2023年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたケン・ローチ監督作品「オールド・オーク」が、4月24日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開される。このほど、著名人コメントと新たに場面写真、監督写真が公開された。
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【フォトギャラリー】「オールド・コーク」本作は、「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」に続く「イギリス北東部3部作」の最終章。市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたイギリスの巨匠、ケン・ローチ監督が自ら「最後の作品」と語っている。
舞台は、とある炭鉱の町で最後に残ったパブとして親しまれていた「オールド・オーク」。人々が集い、安らぎを見出す場所だったはずのパブは、シリア難民の受け入れにより、諍いの場に変貌してしまう。オーナーのTJはパブの先行きに頭を抱えていたが、シリアから来たカメラを携えた女性ヤラと出会い、思いがけず友情を育むことに。そして、喪失や未知への恐怖、希望を見つけることの難しさについて知っていくことになるが――。
寂れゆく町に根を張る住人たちと、戦禍から逃れてきた難民たち。ローチ監督は、実際にシリア難民がとある北東部の町に到着した際の出来事に着想を得たと語ったうえで、「まずは双方を理解する必要がありました。二つのコミュニティが隣り合って暮らす現実がある。それぞれに深刻な問題を抱えつつも、一方には想像を絶する残酷な戦争から逃れてきたというトラウマがあり、失った者への悲嘆と、残された者への心配に苛まれている。異国の地で見知らぬ者同士となった彼らは、果たして共存できるのか? 相反する反応が生まれるでしょう。このような暗黒の時代に、希望はどこにあるのか? 難しい問いですが、ポール・ラヴァティ(脚本家)とレベッカ・オブライエン(プロデューサー)と私は、その答えを探すべきだと考えました」と述べる。
そして、「家族を想うとき」のパンフレットでの対談他、ローチ監督と交流を深めてきた映画監督の是枝裕和、ラジオパーソナリティとしての顔も持つRHYMESTER宇多丸、「デマと差別が蔓延する社会を許しません」街宣の発起人の一人である音楽プロデューサー・作家の松尾潔、英文学者の北村紗衣から、コメントが寄せられた。
2016年イギリスを描いた作品ながら、2026年の日本、「分断の世」を生きる我々にとっても、決して他人事ではない題材を突き付けてくる本作について、そして映画に込められたローチ監督の真摯な眼差しに向けて絶賛のコメントが集まっている。
是枝裕和(映画監督)
世界でも、日本でも至る所に蔓延している人と人の「分断」。この最も厄介な手に負えない病巣を前にしてもケン・ローチは諦めない。「オールド・オーク」は人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるかを正面から問い続ける。これほどまでに一貫した「眼差し」を世界に、人間に向け続ける彼の存在こそが、映画にとっての希望であると改めて確信した。
宇多丸(RHYMESTER)
押しつけられた理不尽に苦しむ者同士、噛みつき合うのか、助け合うのか、それとも黙ってやり過ごすのか……それは明らかに、2026年現在の日本社会に生きる、我々自身にも向けられた問いだろう。ケン・ローチ渾身のまたしても大傑作、劇場公開されて、本当に良かった!
松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
ローチが見つめるのは、難民そのものではない。「分断を生む社会の構造」だ。怒りと不信の底に、なお残る連帯の可能性を探る。2016年の英国北東部を描いたこの物語が、2026年の日本に重なって見えるとき、私たちは何を選び取るのか。
北村紗衣(英文学者)
パブはpublic house、つまり「公共の家」という単語からきています。お酒を飲むだけではなく、人々が集まるコミュニティの中心としての公共的な機能を持っています。そんなパブが地域社会のためにどういう機能を果たせるのか、果たすべきなのかを描いた映画です。
【作品情報】
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