【Jリーグ連載】東京ヴェルディ・アカデミーで伝統的に受け継がれてきたものと、現代サッカーのなかでさらに求められるもの

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【Jリーグ連載】東京ヴェルディ・アカデミーで伝統的に受け継がれてきたものと、現代サッカーのなかでさらに求められるもの

4月7日(火) 9:50

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東京ヴェルディ・アカデミーの実態

~プロで戦える選手が育つわけ(連載◆第50回)

Jリーグ発足以前から、プロで活躍する選手たちを次々に輩出してきた東京ヴェルディの育成組織。同連載では、その育成の秘密に迫っていく――。

ヴェルディのアカデミーでは足元の技術に優れた選手が育ってきたが...photo by Miki Sano

ヴェルディのアカデミーでは足元の技術に優れた選手が育ってきたが...photo by Miki Sano



2025年シーズン、東京ヴェルディではトップチームにふた桁に達する10人のアカデミー出身選手が登録されていた。

とはいえ、単純に数字だけを比べれば、ヴェルディ以上のクラブは他にもあり、10人という数は驚くほどのものではない。

だが、ヴェルディは2024年にJ1復帰を果たすまで、通算17シーズンもの間、J2にいたクラブである。その影響もあって、ヴェルディのアカデミーは以前ほど有望な中高生の選手を集められなくなっていた。にもかかわらず、その出身選手は高い評価を受け、次々とJ1や海外のクラブへと移籍。2025年途中にも10人のうちのひとり、綱島悠斗(現ロイヤル・アントワープ/ベルギー)がさらなるステップアップを目指し、海を渡っている。

なぜヴェルディのアカデミー出身者は、プロの世界で通用する選手が多いのか。

「ヴェルディ出身の子たちは、周りがよく見えていて、その状況で何をすべきかがわかっている。そのうえで、それを正確に質の高いプレーとして出してくれるのが特徴かなと思います」

そう語るのは、自らもヴェルディの前身、読売クラブの下部組織で育ち、現役引退後はアカデミーの指導者を務めた、菊原志郎(現FC今治U-12監督)だ。

菊原はヴェルディを離れたあとも、U-17日本代表コーチ、横浜F・マリノスのジュニアユースコーチ、監督などを務めた育成のエキスパートであり、その間は客観的な視点でヴェルディを見てきた。

「ヴェルディのなかに、というか、僕のなかには、うまい選手の基準があって、まずはどんな状況でもボールを取られないこと。ふたりに囲まれようが、3人に囲まれようが、絶対にボールを取られない。森田晃樹とか、渡辺皓太(現横浜F・マリノス)なんかもそうですよね。

あとは、得点につながる決定的なプレーができること。いいラストパスをさりげなく出す。それがカッコいいんです」

菊原は、「ただ、ヴェルディ(のアカデミー出身者)にもっと運動能力があれば......」と続け、「F・マリノスとか、FC東京とかに行くような選手の運動能力に、ヴェルディの感覚が加われば、もっとすごい選手が出てくるんだろうなっていう感じはしますけど」と、残念そうな表情をのぞかせる。

実際、11年ぶりにヴェルディユースが参戦した2025年の高円宮杯U-18プレミアリーグEAST(以下、プレミアリーグ)でも、彼らは常に体格で見劣りした。

ヴェルディユースの選手たちは「どこのチームとやっても、(平均して身長で)5㎝、(体重で)5kgくらい小さい」というのが、昨季までユースチームの指揮を執っていた小笠原資暁(現トップチームコーチ)が得た肌感だ。「ひどい時は、10㎝、10kg違う。ひとり10kg違えば、全然違いますからね」。小笠原は、そう言って苦笑する。

しかしながら、現状においては、ないものねだり。その一方で、対戦相手のある監督からは、「技術やサッカーIQでは、ヴェルディのほうが上だと思う。どういうやり方をしたら、毎年のようにああいう面白い選手が出てくるのか、興味がある」との声が聞かれた。

ヴェルディユースの選手たちは、運動能力で劣るからこそ、それを補う武器を身につけられた、とも言えるのだろう。菊原が続ける。

「山本理仁(現シント・トロイデン/ベルギー)とかも、うまいですよね。ちょうど僕がF・マリノスで試合に行った時、彼は中3でユースの試合に出ていたのかな。やっぱりボールを持った時の姿勢がいいんですよね。だから、いろんなものが見えて、いろんな選択肢を持って、そのなかから最適なものを選べる。そのクオリティが高い。

井上潮音(現ジュビロ磐田)や森田もそうだけど、パスの感覚だとか、プレッシャーのなかでもボールを取られないとかっていうところは、"伝統的なヴェルディのうまい子"って感じですよね。それはずっと受け継がれているものだと思います」

足元の技術に優れたDFやGKが育つのも、ヴェルディならではの特徴だろう。

菊原は、日本代表経験もあるGK菅野孝憲(現北海道コンサドーレ札幌)の名を挙げ、「高校の時は、ユースのBチームの試合とかだと、センターバックやセンターフォワードもやっていた」と振り返る。

「高木駿(現札幌)とかもそうでしたけど、やっぱりみんな狭いなかでボールをつなぐことに憧れを持って(ヴェルディのアカデミーに)入ってきますからね。下手な選手は狙われて、よりプレッシャーをかけられながら、そのなかで自分を磨いて、うまくなっていく。それはセンターバックも然り、です」

現代サッカーにおいては、よりフィジカル要素が求められるようになったこともあり、「もっと運動能力があれば......」と言いたくなる選手は、もしかすると、かつてよりも増えているのかもしれない。

前出の小笠原にしても「僕たちのメインの武器はそれ(体格や運動能力)じゃないけど、やっぱりそこでも戦えるぐらいにしていかないと、メインの武器(技術や個人戦術)も消されるシーンが多い」と、11年ぶりのプレミアリーグを総括する。

だが、菊原は「もちろん、攻守両面でハードワークするとか、やらなきゃいけないことが増えているのも事実。サッカーがすごく変わってきて、だんだん10番がいなくなるとか、5番の選手が10番の役割もこなすようになるとか、トレンドの変化があるなかで、やっぱりヴェルディの感覚だけではね......」と前置きしたうえで、こう語る。

「ヴェルディで伝統的に大事にしてきたことを継承しながら、現代サッカーのなかで必要な部分、インテンシティだとか、ハードワークだとか、攻守の切り替えだとか、球際で負けないとか、そういうところをさらにプラスしていくことで、いい選手が継続して出てくるんじゃないかな。そういうところが、これからもクラブの強みになるんじゃないかなと思います」

(文中敬称略/つづく)

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