料理家・美窪たえさんに教わる「ワクワクする台所」の作り方。おすすめ料理とキッチンツールも

「焼きおにぎりのあんかけ雑炊」【やわらかcuisine】/(C)美窪たえ

料理家・美窪たえさんに教わる「ワクワクする台所」の作り方。おすすめ料理とキッチンツールも

3月30日(月) 11:30

「焼きおにぎりのあんかけ雑炊」【やわらかcuisine】
【画像を見る】鉄分不足に!湯せんで作る「砂肝のコンフィ」

「今日のごはん、何にしよう…」。仕事に家事に忙しい私たちにとって、毎日の料理はつい「こなさなければいけない作業」になりがち。でも、そんな台所仕事を「ワクワクする体験」に変えるヒントがあるとしたら?今回お話を伺ったのは、昨年「note創作大賞2025 レタスクラブ賞」を受賞した料理家の美窪たえさん。美窪さんの提案するレシピは、プロの知恵が詰まっているのに驚くほどシンプルで、何より「作る人」「食べる人」の心に寄り添う温かさにあふれています。いつもの材料で新しい味を見つける工夫や、日々の料理を支えてくれるお気に入りの道具、そして「これからの食卓」への想いをたっぷりと語っていただきました。

美窪たえさん

美窪たえさん
料理家、料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ / SAKE DIPLOMA|OLからバーテンダー・日本料理人・フレンチコックを経て「おとな料理制作室」として活動中|note創作大賞2025 メディア賞「レタスクラブ賞」受賞|『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)
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■「おいしそう!」というときめきが、料理を「作業」から「体験」に変える
料理を「作業」から「体験」に

――美窪さんがレシピを考案する際に、大切にしていることはありますか?

美窪たえさん:料理を単なる「作業」にせず、「ワクワクする体験」に変えたい。そのために、素敵な料理を見たりレシピを思いついたりしたときの「おいしそう!食べてみたい!」という素直なときめきを大切にしています。「この先には、絶対においしいものが待っている!」という安心感とワクワク。それさえあれば、完成までにかける手間や時間も、自分にとって意味のある豊かなひとときになると思うんです。

――その「おいしくなる安心感」を作るために、どんな工夫をされているのでしょうか?

美窪たえさん:珍しい材料をたくさん使えば、新しい味が作れるのは当然ですよね。でも私が大切にしているのは、「いつもの材料の中に、新しい発見を見つける」という工夫なんです。たとえば、身近な「生姜」の使い方ひとつでも、驚くほど表情が変わるんですよ。最初に生姜を入れてコトコト煮込めば、深みのある味わいになりますが、日本料理のお吸い物のように、仕上げに生姜の絞り汁を「1滴」だけ垂らす。これだけで、一気に料亭のような洗練された雰囲気に変わります。「同じ材料でも、入れるタイミングを変えるだけで全く違うものになる」そんな視点を持つだけで、まだまだ工夫できるところはたくさんあるのかなと思います。

■忙しい毎日の味方になってくれる「おすすめ料理」3選
数ある美窪さんのレシピの中から、すぐに試してみたくなる、おすすめのメニューを3品ご紹介していただきました。
「砂肝のコンフィ」

■砂肝のコンフィ

美窪たえさん:鶏の砂肝をオイルでじっくり煮込む「コンフィ」は、私自身が貧血気味だったときに、鉄分補給を意識してよく作っていたレシピです。砂肝などの鶏のホルモン系は、スーパーでも新鮮なものが手に入りやすくて、お料理のハードルが低いのが魅力。フランス料理の「コンフィ」は、「お鍋ごとオーブンに入れて何十分も…」と、ちょっと大掛かりなので、お家でも無理なく作れるように、湯煎で作れる工夫をしています。面倒な「銀皮(ぎんぴ)」を取り除かなくていいので、無駄が出ないだけでなく、オイルに浸しておけば日持ちもするので、冷蔵庫にあると心強い一品です。



「手作りソーセージのエッグマフィン」

■手作りソーセージのエッグマフィン

美窪たえさん: 皮に詰めないタイプのソーセージ。豚ひき肉に塩こしょう、そしてお好みのハーブを混ぜて寝かせるだけというシンプルさなのですが、びっくりするほどおいしく仕上がるんです。一番の特徴は、「手で練らずに、お箸で混ぜる」こと。お箸でさっくり混ぜることで、お肉のゴロゴロとした質感はしっかり残りつつ、食感は硬くなりすぎません。朝食の定番であるエッグマフィンに挟むのはもちろん、小さく丸めてお団子状にすれば、煮込み料理の具材としても大活躍してくれます。ひき肉の特売日にまとめ買いして、味付けした状態で冷凍保存しておけるのも嬉しいポイントです。



「お麩とカニカマのいろどり南蛮漬け」

■お麩とカニカマのいろどり南蛮漬け

美窪たえさん: お麩が大好きで、いろいろな料理に活用しています。よく「お肉の代わり」として使われるレシピも多いお麩ですが、このレシピは「何かの代用」としてではなく、お麩の魅力を最大限に引き出すために考えました。おいしさのポイントは、お麩に卵を含ませてから揚げること。油を吸いすぎず、ふっくらとボリュームが出て、食べ応えもばっちり仕上がります。さらに、カニカマと組み合わせることで彩りも豊かに。お麩自体が軽い食感なので、シャキシャキした生野菜とも相性抜群。「煮物のお麩」とはひと味違う、見た目の楽しさと爽やかさのある一品です。



