは血のつながりのない兄ペトロを演じたのは、Netflixの大ヒット・シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016〜2025年)のマイク役で一躍有名となったフィン・ウォルフハード。近年は、大ヒットホラーの続編『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019年)、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021年)、ジュリアン・ムーアと共演したA24製作『僕らの世界が交わるまで』(2022年)や、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(2024)といった話題作への出演が続いている。

筆者は、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で長年成長を見守ってきた彼のことをフィンくんと呼び、ほかの出演作もほとんど鑑賞している。本作では、本当の父親ではないマキシムに認められようとオチ狩りに奮闘しつつ、その一方で家を飛び出したユーリを心配する優しいペトロを生き生きと演じたフィンくん。登場シーンは少ないが、圧倒的な存在感を放つペトロの活躍にも注目してもらいたい。
血のつながらない妹ユーリを心配して追いかけるペトロ(フィン・ウォルフハード)


夫のマキシムと疎遠になり、羊飼いをしながら暮らしているユーリの母ダーシャを演じたのは、1996年にラース・フォン・トリアー監督の『奇跡の海』で映画デビューし、『レッド・ドラゴン』(2002年)、『パンチドランク・ラブ』(2002年)、『戦火の馬』(2011年)、『戦場からのラブレター』(2014年)、『博士と彼女のセオリー』(2014年)などに出演するエミリー・ワトソン。近年では、キリアン・マーフィーと共演した主演作『決断するとき』(2026年)やクロエ・ジャオ監督作『ハムネット』(2026)などの注目作に出演するなど精力的に活動している。

ダーシャは、過去に起きたある出来事から、自らを罰するように家族と離れ、田舎で一人暮らしている。そんな中、ある日突然自分の元にやってきた娘に対して、不器用ながらも愛情深く接するシーンは本作の見どころの一つとなっている。
羊飼いをしながら暮らしているユーリの母ダーシャ(エミリー・ワトソン)


■『グレムリン』や『E.T.』を彷彿とさせる不思議生物に懐かしさを感じ、赤ちゃんオチの愛くるしさに悶絶すること間違いなし!
物語の冒頭、怪我をした独りぼっちの赤ちゃんオチと出会ったユーリは、言葉にならないむすびつきを感じ、オチを家族と再会させるために冒険の旅に出る。オチは猿ではないが、赤ちゃんオチが登場した瞬間に今大人気のパンチくん(市川市動植物園で飼育されている子猿)と重なり“かわいすぎる!!”と心の中で叫んでしまった。

現代では不思議な生物はCGを使って映像化するのが主流だが、なんとこの作品の赤ちゃんオチはブルースクリーンのスーツを着た複数の人形遣いがパペットを操作し、大人のオチは基本的に三人の役者が延長した四肢を付け、着ぐるみを着て演じているという。

それを知ってとても懐かしい気持ちになった。なぜなら自分が幼い頃に観た『E.T.』(1982年)や『ネバーエンディング・ストーリー』(1984年)、『グレムリン』(1984年)といった名作に登場する不思議な生物は、体や顔を動かす仕掛けを入れた人形を使って撮影していたからだ。アナログの手法で撮影された映像だからこそ、CGにはない温かみや“本当にこの世に存在しているかも!?”と思わせてくれるリアルさがある、そんな風に感じた。
OCHI!-オチ-_マザーオチのコピー


もちろん、本作ではCGをまったく使っていないわけではないが、オチの顔のアップに関しては完全に実写だという。フィンくんは「撮影中は、実際そこにいる相手に向かって演技するのが一番だよ。グリーンスクリーンの前にぶら下がってるテニスボール相手ではなくてね。それが驚きを創り出すし、別世界にいると感じさせてくれる」と、本作の撮影に関してコメントしている。

ユーリとオチが次第に心を通わせていく姿にワクワクし、感情を音楽のように紡ぐオチの言葉を理解し始めたユーリが、声を使ってオチと自然にコミュニケーションを取る姿に感動させられる本作。ユーリに懐く赤ちゃんオチの愛くるしい姿は、かわいすぎて誰もが悶絶すること間違いなしだ。

ファンタジー映画好き&動物好き必見の『OCHI!-オチ-』を、ぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。
OCHI!-オチ-_マキシム・ペトロのコピー

『OCHI!-オチ-』ポスタービジュアルのコピー


文=奥村百恵

(C)2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.



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