【Jリーグ連載】東京ヴェルディ・アカデミーの育成の本質「僕らは"普通に"サッカーをやらせてもらっていた」

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【Jリーグ連載】東京ヴェルディ・アカデミーの育成の本質「僕らは"普通に"サッカーをやらせてもらっていた」

3月31日(火) 6:45

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東京ヴェルディ・アカデミーの実態

~プロで戦える選手が育つわけ(連載◆第47回)

Jリーグ発足以前から、プロで活躍する選手たちを次々に輩出してきた東京ヴェルディの育成組織。同連載では、その育成の秘密に迫っていく――。

読売クラブ時代から東京ヴェルディ・アカデミーの育成の本質は変わっていないphoto by Miki Sano

読売クラブ時代から東京ヴェルディ・アカデミーの育成の本質は変わっていないphoto by Miki Sano



東京ヴェルディのアカデミーには、伝統的に技術重視のイメージがある。菊原志郎(現FC今治U-12監督)をはじめ、天才少年と称されるような優れたテクニシャンを多く輩出してきたことも、その印象を強めているのだろう。

実際、菊原自身も「やっぱり(カテゴリーが)上に行けば行くほど約束事が多少出てきたり、急ぐ必要はないけど、だんだんとチームの戦い方を覚えていったりするようになる」としたうえで、こう続ける。

「ただ、読売クラブはどちらかというと、チームでこうやるよっていうよりは、一人ひとりがポジションごとの能力を高めることによって、自然とチームになっていくという考え方だったんじゃないかなと思います。

(最近は)子どもの頃からの勝利至上主義によって、魅力的な選手が出てきにくくなっているって話も聞きますけど、やっぱり勝とう、勝とうとすると、エラーをできるだけ減らそうとして、どうしてもチャレンジがしにくくなりますから」

だが、時代の流れとともに、読売にも少なからず変革が求められた時期があったという。

「自分が指導者として(ヴェルディのアカデミーに)戻ってきて、小見(幸隆)さんとかと話をした時に聞いたことなんですけど」

現在、横浜F・マリノスでユースチーム監督を務める冨樫剛一はそう切り出し、読売の変革期を振り返る。

「僕らのちょっと上くらいの世代から、読売がクラブチームのなかだけでなく、(高校のチームも含めた)日本全体のなかでいいチームというか、強いチームとして認識されるためにはどうするのかを、クラブとして考えていたらしくて......」

つまりは、読売クラブがもっと広く世の中に認知されるようになるためには、いい選手を育てるだけでなく、目に見える成績を残す必要があるのではないか、ということだ。事実、当時のクラブチームは高校サッカーよりも弱いというのが、一般的な評価だった。

はたして、冨樫たちの世代に対しては「タクティカルな部分(の指導)も多くなった」という。

ただし、「タクティカル」が多くなったと言っても、今想像するようなホワイトボード上に選手の名前を書き入れ、相手の動きを想定して、そこでの対応が具体的に指示される、といったやり方ではない。

そこは、あくまでも読売流とでも言うべきか、試合ごとの指示は、ざっくりとしたイメージが伝えられるだけで、かなり抽象的なものだったと、冨樫は述懐する。

「たとえば、僕らDFラインの選手には、『コンパクトにやれ。だいたい横40m、縦30mぐらいで』って言われるだけ。僕らはまだ中学2年生くらいだったので、そのイメージがよくわからないながらも、選手同士でああだこうだと話して、いろいろとやってみる。

するとある日、一緒にDFをやっていた中村忠(現東京ヴェルディ・アカデミーヘッドオブコーチング)が、『ペナルティエリアの幅って、何mか知ってる?40mなんだよ!』と。それで、『あ、横40mってペナの幅(を保つ)ってことか!』という感じで基準を覚えていくんです」

冨樫は、「それが自分の指導者としてのベースを作った」とまで言い、こう語る。

「大人になってから当時を思い出すと、『そりゃ、中2には難しいよな』とは思います。だけど、それに気づく選手と気づかない選手がいるんです。たとえば、前のほうの(ポジションの)選手は技術的なことをメインに考えていて、タクティカルな部分については言われていることに気づかなかったり、言われたことすら覚えていなかったり。

でも、僕や中村は気づいていた。だから、小見さんからのちに(クラブとしての意図について)話を聞いた時、そういうことだったのかと理解できました」

読売クラブ、あるいは東京ヴェルディのアカデミーというと、個人の技術に特化した指導が行なわれ、チーム戦術的なことは二の次。そんなイメージがある。

それはそれで必ずしも間違いではないのだろうが、おそらく選手育成の本質はそこではない。

選手を枠にはめ込み、選択肢を与えず、個人の判断を奪ってしまえば、本当の意味での技術も戦術も身につかない、ということだ。

冨樫は言う。

「育成年代になればなるほど、これはできないからこうしていこうとか、いろんなものを削いだり、縛ったりしますけど、そうなると、やっぱり本来のサッカーからは離れていく。

でも、僕らは読売で、ずっと大人のサッカーっていうか、"普通に"サッカーをやらせてもらっていたんだなって思います」

(文中敬称略/つづく)

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