デビッド・フィンチャー監督の「エイリアン3」(1992)の長尺版が、米配信サービスHBO Maxで静かに配信開始したと米ハリウッド・リポーターが伝えている。
本編の上映時間は2時間25分で、劇場公開版(1時間54分)よりも約30分長い。ただし、これは劇場版より長いだけで、いわゆる「ディレクターズ・カット(監督版)」ではない。フィンチャー監督本人は一切関わっておらず、撮影素材をスタジオ側がつなぎ合わせて仕上げた「アセンブリ・カット」と呼ばれるバージョンだ。
成立の経緯は1992年の劇場公開後、フォックスがホームビデオ向けに「ディレクターズ・カット」の制作を望んだが、フィンチャー監督はこれを拒否した。そこでスタジオ側が独自に未使用素材を再構成して仕上げたのがこの長尺版で、2003年に4作をまとめたDVDボックスへ収録された。
劇場版との違いは小さくない。劇中で説明されないままだったいくつかの設定が補完され、脇役たちの結末が描き足されている。リプリーと囚人たちが一度はエイリアンを有毒廃棄物の保管室に閉じ込めることに成功する展開や、リプリーが身を投じる最期の場面で、追加撮影でつけ足されたチェストバスターの飛び出すショットが削除されている点も大きい。長年のファンのあいだでは、こちらの版のほうがフィンチャー監督本来の意図に近いと支持する声が根強い。
もっとも、フィンチャー監督にとって「エイリアン3」は今もなお苦い記憶だ。当時20代後半でミュージックビデオから映画監督に抜擢された彼は、脚本が完成しないまま撮影に突入させられ、スタジオの度重なる介入に苦しめられた。本人は英ガーディアン紙とのインタビューで、こう吐露している。
「私ほどこの作品を憎んだ者はいない。今日に至っても、誰よりも憎んでいるのは私だ」
この苦い経験があるため、フィンチャー監督はホームビデオ版の制作にもいっさい協力していない。今回HBO Maxに加わった長尺版もまた、フィンチャー監督の手を離れたところで生まれたバージョンだということになる。
なおHBO Maxには同時に、「エイリアン2」のディレクターズ・カット版と、「エイリアン4」のスペシャル・エディション版も追加されている。
【作品情報】
・
エイリアン4
【関連記事】
・
【最新版】本当に面白いおすすめ映画ランキングTOP30絶対に何度も見るべき“傑作”を紹介
・
Netflixで観てほしいおすすめの人気映画30選~編集部厳選~
・
【本当に怖い映画30選】トラウマ&衝撃作を“ジャンル不問”で編集部が厳選
写真:Album/アフロ