世界の実験映画作品を古典から現代まで紹介するレーベルRE:VOIR (www.re-voir.com)の創設者、主宰のピップ・チョドーロフとともにフランスの実験映画を紹介する「フランス実験映画祭 2026」が、東京日仏学院エスパス・イマージュで4月25日から開催される。
今年は、生誕100年を迎える戦後フランスの前衛芸術運動レトリスム(文字主義)の理論的支柱であり、多才な実験芸術家モーリス・ルメートルの代表作「映画はもう始まったか」の特別上映、政治的ユートピアと挫折を飽くなき探求心で描き続けたアメリカの孤高の映画作家、ロバート・クレイマー、そして女性の身体、アイデンティティ、欲望をテーマにした「身体の映画」という独自の概念と運動を確立し、現代のクィア理論やメディア・アートにも大きな影響を与えているギリシャ出身のアーティスト・デュオ、マリア・クロナリス&カテリーナ・トマダキを特集する。
「フランス実験映画祭 2026」は4月25日~5月6日開催。上映作品、スケジュール詳細は公式HP(https://culture.institutfrancais.jp/event/cinema202604250505)で告知する。
【上映プログラム】
■〈モーリス・ルメートル生誕100年記念〉
1926年パリ生まれ。第二次世界大戦中はレジスタンス運動に参加。戦後は哲学を学びながら、イジドール・イズーが提唱した前衛芸術運動レトリスムに参加し、もっとも急進的な実践者の一人となる。以後、詩・小説・演劇・絵画・映画など多分野にわたって創作を展開する。特に映画では、映像と音の非同期やフィルムへの直接的な介入といった手法によって、映画の構造そのものを解体した。
▼上映作品
「映画はもう始まったか」(1951)
「モーリス・ルメートルの肖像」(2004)ピップ・チョードロフ監督
■〈ロバート・クレイマー特集〉
1936年、ニューヨーク生まれ。1960年代、ジョン・ジョストらとともに、映像による左翼前衛闘争集団“ニューズリール”の結成メンバーとして活動し、集団制作により4年間で約50本の作品を発表した。その後もドキュメンタリーとフィクションの境界に立ち、アメリカという国家、権力と革命、家族制度、人間の生についてドキュメンタリーとフィクションの境界を行き来しながら、実験的な手法で省察する作品を手がけた。1980年代からはパリを拠点に活動し、ヨーロッパへと視野を広げ、長編にとどまらず短編やビデオ作品も制作した。1982年には、ヴィム・ヴェンダース監督『ことの次第』の脚本を共同執筆。1999年に急逝。
▼上映作品
「イン・ザ・カントリー」(1962)
「アイス」(1969)
「マイルストーンズ」(1975)
「ガンズ」(1980)
「誕生」(1981)
「ドクス・キングダム」(1987)
「ルート1」(1989)
■〈クロナリス/トマダキ〉
マリア・クロナリスとカテリーナ・トマダキは、1975年以降パリを拠点に活動するマルチメディア・アーティストおよび理論家である。アテネで演劇活動や出版に携わり、渡仏後は実験映画へと本格的に移行し、「身体の映画(Cinéma corporel)」を提唱して、女性のアイデンティティの政治性を作品に取り込んだ。さらに、メディア横断的な実践を通じて、インターメディアやインターセクシュアリティといった概念を理論化し、芸術分野の境界を超える試みを続けている。代表作《天使のサイクル》のシリーズをはじめとする映像・インスタレーション作品は国際的に評価され、ポンピドゥー・センターやMoMAなど世界各地の美術館・映画機関で紹介されてきた。また、150本以上に及ぶ論考や著作を発表し、理論と実践の両面から独自の芸術活動を展開している。
▼上映作品
プログラム1二重の迷路
「フラッシュ・パッション」(1970)
「1973年3月7日」(1971)
「スモーキング」(1976~2016)
「ダブル・ラビリンス」(1976)
プログラム2天使のサイクル
「20世紀のためのレクイエム」(1994)
「パーソナル・ステートメント」(1994)
「パルサー」(2001)
「クエーサー」(2003)
【作品情報】
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ことの次第
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