韓国の第27回全州(チョンジュ)国際映画祭に、中尾広道監督作「道行き」がコンペティション部門に出品されることが発表された。
中尾監督が同映画祭に招待されるのは、2度目。2021年に前作「おばけ」でも、同じくコンペティション部門への招待だったが、当時は新型コロナウイルス感染症の影響で、観客不在のまま上映された。今回、待望の初参加となる中尾監督は、オープニングから全州入りし、上映後のトークに参加する予定だ。
渡辺大知主演、人形浄瑠璃文楽の国宝・桐竹勘十郎が映画初出演する本作は、奈良の御所市を舞台に、モノクロームでつづられる豊かな時間を探す旅の物語。大阪から奈良に移住し、購入した古民家の改修工事を進める青年・駒井(渡辺大知)はたびたび様子を見に来る元所有者の老人・梅本(桐竹勘十郎)が語る昔の町や家に流れてきた時間の話に魅せられる。語らい合うふたりの中で旅の景色はゆっくりと広がっていく――。
全州国際映画祭は、ビビンバ発祥の食の町として知られ、かつて韓国が誇る映画スタジオが存在した全州に映画の灯をともすべく、釜山国際映画祭に次いで2000年に設立された、アジアを代表する映画祭である。
メイン部門であるインターナショナル・コンペティションは、実験的で独自の視点を持つ新鋭監督たちを世界に紹介してきたことで知られています。 近年の日本映画では、2025年に蔦哲一朗監督「黒い牛」がNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を、2023年に太田達也監督「石がある」がグランプリを受賞している。
今年のスローガンは「Beyond the Frame」―境界を越え、既存の枠組みを超えて、新たな挑戦を続けること。世界70カ国から寄せられた421本の中から新しい表現として選ばれた10作品が賞を競い、5月5日に表彰式が行われる。
4月29日~5月8日の10日間の会期中には上記のコンペティション部門をはじめ、“ワールドシネマ”や“シネマフェスト”、“ミッドナイトシネマ”などの非コンペティション部門で、国内外の200本を超える作品が上映される。今年の同映画祭は、2月のベルリン国際映画祭で上映された、吉開菜央監督「まさゆめ」、内山拓也監督「しびれ」、岩崎裕介監督「チルド」や、昨年のカンヌ国際映画祭で上映された、石川慶監督「遠い山なみの光」など、多くの日本映画の話題作が上映される。
■中尾広道監督コメント
「道行き」が韓国の全州国際映画祭インターナショナル・コンペティションに選出されました。 会期中三度も上映していただけるとのこと、嬉しくてたまりません。喜んで全日程参加させていただく予定です。 この作品を韓国の方やその他の国の方々がどうご覧になるか大変興味深いです。 質疑応答では私からの発話だけでなく、観客の「声」も多く聞ける、双方豊かな文化交流の機会となれば嬉しいです。 ご招待くださいました全州国際映画祭主催の皆様、関係者の方々、制作スタッフの方々へ、 あらためて深くお礼申し上げます。目下、必死でハングルの勉強をしています。
【作品情報】
・
道行き
【関連記事】
・
【動画】「道行き」特報
・
インディペンデント映画への熱意あふれる若者たち、レトロと先端が同居する街歩きも楽しい全州国際映画祭【世界の映画館めぐり】
・
“可能な限り自分一人でつくる”自主映画の極北、中尾広道監督「おばけ」が劇場公開
©2025ぴあ、ホリプロ、日活、電通、博報堂、一般社団法人PFF