■料理の時間がもっと楽しく、スムーズに!美窪たえさんが愛する道具たち
美窪さんの生み出す素敵なお料理。それらを支えているのは、「使い勝手の良さ」への徹底したこだわりです。「道具はすっきりとした形のシンプルなもの、洗いやすく衛生的に使えるものが好きです」という美窪さん。そんな彼女が「これがないと料理が進まない!」と太鼓判を押す、お気に入りの道具を教えていただきました。

■洗いやすくてボウルに沈まない!「Conte(コンテ)」のやくさじ
「Conte(コンテ)」のやくさじ

美窪たえさん: 新潟県燕市のブランド「Conte(コンテ)」の計量スプーンは、さじの部分が浅いのが最大の特徴。調味料が残りにくく、とにかく洗いやすいんです。柄が長いステンレス製なので、お鍋に調味料を入れてそのまま混ぜたり、深いボウルに入れても中に沈んでしまったりすることがありません。見た目もスタイリッシュで、キッチンにあるだけで気分が上がります。


■小回りの天才!ニトリの「シリコーンヘラ Sサイズ」
「ニトリ」のシリコーンヘラ Sサイズ

美窪たえさん: ニトリの小さめサイズのヘラ。耐熱性が高く、つくねやピーマンの肉詰めなど、フライパンいっぱいに並んだ食材の間を縫うように、すいすい裏返せる小回りのよさが魅力です。しっかりとしたコシがあるので「つぶす」作業も得意。つなぎ目のない一体型なので、汚れが溜まりにくく衛生的なのも嬉しいポイントです。


■食卓の気分を盛り上げる、京都「金網つじ」の豆腐すくい
京都「金網つじ」の豆腐すくい

美窪たえさん: 京都へ旅行した際に、京金網専門店の体験講座にて自分で網を編んだ思い出の一品。職人さんが丁寧に仕上げてくださったので、十分使えるものになりました。何にでも使える万能な道具も便利ですが、こうした「専用の道具」があるだけで、湯豆腐のようなシンプルなメニューも、ぐっと特別感が増して食卓が盛り上がります。


■衛生面とお手入れを両立。「つば屋」のオールステンレス包丁
「つば屋」のオールステンレス包丁

美窪たえさん: 調理師時代から、刃と柄がつながった一体型の包丁を愛用しています。一番の理由は、汚れが溜まらず清潔に保てること。さらに、材質が硬すぎないものを選ぶことで、自分でも研ぎやすく、日々のお手入れを楽にしています。包丁選びに迷ったら、必ずお店の人に「手入れのしやすさ」を相談するようにしています。


■一目惚れからの一生モノ。iittalaのステンレス鍋
「iittala」のステンレス鍋

美窪たえさん:ittala/ Tools(イッタラのツールズ)。料理家としてのスタート時に購入した、思い入れのあるお鍋です。無駄を削ぎ落としたすっきりとした見た目に一目惚れしました。寸胴型で汚れ落ちもよく、さっと洗えるのが自慢です。絶妙な2リットルサイズは、スープ作りにも炊飯にもぴったり。適度な厚みで熱をしっかり蓄えてくれるので、毎日のごはん作りを頼もしく助けてくれる存在です。


■簡単な料理でも大丈夫。「おいしいものが食べたい」というシンプルな欲求を大切に
「おいしい!」という納得感がみんなを笑顔に

――美窪さんがこれから新たに挑戦してみたいことや、思い描いている「食卓の未来図」 について教えてください。

美窪たえさん:今の時代、家庭料理もどんどん合理的になっていますよね。その中で、昔も今も変わらないのは「おいしいものが食べたい」という、とてもシンプルな欲求だと思うんです。私はこれから先も、家庭の食卓からこの「おいしさ」が失われてほしくないと願っています。

私の考える「おいしいもの」は、必ずしも高級な食材を使ったり、膨大な手間をかけたりすることではありません。もっと単純に、その時々で「これ食べたいな」と心が動くもののことです。ですから、そこに「おいしい」という幸せがあるのなら、簡単な料理に罪悪感をもつ必要なんてまったくないんですよ。できるだけシンプルに、最小限の工程で、最大限のおいしさを引き出すこと。それが私の目指すところです。

これからも、長く外食産業に携わってきた経験をフル活用して、シンプルだけど丁寧で、心から「おいしい」と思えるレシピを提案していきたいと思っています。いつか、そんな思いをぎゅっと詰め込んだ一冊の本を、皆さんにお届けできたら嬉しいですね。

***

美窪さんのお話を通して見えてきたのは、「おいしい!」という感動さえあれば、料理はもっと自由でいいんだ、ということ。凝った料理を作ることだけが正解ではなく、シンプルな工程で素材の新しい顔を見つける。そんな心の余裕が、忙しい毎日の食卓を「作業」から「ワクワクする体験」へと変えてくれるはずです。まずは今日、自分が一番「食べてみたい!」と思うものを、ワクワクしながら作ってみませんか?

取材・文=宇都宮薫撮影=川上朋子(美窪さん、キッチンツール)


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