ソウルの芸術団を舞台に“母を失くした女子高生”と“完璧主義の先生”の共同生活による心の交流を描いた感動作「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」。同作で注目したいのが、心をふっと軽くしてくれる“セリフ”だ。本記事では「大丈夫」と温かく包み込んでくれるような言葉を、新場面写真とともに紹介する。
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【フォトギャラリー】「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」新場面写真
本作は、韓国で初めて、第74回ベルリン国際映画祭「Generation Kplus」部門の最優秀作品賞にあたる「クリスタル・ベア賞」を受賞した作品。「ソウォン願い」で映画デビューを飾ったイ・レが不運な状況に置かれながらも自分の人生を前向きに捉える高校生イニョンを演じ、ベテラン俳優チン・ソヨンがイニョンが所属するソウル国際芸術団の舞踊学科で“魔女”と呼ばれる完璧主義かつ冷徹な先生ソラ役として参加。さらにソン・ソック、チョン・スビン、イ・ジョンハらが出演している。
母を失い、家を追い出され、芸術団の団員から陰口をたたかれ――さらには“魔女”と恐れられる芸術監督ソラと一緒に暮らすことになるイニョン。傍から見れば決して「大丈夫」とは言えない状況でも、イニョンのポジティブさは周囲を巻き込み、いつの間にか人々を笑顔にさせる。
そんな彼女の根底にあるのが「食」への想いだ。サプリメントと健康ジュースしか口にしないソラ先生に向けて放たれた「優しい心は炭水化物から生まれます」「誕生日に満腹になれば、生まれた甲斐がある」「ガツガツおいしく食べれば太りませんよ」といった言葉に、ソラ先生は次第にご飯へと箸を伸ばしていく。最初は煩わしい表情をするソラ先生だったが、「小言じゃなくて関心です。先生が心配だから」と茶目っ気と少し生意気な一面、そして優しさ溢れる言葉を投げかけるイニョンにほだされていくのだ。
イニョンを演じたイ・レのお気に入りのセリフは「優しい心は炭水化物から生まれます」とのこと。「実際にその通りだと思うのでとても共感しました。イニョンのかわいらしさが印象的に伝わるセリフだと思います。イニョンらしい言葉だと思って、今でも記憶に残っています」と語っている。
さらに監督のキム・ヘヨンは、「食は生存に直結するものですよね。それと同時に、イニョンが発する言葉や単語が、同年代の子よりも少し大人びていてほしいという意図がありました。彼女は母を亡くすという辛い経験をしたことで、その年頃にしては少しませた、成熟した状態になっているのではないかと考え、そうしたキャラクターをイメージしてセリフを作っていきました」とこれらのセリフが生まれた経緯を明かした。
イニョンの周囲には、時に厳しく、時に優しく、彼女の背中を押す言葉をかける人々がいる。“魔女”と恐れられる芸術監督ソラは、常に冷静で自分にも他人にも完璧を求める近寄りがたい存在。しかしイニョンと暮らし始めてその優しさに触れたことで、次第に心がほぐされていく。イニョンが将来への不安と焦りを明かした際には“完璧さがすべてではないことに気づいた”ソラ先生だからこその言葉をイニョンに投げかける。
「悔いがないように努力して、ダメならやめればいい」
「イニョンが幸せなら、見る人も幸せだから」
そんな言葉が常に笑顔で頑張りすぎてしまうイニョンには、何よりも優しくて勇気づけられる後押しになっている。
イニョンを陰ながら支える薬剤師ドンウク(ソン・クック)は、心に傷を抱えた彼女にいつも“優しい言葉を処方する”。達観したようでいて、どこか温かさを感じさせるその言葉は、イニョンだけでなく観る者の心にも静かに響く。
芸術団員からの嫌がらせを相談されたドンウクは、ユニコーンのお菓子でイニョンを元気づけようとする。しかし、そのお菓子は彼女にとって母との大切な思い出。栓が抜けたように泣きじゃくるイニョンの隣で、ドンウクはただ寄り添い、優しいまなざしを向ける。やがてイニョンを迎えに来たソラ先生に向けて、ドンウクはこう語るのだ。
「去る人はその日が別れで、残された人は受け入れる日までが別れだ」
「我慢してグレるより、薬局で泣いた方がいい」
その言葉には、いつも笑顔で頑張ってしまうイニョンを、そっと見守り続けるドンウクの優しさが込められている。
それぞれの人物が口にする言葉は、迷いながらも前を向いて生きようとするイニョンの人生を照らし出すと同時に、観る者の心にもそっと寄り添い、疲れた心を優しく包み込んでくれるはずだ。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」は、4月10日より新宿ピカデリーほか全国公開。
【作品情報】
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大丈夫、大丈夫、大丈夫!
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