3月31日(火) 12:00
ここでは、アニメーターの平均年収や、新人に絞った年収を見ていきます。
一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が実施した「アニメーション制作者実態調査2023」によれば、アニメーション制作者全体の年収平均値は455.5万円、中央値は422.5万円です。
国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」での全業種平均給与は478万円であり、数字だけ見ると大きな差はないように映ります。しかし、平均値は、ごく一部の高収入層(ベテランや監督クラス)に引っ張られて実態より高く見える性質があります。
より実態に近い「中央値(422.5万円)」を見ると、全産業平均との差がより明確になってくるでしょう。
「アニメーターの給料」といっても、職種によって収入は大きく異なります。同じ「アニメーター」の中でも、「動画マン(動画担当アニメーター)」の平均年収は263.2万円(中央値243.0万円)と、全体平均を大幅に下回っています。
動画マンとは、アニメーターの最初のステップで、原画(メインとなる絵)とのあいだの「中割り(なかわり)」と呼ばれる補間の絵を描く仕事です。
業界に入ったばかりの人の実態は、263万円という数字に近いでしょう。263万円という年収は、月換算で約21.9万円となり、大卒の新入社員の平均初任給(約24.8万円)を下回る水準です。
アニメーターの給料が低くなりやすいのは、雇用形態やアニメが作られる全体の流れが影響しています。
「アニメーション制作者実態調査2023」によれば、フリーランス(自営業含む)として働くアニメーション制作者の割合は47.3%です。
フリーランスが業務委託で働く場合、労働基準法の最低賃金規制や残業代の規定が適用されません。さらに、会社員なら会社と折半できる社会保険料(健康保険・年金など)を全額自己負担しなければならない面もあります。
「給料が安い」という問題は単なる賃金の低さだけでなく、雇用形態がもたらす「手取りの目減り」も含めて理解する必要があります。
日本のアニメの多くは「製作委員会方式」と呼ばれる仕組みで作られています。これは出版社・放送局・広告代理店・グッズメーカーなど複数の企業が出資して制作費を分担し、利益も出資比率に応じて分配する方法です。
この仕組みの中で、実際に絵を描く「制作スタジオ」は下請けの立場に近く、配分される制作費は限られています。アニメが大ヒットして莫大な収益が生まれたとしても、現場のアニメーターに直接還元されにくい構造になっているのです。
アニメーターのキャリアは、動画マン→原画マン→作画監督のステップが一般的です。
原画マンは、作品の主要な絵(原画)を担当する職種で、「アニメーション制作者実態調査2023」によると平均年収は399.8万円(中央値355万円)です。さらに作画監督(アニメ全体の作画品質を統括する役職)になると平均年収は574.9万円(中央値535万円)に達します。
年代別に見ると、アニメーション制作者の平均年収は、年齢とともに上昇し、50〜54歳のピーク時には614.6万円に。30代後半以降は全産業平均を上回る傾向もあり、長く続けることで収入が安定・増加していく職種とも考えられます。
アニメーターの平均年収は全体で455.5万円(中央値422.5万円)と、数字だけ見れば全産業平均と大きな差はないように感じられます。しかし、新人の動画マンに限ると263.2万円と大きく下がり、雇用形態や製作委員会方式の仕組みなどが低収入を生みやすい構造をつくっています。
「好きなことを仕事にしているから稼げるはず」というイメージと現実のギャップには、複合的な理由があるのです。一方で、キャリアを積み重ねることで収入は着実に上がっていく職種でもあると考えられます。数字と仕組みを知ることが、業界や仕事選びを正しく理解する第一歩です。
一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)アニメーション制作者実態調査2023
国税庁令和6年分民間給与実態統計調査
厚生労働省令和6年賃金構造基本統計調査結果の概況
公正取引委員会アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調査報告書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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