4月3日(金) 23:10
相続放棄は、家庭裁判所に申立てをして「はじめから相続人ではなかったものと扱われる」ようにする手続きであり、その結果、亡くなった人の権利や義務を一切受け継がないことになります。
つまり、母・私・妹の3人全員の相続放棄が家庭裁判所に受理されていれば、その3人は父の預貯金や不動産だけでなく、借金についても一切引き継がないという扱いになります。
債権者から連絡が来ても、相続放棄をした事実を伝え、必要に応じて家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」などを提示して家庭裁判所で相続放棄が受理されていることを示すことになります。なお、相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内にしなければならない」と定められています。
ここで注意したいのは、母と子が放棄しても、それだけで必ず手続きが終わるとはかぎらない点です。
法定相続人の組み合わせとして、「配偶者と子」「配偶者と親」「配偶者と兄弟姉妹」などが定められています。
つまり、妻と子が全員放棄すると、父の親が存命であれば親が、親がいなければ兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。父方の祖父母や父の兄弟姉妹が思いがけず当事者になることもあるため、事情を早めに共有しておくと混乱を防ぎやすくなります。
では、次の順位の親族も全員放棄したらどうなるのでしょうか。
家庭裁判所の手続きでは、相続人の存在が明らかでないとき、利害関係人の申立てにより「相続財産清算人」を選任します。相続人全員が相続放棄し、結果として相続する人がいなくなった場合も含まれます。
相続財産清算人は、亡くなった人の財産を調べ、債権者への支払いなどを行って清算します。清算後に財産が残れば、最終的には国庫に帰属します。一方で、借金は、あくまで父が残した財産の範囲で処理されるのが原則です。そのため、財産より借金が多い場合、相続放棄をした家族が不足分を自分のお金で負担するわけではありません。
母・私・妹の3人全員が相続放棄をしていれば、その3人に父の借金が移ることはありません。ただし、借金は消えてなくなるのではなく、次の順位の相続人に移る可能性があります。そして、最終的に相続人が誰もいなくなった場合は、相続財産清算人が選ばれ、父の財産のなかから債務の支払いを含む清算が進められます。
請求書や督促が届いて不安になりやすい場面ですが、相続放棄が正式に受理されているか、次順位の親族がいるかを確認すれば、状況はかなり整理できます。早い段階で戸籍や裁判所の書類などをそろえて、落ち着いて対応しましょう。
最高裁判所 相続・遺産分割
最高裁判所 相続の放棄の申述
法務局 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
最高裁判所 相続財産清算人の選任
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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